安定供給を守る防災・減災対策――関西電力グループ
ACTIVE KANSAI
2023.11.30

安定供給を守る防災・減災対策――関西電力グループ

ライフラインである電気の安定供給を守るため、一丸となって防災・減災対策を進める関西電力グループ。防災を統括する長田晃一(関西電力執行役員・総務室長)に話を聞いた。

豪雨、台風など自然災害が頻発しているが、現状をどう見ている?

日本は地形や気象などの自然条件から、ただでさえ災害が発生しやすい。さらに近年、地球温暖化に伴い大雨の発生頻度が大幅に増加。土砂災害の発生回数が増加傾向にあります。今後20年以内の南海トラフ地震発生確率は60%、30年以内だと70〜80%という国の調査結果も出ており、今後も自然災害の頻発化・激甚化の傾向が続くことは必至。電力の安全・安定供給の責務を果たすため対策強化の必要性を感じています。

関西電力として南海トラフ地震なども見据え、防災・減災にどう取り組んでいる?

地震、台風などの大規模災害発生時には、関西電力と関西電力送配電は一体となって電力・ガスの安定供給の責務を果たします。対策の基本は「早期復旧に向けた防災体制の確立」と「災害に強い設備づくり」です。

早期復旧に向けた防災体制としては、土砂崩れなどで侵入困難な場所もドローンで設備の被害状況を確認できるようにするほか、架線の復旧工事にもドローンを導入し復旧の迅速化を図っています。

災害に強い設備づくりでは、発電設備や送配電設備の防災・減災対策を実施。火力発電所ではタンクからの燃料流出防止のため緊急遮断弁を遠隔操作できるよう改修。送配電設備では、津波を想定した送電ルートの見直しや変電所設備のかさ上げ、防水パネルや水門の設置などを実施しています。

発災後の対策は?

関西電力社長を非常災害対策本部長とし、関西電力と送配電合同で行う全社防災訓練を毎年実施しており、巨大地震により原子力災害が引き起こされるケースなどさまざまなシビアアクシデントを想定し、対応スキルの向上を図っています。

また、災害時の速やかな初動対応に向け、対応者の指定や統括者の宿直を行うほか、対応者・統括者向けの訓練を年に複数回実施。大規模災害発生時に2時間以内に出社可能な社員を対象にした徒歩・自転車での出社訓練を隔年で実施しています。

外部連携も進めていると聞いたが、具体的には?

自衛隊、海上保安庁と資機材や人員輸送の連携協定を結ぶほか、復旧に向かう車両の通行経路を確保するため、自治体や高速道路会社とも協定を結んでいます。台風や地震では樹木や瓦礫に阻まれ現場にたどり着けないことも。電柱を立て直すにも瓦礫を除去する必要があり、関係各所との相互連携が不可欠です。

連携先とは定期的に意見交換を行うほか、自衛隊・海上保安庁とは年1回、人員・資機材の輸送訓練を実施し発災時スムーズな連携がとれる体制を整えています。どういう役割分担で進めるのか事前に決め、協力体制を整備しておくことが早期復旧につながります。

防災・減災対策を維持・向上していくには何が必要?

社員教育だと考えています。当社は阪神・淡路大震災を経験しているが、28年が経過し、震災を知らない社員も増えてきた。全社員に向け、過去の災害を教訓に発災時に取るべき行動や平時からの備えを示すほか、防災eラーニング研修なども行い教育に力を入れています。

発電所では、総合防災訓練をはじめ、指揮者や運転員などそれぞれの役割に応じた教育や訓練を繰り返し、いざというとき、安全にスピーディーに対応できるよう技術力向上に日々努めています。

今後の抱負は

防災対策の強化に終わりはありません。大規模災害発生時、可能な限り停電を少なくすること、停電した場合でも一刻も早く復旧し、経済・社会の早期安定に貢献することが関西電力グループの使命。設備被害を軽減するハード面の対策と発災時の対応能力を強化するソフト面の対策を両輪で進め、電力の安全・安定供給という「あたりまえ」を守るため力を尽くしたい。それが、お客さまや社会の皆さまからの信頼獲得につながると信じています。

長田晃一
長田晃一
関西電力執行役員
総務室長
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