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2016年2月22日
関西電力株式会社

高浜発電所4号機における管理区域内での水漏れに係る原因と対策について

 高浜発電所4号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力87万キロワット、定格熱出力266万キロワット、第20回定期検査中)は、平成28年2月20日15時42分頃、1次冷却材系統の昇温に向け化学体積制御系統の水をほう素熱再生系統に通水したところ、「1次系床ドレン注意」警報が発信しました。
 このため、同日15時45分に当該系統への通水を停止するとともに、当社運転員が現場を確認したところ、高浜発電所4号機の原子炉補助建屋の脱塩塔※1室前(EL10.5m)の床面に水溜り(約2m×約4m×約1mm:約8リットル)を発見しました。
 その後、水溜り(放射能量は約1.4×10Bq※2(約1.74Bq/cm×8リットル))は拭き取り、水溜りのあった箇所は汚染が無いことを確認しました。
 なお、この事象による環境への放射能の影響はありません。

  • ※1:1次冷却材から樹脂を用いて不純物を取り除くろ過設備。
  • ※2:今回の水溜りの推定放射能量(約1.4×10Bq)は、国のトラブル事象の基準値(3.7×10Bq)に比べ、200分の1以下の値となっています。

平成28年2月20日お知らせ済み]

1.原因調査
(1)現地調査結果
  • ・脱塩塔室前の水溜り周辺を確認したところ、水溜りの上部にある弁2台(B-冷却材脱塩塔の入口側および出口側の弁)の周辺に水滴が付着していることを確認しました。
  • ・2台の弁を含むB-冷却材脱塩塔周りの系統を隔離して加圧したところ、約1.1Mpaまで加圧したところで、B-冷却材脱塩塔の入口側の弁(CS-043B)の弁箱とダイヤフラムシートの間から漏えい(約0.7リットル/分)が認められました。
  • ・B-冷却材脱塩塔の出口側の弁については、設計圧力近くまで加圧しましたが漏えいは認められませんでした。このため、漏えい箇所は、B-冷却材脱塩塔の入口側の弁と判断しました。
(2)B-冷却材脱塩塔の入口側の弁の分解点検結果
  • ・当該弁については、第18回定期検査(平成20年8月~平成21年1月)において分解点検を実施していることを確認しました。
  • ・今回、弁の分解点検の結果、弁箱内部に異物や損傷等の異常がないことを確認するとともに、ダイヤフラムシートに劣化等の異常がないことを確認しました。
  • ・弁のボンネットボルト(4本)の締め付け状態を確認した結果、一部のボルトの締め付け圧が低い状態であり、均等に締付されていないことを確認しました。
  • ・現場の状況を確認した結果、当該弁は弁駆動軸が水平方向の弁であり、狭隘な場所に設置されていることからボルトの締め付け作業にあたり、一部のボルトに適正なトルクがかかっていなかったものと推定しました。
(3)運転記録の結果
  • ・B-冷却材脱塩塔の入口側弁の上流側に設置されている圧力計の記録を確認したところ、警報発信前のほう素熱再生系統への通水操作時に一時的な圧力上昇(約2.3MPaから約3.0MPa)があることを確認しました。
  • ・過去の記録を確認したところ、これまでもほう素熱再生系統への通水操作時に一時的に圧力が上昇していることを確認しました。
2.推定原因
 B-冷却材脱塩塔の入口側弁のボルトの締め付けについて、現場の取り付け状況等の要因により、一部のボルトの締め付け圧が低い状態であったため、化学体積制御系からほう素熱再生系統への通水操作による系統の圧力の一時的な上昇に伴い、当該弁から漏えいが発生したものと推定しました。
3.対策
 当該弁のダイヤフラムシートを新品に取替えるとともに、当該弁をはじめ、1次系冷却水が流れる系統の同種の弁(弁駆動軸が水平方向の弁)について、適正に締め付けられていることを確認します。
 また、締め付けにあたっては、作業場所に適した工具を選定するなど、作業に留意することを弁作業手順書に反映します。
 化学体積制御系統の水をほう素熱再生系統に通水する際には、圧力変動の影響が小さくなるよう、化学体積制御系統の抽出水の圧力が低い状態(約1.0Mpa)で行うこととし、運転操作所則に反映します。

以 上

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