運転中、平成16年11月19日21時51分に「起変6.6kV側地絡」等の警報*1が発信し、同日21時54分に「3起変内部故障過負荷」警報*2が発信しました。
これにより、起動変圧器用しゃ断器(ST30)が自動開放し、非常用高圧母線*3(A,B系統)の電源が起動変圧器から所内変圧器に自動的に切り替わりました。この事象による環境への影響はありません。
1.警報発信時のプラント状況
A系非常用高圧母線の地絡・短絡に伴う電圧低下により、A-非常用ディーゼル発電機の自動起動や蒸気発生器ブローダウン隔離弁の閉止等が起きました。なお、蒸気発生器ブローダウン隔離弁の閉止等に伴い熱効率が上昇したため、電気出力がわずかに上昇(約90万kW→91万kW)したが、当該弁の開放等の復旧操作を行い、警報発信前の状態(約90万kW)に復帰しました。 また、起動変圧器用しゃ断機(ST30)の自動開放に伴い、4号機の非常用高圧母線(A,B系統)の電源についても、起動変圧器から所内変圧器に自動的に切り替わりましたが、電圧低下や、電気出力の変動等はありませんでした。その後、設備の健全性を確認し、11月22日に起動変圧器からの受電に切り替えました。
2.原因調査
警報発信状況を確認したところ、A系非常用高圧母線系統の地絡・短絡を検知して警報が発信していることがわかりました。
現場を点検した結果、起動変圧器とA系非常用高圧母線を結ぶ電源ラインの途中にあるラダーケーブル接続箱の変形および変色等が確認されました。さらに、この接続箱の中を確認したところ、起動変圧器からの導体とA系非常用高圧母線からのラダーケーブルを接続している部分で、がい子の破損や放電痕が確認されました。また、接続箱フランジ継手の雨仕舞(カバー)部には、腐食に伴う貫通孔が確認され、接続箱内面底部に水が認められました。
これらのことから、接続箱フランジ継手部の腐食により発生した貫通孔から侵入した雨水等により、がい子の表面が汚れたため絶縁が低下し、地絡・短絡が発生して警報が発報したものと推定しました。
3.対策
地絡・短絡の影響が見られた部品等の取り替えを行います。また、ラダーケーブル接続箱フランジ継手部については、これまで雨仕舞を取り外して点検していなかったため、今後、雨仕舞を取り外した上で点検を行うよう点検要領書に記載しました。
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起動変圧器6.6kV側の1相の大地とのショート(地絡)を検知して発信する警報 |
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起動変圧器6.6kV側の相間でのショート(短絡)や2相以上の地絡を検知して発信する警報 |
*3 |
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起動変圧器、所内変圧器、予備変圧器または、非常用ディーゼル発電機から電気を受け、安全系機器等に電気を供給するための母線 |
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