プレスリリース

2005年5月19日
関西電力株式会社

原子力発電所の運営状況について

当社の原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。

1. 運転状況について(平成17年5月18日現在)
発電所 電気出力(kW) 運転状況 備  考
美 浜
発電所
1号機 34.0万 第21回 定期検査中(H17.4.25~9月上旬予定) ・「B充てんポンプマニホールドカバーボルトの折損について」詳細は2-(1)のとおり。
・「補助建屋排気筒のひび割れおよびドレン管の接続不良について」詳細は2-(1)のとおり。
2号機 50.0万 運転中
3号機 82.6万 事故停止中[第21回定期検査中]
H16.8.9 2次系配管破損事故により停止。(引き続き、
H16.8.14~ 第21回定期検査)
H17.1.5~ 定期検査作業中。
 
 
高 浜
発電所
1号機 82.6万 運転中  
2号機 82.6万 運転中  
3号機 87.0万 第16回 定期検査中(H17.4.21~7月下旬予定) ・「原子炉補助建屋内(管理区域)における水漏れについて」詳細は3のとおり。
4号機 87.0万 運転中
大 飯
発電所
1号機 117.5万 運転中
 
2号機 117.5万 第19回 定期検査中(H17.3.16~7月上旬*予定) ・「燃料装荷作業の一時中断について」詳細は3のとおり。
3号機 118.0万 運転中  
4号機 118.0万 運転中   

大飯発電所2号機第19回定期検査は、取り替え用の2次系配管の手配に時間を要したことから、本格運転再開時期が当初予定の6月中旬から遅れる見込みです。


2.保全品質情報について

実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則および電気関係報告規則に基づく報告事象や安全協定の異常時報告事象に該当する事象を含め、保安活動向上の観点から、産官学において情報共有することが有益である事象


(1)法令に基づく報告事象や安全協定の異常時報告対象のうち重要な事象
発電所名  美浜発電所1号機 発 生 日 3月19日(運転中)
件  名 B-充てんポンプマニホールドカバーボルトの折損について (添付図-1参照
事象概要
および
対 策 等
 運転中、3月19日10時40分頃、当社運転員の巡回点検において、原子炉補助建屋地下1階の充てんポンプ室にあるB-充てんポンプのNo.1シリンダ吸込み側マニホールドカバーのボルト4本のうち3本が折れ、ナットとともに床面に落ちていることを発見しました。
 また、当該マニホールドカバーのボルト4本を除く残り32本のボルトの締め付け状態を確認したところ、No.2シリンダ吸込み側マニホールドカバーのボルト1本が折れていること、および残りのボルト(31本)のうち、28本のボルトでトルク値が目標締め付けトルク値より低いことが認められました。


 調査の結果、前回の定期検査において、吸込み側マニホールドカバーのボルトが適正な締め付け力で取り付けられていなかったため、ポンプの運転に伴う変動応力により、き裂が発生・進展し、折損したものと推定されました。 対策として、ボルトの締め付け力が確実に確保されるよう、トルクレンチを用いて段階的に締め付け、最後に再確認締めを行うことや、締め付けの各段階においてトルク値を記録することを作業要領書に明記します。
 また、ボルト全数(36本)を新品に取り替えた上で、改訂された作業要領書に基づきボルトの締め付けを行い、当該ポンプを復旧します。この事象により1次冷却水の漏れはなく、環境への放射能の影響はありません。


(平成17年3月22日4月22日 お知らせ済)

