プレスリリース

2004年9月27日

美浜発電所3号機2次系配管破損事故に係る報告について(現時点でのとりまとめ)

当面とるべき対策

(1) 体制強化(8月27日発表済) 
 
(2)労働安全の確保
 a.事故後直ちに実施した対策
・ 現在、運転中のプラントへの立ち入り制限を実施するとともに、定期検査前準備作業を実施しないこととしているが、今後、定期検査において、プラント運転中に事前準備として行っていた作業の内容、優先度および重要度を精査し、必要な作業については制限事項と安全確保策を明確にするなど、定期検査前準備作業の改善を図り、協力会社および地元の方々のご理解を得ていくこととする。  
 b.被災者救出活動の確実な実施
・ 管理区域外での災害においても、医療機関等に確実に状況を把握していただくために、被ばくまたは汚染がないという情報を的確に伝達できるよう社内標準へ追加した。  等  
 c.作業者への安全上重要事項の周知徹底   
 
(3)2次系配管肉厚管理における外注管理の徹底した見直し  
 a.当面の対策   
 (a)当社主体的管理の実施(8月27日発表済)   
 (b)2次系配管肉厚調査工事の当社現場立会い等の強化  
 b.2次系配管肉厚管理における外注管理の抜本的見直し
肉厚測定作業を除く2次系配管肉厚管理業務は、当社が自ら全て実施することとし、必要なシステムを含め、協力会社から当社に移管する(12月末目途)。
 
 
(4)2次系配管肉厚管理の強化  
 a.肉厚管理が必要な配管への表示札取り付け
主復水・主給水系統の主要点検部位について、点検状況等を記載した表示札を、各プラントの今後の定期検査において順次取り付けることとした。  
 b.技術基準適合性判断の厳正化
・ 当社が行ってきた肉厚管理において、原子力安全・保安院より、これまで一部に技術基準解釈の不適当な適用が行われていると指摘を受けたことから、今後は、技術基準の適用を厳正に行い、技術基準の解釈に明記されている規定値を用いて運用することとした 
 c.教育の充実
2次系配管肉厚管理の重要性を含む教育を体系的に実施する。
 
 
(5)NIPSの改善および高度化
スケルトン図と管理票をNIPSの2次系配管肉厚管理システム内でリンクさせる。
主要点検部位の新たな追加等、重要な変更がシステムに入力された場合、当該箇所が明確に認識できるようビジュアル化を図るとともに、関係者にその変更を通知するなどの改善を図る。  等
 
 
(6)定期検査における現場作業等の工事管理業務の直営化
当社社員の保全業務能力をより強化するため、定期検査における現場作業等の工事管理業務を専門的に行うグループを設置することを検討し、今年中目途に具体化させる。
 
 
(7) 水平展開の実施
・ 今回の点検リスト漏れのような事例が発電所で発生した場合、他の発電所で水平展開が図れる仕組みを構築することとした。  等
 
 
(8) 当社と協力会社との情報共有化
当社発電所と協力会社との間で、更なる双方向の情報の受け渡しを行い、得られた情報は、3ヶ月に1回の頻度で集約し、発電所長以下で今後の対応について検討していくこととする。
 
 
(9) 地元の皆さまとの対話活動の充実
・ 地元の方々が発電所に向けるお気持ちを発電所の技術者等も直接汲み取り、発電所を運営することが重要であることから、地元の方々と発電所の技術者等も直接対話する機会を増やすなどの改善を図る(10月から開始)。
・ また、当社幹部が直接地元の方々のご意見を聞かせて頂き、かつ当社の状況等を定期的にご説明するため、当面、社長は年1回程度、本店原子力部門および若狭支社の幹部は年3回程度の頻度で各立地町の方々と対話させていただく機会を作らせていただくこととする。

 

 
 
 
今後の課題

(1) 原因究明のための課題   
 a.破損メカニズム解明のための解析、試験   
 b.2次系プラント挙動シミュレーション   
 c.破損事故の影響範囲に関する調査
 
(2) 品質保証、保守管理上の問題点の調査   
 a.品質保証の観点からの今後の調査
・ 業務の計画については、PWR管理指針に基づくスケルトン図・管理票の維持管理方法、当社と協力会社の役割分担ならびに人的ミス等のリスク要因の考慮状況について調査する。
・ 調達管理については、スケルトン図・管理票の管理に対する当社確認状況、点検箇所の記載漏れ等の不適合事象の連絡の状況ならびに調達先に対する監査状況について調査する。  等
 b.補修工事における調達管理の厳正化
・ 上記調査を踏まえ、標準仕様書等への反映を計画する(12月末目途)。
 c.保全体制の再構築
社内関係者および社外有識者で構成する「原子力保全機能強化検討委員会」を設置し、現行の保全体制の課題整理、メーカ等を含む体制の再構築等の検討を開始、12月末を目途に、保全体制の再構築を図る。     
 
 
(3) 2次系配管肉厚管理の更なる充実  
 a.肉厚管理の充実
・ 2次系配管肉厚管理の充実を図るため、今後、定期検査を開始するプラントから順次、主要点検部位について、「余寿命が2年以下となる前に点検を行う」を改め、「余寿命が5年以下となる時期に点検を行う。さらに、余寿命が5年以下の場合は、取替・溶接補修までの間は、毎年点検を継続する」と変更した。
・ さらに、肉厚管理データの拡充を図るため、至近3回以内の定期検査において、その他部位の未点検箇所を全て点検する。   
 b.PWR管理指針の高度化
当社における過去の肉厚管理データの分析、取替え実績の整理を行い、どういった部位がどのような減肉率であるかを整理する。また、その他の系統に関して、減肉傾向を持つ箇所もあるため、肉厚管理を行う範囲や具体的運用方法等について見直す。  等
 
 
 
以  上
プレスリリース