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2020年12月15日
関西電力株式会社

高浜発電所4号機の定期検査状況について(蒸気発生器伝熱管損傷に関する点検状況の続報)

 高浜発電所4号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力87万キロワット、定格熱出力266万キロワット)は、2020年10月7日から第23回定期検査を実施しており、3台ある蒸気発生器(SG)の伝熱管全数※1について渦流探傷検査(ECT)※2を実施した結果、A-SGの伝熱管1本、C-SGの伝熱管3本の管支持板※3部付近に外面(2次側)からの減肉とみられる有意な信号指示が認められました。
 小型カメラを用いて有意な信号指示があった伝熱管の外観を調査した結果、A-SG伝熱管の信号指示箇所に付着物を確認しました。付着物を回収した結果、大きさは幅約15mm、長さ約9mmでした。また伝熱管のきずの大きさは、幅約1mm以下、周方向に約4mmでした。
 また、C-SGの3本の伝熱管には、信号指示箇所に幅約1mmもしくは1mm以下、周方向に約2mmから7mmのきずを確認しました。このうち、1本の伝熱管において、伝熱管と管支持板の間に付着物が挟まっていることを確認しました。
 これら4本の伝熱管のきずの位置は、いずれも、第3管支持板下端付近もしくは、第3管支持板下端から約1mm~8mm下にあることを確認しました。
 これらの他、高浜発電所4号機の前回定期検査および高浜発電所3号機の現在の定期検査において、SG伝熱管外面に減肉が発生した事象を踏まえ、SGブローダウン系統(SG内の水の排水系統)に設置した仮設フィルタを取り外し、異物の有無の確認を行った結果、スラッジ※4等を回収しましたが、伝熱管をきずつけるような異物は確認できませんでした。

  • ※1 過去に有意な信号指示が認められ、施栓した管等を除きA-SGで3,244本、B-SGで3,247本、C-SGで3,256本、合計9,747本。
  • ※2 高周波電流を流したコイルを、伝熱管に接近させることで対象物に渦電流を発生させ、対象物のきず等により生じた渦電流の変化を電気信号として取り出すことできず等を検出する検査であり、伝熱管の内面(1次側)より、伝熱管の内面(1次側)と外面(2次側)の両方を検査している。
  • ※3 伝熱管を支持する部品。
  • ※4 2次系配管に含まれる鉄の微粒子が固まってできた鉄酸化物。

2020年11月20日25日お知らせ済み]

1.A-SGおよびC-SGにおいて確認された付着物の調査状況

 A-SGで確認された付着物(付着物A)およびC-SGで確認された付着物(付着物C)を回収し、工場において化学成分分析、外観観察等の詳細調査を実施した結果、以下のことを確認しました。
 なお、付着物Cについては、回収時に、管支持板と伝熱管の間に挟まっていた部分が粉砕したものの、残りの部分(幅約5mm、長さ約3mm、厚さ約0.4mm、重さ約0.02g)を回収しました。

(1)外観観察結果
 付着物A(幅約15mm、長さ約9mm、厚さ約0.2~0.3mm、重さ約0.1g)には、伝熱管減肉部と接触していたと想定される部位に、接触痕があり光沢が認められました。付着物Cには、接触痕や光沢は確認できませんでした。
 付着物AおよびCの形状を計測した結果、それぞれ、直径約22.5mm、約21.9mmの円筒状に沿った形状であり、伝熱管(円筒)の外周(直径約22.2mm)に近い形状であることを確認しました。
(2)電子顕微鏡による観察結果
 付着物Aについて、伝熱管減肉部と接触していたと想定される部位を拡大観察した結果、筋状痕を確認し、伝熱管との摺動によりできたものと推定しました。
 一方、付着物Cには、表面の一部に平滑な面がありましたが、筋状痕は確認できませんでした。
(3)成分分析結果
 付着物AおよびCの化学成分分析の結果、主成分はマグネタイトであることを確認し、SG内で発生するスラッジと同成分であることを確認しました。
 付着物Aでは、伝熱管減肉部と接触していたと想定される部位に、伝熱管の主成分であるニッケルおよびクロムの成分を検出したことから、この付着物が伝熱管をきずつけた可能性が高いと推定しました。
 一方、付着物Cでは、表面の一部にニッケルをわずかに検出しましたが、クロムは検出されませんでした。

 これらのことから、回収した付着物はプラント運転に伴い、SG伝熱管外表面に生成された鉄酸化物(スケール)と推定しました。

2.SG器内(2次側)の異物調査の状況

 小型カメラを用いて、A、C-SG器内の管板、流量分配板、第1、第2管支持板上面の全ての範囲および損傷した伝熱管周辺部(第3管支持板下面)を調査した結果、スラッジ以外の異物は確認できませんでした。

3.今後の予定

 スケールが伝熱管をきずつけるメカニズムを調査するため、SG内からスケールを採取し、今回、伝熱管をきずつけたスケールの性状との比較調査等を行います。
 また、SGおよび2次冷却系統の水質管理の履歴等について調査を行います。

以 上

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