 その後、B-充てんポンプのボルト全数(36本)を新品に取り替えた上で、改訂された作業要領書に基づきボルトの締め付けを行い、4月28日に当該ポンプを復旧しました。

発電所名  美浜発電所1号機 発 生 日 4月28日(第21回定期検査中)
件  名 補助建屋排気筒のひび割れおよびドレン管の接続不良について (添付図-2参照
事象概要
および
対 策 等
 定期検査中、4月28日、原子炉補助建屋排気筒の目視点検※1を実施していたところ、12時10分頃に、排気筒下部に接続されているドレン管※22本が外れていること、および当該ドレン管取り付け部の排気筒にひび割れがあることを確認しました。
 このため、補助建屋内での放射性物質の発生を伴う作業を直ちに一時中断するとともに、排気筒からの排気を停止させるため、補助建屋送気ファンおよび排気ファンを12時53分に停止しました。
 今後、当該配管が外れた原因を究明するとともに、補助建屋の排気を通常状態に戻すため、外れたドレン管を仮補修する予定です。
 なお、排気筒モニタ指示値に変化はなく、本事象による環境への放射能の影響はありません。

 
※1   国内の原子力発電所で発生した補助建屋排気筒のひび割れに対する点検として実施しているもの。
※2   排気筒内に溜まった雨水等のドレンを排出するライン。

(平成17年4月28日 お知らせ済)

 その後、原因調査のため、排気筒底板の開口部周辺を切り出した上で、当該部にステンレス板(パッキン付)をボルトで取り付けて仮補修を行い、4月30日14時57分に、補助建屋送排気ファンを再起動しました。
 なお、現在、原因等の調査を行っております。


(2) (1)に至らない軽微な事象
発電所名  美浜発電所3号機 発 生 日 第21回定期検査中
件  名 2次系配管の点検状況について
事象概要
および
対 策 等
 2次系配管破損事故の当該プラントであることを勘案し、現在、「原子力設備2次系配管肉厚の管理指針(PWR)」における全ての対象箇所の点検(肉厚測定)を実施中です。
 4月末までに、点検予定箇所(6,161箇所)のうち、5,734箇所の点検を実施しており、肉厚測定の結果、計算必要厚さを下回る部位が14箇所(公表済みの15箇所除く)確認されました。
 その他の箇所については、計算必要厚さを満足していることを確認しています。
 なお、計算必要厚さを下回っていることが確認された14箇所については、今定期検査中に取り替えることとします。

(平成17年5月11日 お知らせ済)


3.その他
発電所名  高浜発電所3号機 発 生 日 4月5日(運転中)
件  名  原子炉補助建屋内(管理区域)における水漏れについて (添付図-3参照
事象概要
および
対 策 等

 ピットフィルタ室内で、同フィルタ逆洗ブロー弁※1の分解点検作業のため、弁ボンネットを開放し、弁箱内の残留水について、手動ポンプにより水抜き作業を行っていたところ、弁内部から水※2があふれてきました。あふれた水は、室床面に漏えいし、室内の目皿を通じて補助建屋サンプに流入しました。
 その際、水抜き作業を行っていた協力会社作業員の両足(靴下)に、床面に落ちた水が跳ねて、数滴かかりました。このため、両足を洗浄し、サーベイした結果、汚染はありませんでした。
 漏えい量は、補助建屋サンプ水位の変化量から約480リットルと推定され、推定漏えい放射能は2.6×10Bqと評価されましたが、外部への漏えいはなく、環境への放射能の影響はありませんでした。

※1  逆洗(水を逆流させてフィルタ表面を洗浄)した水を抜く系統に設置している弁。
※2  使用済み燃料ピットの水であり、放射能を含む。

(平成17年4月19日 お知らせ済)

 調査の結果、当該系統は、当該弁下流のベント(空気抜き)ラインとブロー(水抜き)ラインが合流している下流に逆止弁が設置されているため、ベントラインから空気を吸込みにくい構成であったにも関わらず、当該系統の隔離ブロー方法等の検討が不足していました。これにより、ブローを行った際、十分な空気が吸込まれなかったことで、系統内に水が多く残り、点検に伴いボンネットを開放、弁箱内の残水を排水した際に系統内に空気が吸込まれたことで、残水があふれ出たものと推定されました。

