プレスリリース

2004年10月26日

火力発電所の定期事業者検査に関する自主調査結果について

 当社は、本日、火力発電所の定期事業者検査に関する自主調査結果について、近畿経済産業局に報告書を提出いたしました。

<経緯>
  当社では、関西国際空港エネルギーセンター(以下「関空エネセン」という)の「定期事業者検査」(※1)に関する近畿経済産業局指示にもとづく調査(13検査)(※2)(平成16年6月28日発表済み)に引き続き、各火力発電所の初回の「安全管理審査」(※3)受審後の全ての「定期事業者検査」(残り36検査)について追加調査を行いました。
  調査は、前回調査と同様、社外第三者の専門家の指導を得るとともに、社内他部門も加え透明性・客観性を確保しつつ進めました。

<今回の調査結果>
  調査の結果、「コンプライアンスにかかわる不適切事項」として、「計測値・管理基準値(※4)を書き換えたもの」が14件ありました。(別添参照)

<原因>
  14件の「コンプライアンスにかかわる不適切事項」が発生した主な原因は、前回と同様ですが、改めて整理すると下記のとおりとなります。

(1)   平成12年7月の「安全管理審査制度」の導入に際し、本店火力部門において「品質システム」(※5)構築時の対応が適切でなかったこと。
     
  機器の分解検査における組立途中の参考記録等についても「品質記録」(※6)として「管理基準値」を設定したが、設定のしかたが実態に合わなかったり、「管理基準値」を満たさない場合の措置等の運用方法を明確にしなかったりしたため、一部の「管理基準値」が軽視されることとなった。
     
(2)   火力部門におけるコンプライアンス意識の浸透が十分でなかったこと。
     
  一部の「管理基準値」が軽視されたことから、メーカーの目安値の範囲内であれば「計測値・管理基準値」を変更してもいいのではないかとの考えが生じた。
     
(3)   その他の間接的な原因があったこと。
     
  本店火力部門が、「品質システム」の構築・運用にあたり、適切な指導・管理を行わなかった。
  火力発電所の「品質システム」における内部チェックが十分に機能しなかった。
  火力発電所が業務上の問題について改善策などを本店・火力センターに上申せず、本店・火力センターも火力発電所のフォローをしなかったという、火力部門内の風通しの悪さがあった。
  火力部門で、品質管理に関する説明責任について認識不足があった。
     


<再発防止対策>
  再発防止対策は前回発表したとおりですが、主な項目とその進捗状況は次のとおりです。

(1)   「品質システム」の再構築について
     
  「品質記録」の検査対象項目ごとの「管理基準値」の適切な設定と運用方法の明確化(8月までに試行案策定済。各発電所の「定期事業者検査」で順次展開中)
  火力部門トップマネジメントを含めた、品質管理に関する研修会の実施(8月までに実施済)
  内部品質監査における着眼点の明確化、品質・安全監査室への火力部門専門の監査担当の配置等、内部チェックの充実(9月までに実施済)
     
(2)   意識等の改善について
     
  社長、火力部門トップマネジメントによる、火力発電所員に対するコンプライアンス徹底の指導(8月までに実施済)
  発電所幹部による、火力発電所員に対するコンプライアンス、品質記録の重要性の説明・指導の実施(9月までに実施済、毎年継続実施予定)

 

 今後、さらなる「品質システム」の適正化、本店・火力センター・火力発電所間のコミュニケーションの強化など再発防止対策の徹底に取り組むとともに、それらの対策を定期的に「品質・安全委員会」等経営層へ報告するなどの歯止めの対策も講じてまいります。

 今回の件に関し、関係各位をはじめとする皆さまに対しまして、改めて深くお詫び申し上げますとともに、今後二度と同様のことを起こさないために、再発防止対策の徹底に取り組み、信頼の回復に努めてまいります。

以 上

 

(※1)「定期事業者検査」  ……  機器の健全性確認のため定期的に事業者が行う自主検査。(電気事業法第55条第1項)
(※2)「近畿経済産業局指示にもとづく調査」  ……  関空エネセンの全ての「定期事業者検査」および他の10ヶ所の火力発電所(旧姫路LNG管理所を含む)における直近の「定期事業者検査」を対象とした調査結果
(※3)「安全管理審査」  ……  「定期事業者検査」を行う事業者に対して行われる国の審査。「定期事 業者検査」にかかる組織、検査の方法、工程管理等について行うもの。システム審査の結果が適合であれば、その3年後に国の審査を受ければよいとのインセンティブが与えられる。(電気事業法第55条第4項)
(※4)「管理基準値  ……  ここでは、検査記録において、機器の健全性確認に必要となる合否判定のための基準値をいう。
(※5)「品質システム」  ……  ここでは、「定期事業者検査」の実施にかかる組織、検査の方法(「品質記録」の様式を含む)、工程管理等、「定期事業者検査」の品質を管理するためのしくみ全体をいう。「安全管理審査」では、これらの事項について審査が行われる。(電気事業法第55条第5項)
(※6)「品質記録」  ……  「品質システム」が効果的に運用されていることや、機器の健全性が確認されていることを実証する証拠文書のこと。「品質記録」のひとつである「定期事業者検査」の検査記録には、「管理基準値」の設定が要求される。(原子力安全・保安院内規)

 

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