プレスリリース

2011年8月26日
関西電力株式会社

高浜発電所4号機の定期検査状況について(蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査結果に対する原因と対策について)

 高浜発電所4号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力87万キロワット、定格熱出力266万キロワット)は、平成23年7月21日から第20回定期検査を実施していますが、3台ある蒸気発生器(SG)の伝熱管全数*1について渦流探傷検査(ECT)*2を実施した結果、B−SGの伝熱管1本およびC−SGの伝熱管1本の高温側管板*3部(計2本)で、有意な信号指示が認められました。
なお、A−SGの伝熱管については、有意な信号指示は認められませんでした。
 本事象による環境への放射能の影響はありません。

  • *1 既施栓管を除きA−SGで3,247本、B−SGで3,249本、C−SGで3,260本、合計9,756本。
  • *2 高周波電流を流したコイルを、伝熱管に接近させることで対象物に渦電流を発生させ、対象物の欠陥により生じた渦電流の変化を電気信号として取り出すことで欠陥を検出する検査。
  • *3 蒸気発生器内の伝熱管が取り付けられている部品。伝熱管と管板で、1次冷却材と給水(2次冷却水)の圧力障壁となる。

平成23年8月18日お知らせ済み]

1.原因調査
 伝熱管2本の高温側管板部で有意な信号指示が認められた原因を調査するため、過去の調査結果との比較や運転履歴の調査を実施しました。
(1)過去の調査結果との比較
  • ・高浜4号機では、第11回定期検査(平成11年)において高温側管板拡管部で有意な信号指示が確認され、抜管調査の結果、ローラ拡管*4上端部付近の伝熱管内面で軸方向に沿った割れが認められました。原因は、管内面での引張り残留応力と運転時の内圧とが相まって生じた応力腐食割れであると推定しました。
  • ・その後、当該部の応力腐食割れの発生を予防するため、第13回定期検査(平成14年)でSG伝熱管の高温側管板拡管部内面にショットピーニング*5を施工し、伝熱管内表面の引張り残留応力を改善しました。
  • ・今回の有意な信号指示は、いずれも1高温側管板部のローラ拡管上端部付近であり、2伝熱管の軸方向に沿った内面傷を示す指示であるなど、過去に同機で検出された信号と類似の特徴が認められました。
  • *4 伝熱管内部に機械式ローラを通すことで伝熱管を押し広げて、伝熱管と管板を接合させる工程。
  • *5 伝熱管内面に小さな金属球を高速で叩き付けることにより、伝熱管内面の引張り残留応力を圧縮応力に改善する工事。
(2)ショットピーニングの効果
  • ・ショットピーニングでは、伝熱管内表面近傍(深さ約0.2mmまで)の引張り残留応力が改善されますが、これより深い部分では効果が小さいことが知られています。
  • ・このため、ショットピーニング施工時に、深さ約0.2mm以上で当時使用していたECTの検出限界未満(深さ約0.5mm未満)の微小な傷が既に発生していた場合、時間の経過とともに傷が進展する可能性があると推定しました。
(3)運転履歴調査
 運転開始以降、今定期検査開始に至るまでの期間について、1次冷却材の主要パラメータである温度、圧力、水質について調査を行った結果、過大な応力を発生させる温度、圧力の変化はなく、水質も基準値の範囲内で安定していたことを確認しました。
2.推定原因
 有意な信号指示が認められた原因は、過去の調査結果等からSG製作時に当該伝熱管を管板部で拡管する際、管内面に引張り残留応力が生じ、これが運転時の内圧と相まって伝熱管内面で応力腐食割れが発生し、今回検出されたものと推定しました。
3.対策
 有意な信号指示が認められた伝熱管2本については、高温側および低温側管板部で閉止栓(機械式栓)を施工し、使用しないこととします。

以 上

(経済産業省によるINESの暫定評価)
基準1 基準2 基準3 評価レベル
0− 0−

INES:国際原子力事象評価尺度

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