 このため、当該フィルタの隔離ブロー方法を、フィルタ逆洗用に設置している窒素加圧ラインを使用した窒素加圧ブロー方法に変更し、この手順を運転操作所則に定めました。また、隔離ブローの検討にあたっては、空気の吸い込みが十分確保されているかどうか確認することをマニュアルに追加しました。


発電所名  大飯発電所2号機 発 生 日 4月20日(第19回定期検査中)
件  名 燃料装荷作業の一時中断について (添付図-4参照
事象概要
および
対 策 等

 定期検査中、4月19日から原子炉への燃料装荷作業(193体)を実施していましたが、4月20日11時45分から79体目(燃料集合体番号:2S46)の燃料集合体(以下「燃料」)を、燃料取替クレーンにより所定の炉心位置へ吊り下ろす作業を実施していたところ、11時58分頃に燃料取替クレーンのマストから燃料が約1m下降した位置で、荷重変動※1(設定値:50kg)により自動停止しました。
 再度、吊り下ろす作業を試みたところ、燃料取替クレーンから約1.5m下降した位置で荷重変動により自動停止したため、手順書に従い設定値を段階的に80kgまで引き上げ、吊り下ろす作業を継続しましたが、同じ位置で自動停止したことから所定の炉心位置に吊り下ろすことができないと判断し、同日12時24分に作業を一時中断しました。

 その後、当該燃料をマスト内に収納した後、燃料移送装置により使用済燃料ピットへ移動させ、原因を調査した結果は以下のとおりでした。
当該燃料を外観点検した結果、損傷、変形などの異常は認められなかった。なお、第4、5支持格子のコーナ部の一部に通常でも見られるわずかな擦れ跡が認められた。
作業を中断した際の高さ関係などから、燃料の第4、5支持格子が燃料取替クレーンのマスト内に設置されたガイドバーの上端と干渉する位置関係にあることが判明した。
当該燃料の過去の取り扱い状況等を確認した結果、問題なく取り扱いができていたが、使用に伴って発生する燃料の曲がり※2が若干大きい傾向にあったことが判明した。
燃料取替クレーンは、作業前の定期事業者検査等で異常のないことを確認しているが、再度、模擬燃料による動作確認等を実施し、その健全性を再確認した。
 以上のことから、今回の事象は、使用に伴って発生する燃料の曲がりが若干大きい傾向にあったことから、第4、5支持格子と燃料取替クレーンのガイドバーとの干渉が大きかったことから、設定値を超える荷重変動が発生し、燃料取替クレーンが自動停止したものと推定されました。

 原因調査の結果、燃料および燃料取替クレーンに問題がなかったことから、4月28日0時21分に装荷作業を再開しましたが、同じ位置で自動停止が発生し、支持格子とガイドバーの干渉を回避させる操作を行い、当該燃料を所定の炉心位置に吊り下ろすことができたが、燃料装荷作業に約4時間を要したことから、当該燃料は燃料取替クレーンで円滑に取り扱えなかったと判断し、次サイクルでの使用を見合わせ炉心内の燃料配置等を再検討することとしました。
 このため、5月1日19時03分、全ての燃料を一旦使用済燃料ピットに取り出し、燃料の炉心装荷パターンの組み直しの検討を行った後、5月14日1時12分に燃料装荷作業を再開し、5月17日11時25分に燃料装荷作業を完了しました。

 なお、今回の事象は、燃料取替クレーンのガイドバーと燃料の支持格子との干渉が大きかったものであり、次回定期検査時に支持格子との干渉を低減させる形状のガイドバーに取り替えることにしました。

 本事象による環境への影響はありません。
 
※1  燃料等の吊り荷重がクレーン昇降に伴って生じる変化量。
※2  燃料を原子炉で使用した際に、中性子による照射成長が発生する。原子炉内の中性子束の分布は一様でないため、燃料内でも照射成長に差が生じることで、燃料にわずかであるが曲がりが生じる。

以 上

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