プレスリリース

2010年10月28日
関西電力株式会社

美浜発電所2号機の定期検査状況について(調整運転中における電気出力の変動の原因と対策)

 美浜発電所2号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力50万キロワット、定格熱出力145万6千キロワット。)は、第26回定期検査において、電気出力約30%で調整運転中のところ、10月26日15時15分頃、2次系にある高圧給水加熱器*1のドレン水を系統外への排出から復水器への回収に切り替える*2ために弁操作を実施していたところ、復水器の真空度が低下(約98kPa→約82kPa)し、これに伴い電気出力が約22%に低下しました。
 直ちに当該操作を中止するとともに、復水器真空ポンプ2台が自動起動し、15時51分に復水器真空度および電気出力は事象発生前の状態(約98kPa、約30%)に復帰しました。
 この事象による周辺環境への放射能の影響はありません。

  • *1 蒸気発生器への給水を、高圧タービンを回した後の蒸気の一部を用いて加熱する機器。
  • *2 高圧タービンを回した後の蒸気の一部を高圧給水加熱器に回し、給水を加熱させると、蒸気が凝縮してドレン水(高圧給水ヒータドレン)になる。ドレン水は、原子炉起動当初は水質(鉄などの不純物濃度)が基準を満足しないため、系統外に放出しているが、運転に伴い、水質が基準を満足する状態になれば、復水器に回収している。

平成22年10月26日 お知らせ済み]

1.調査結果
(1)設備に関する調査
 復水器の真空度は、外部から空気が流れ込んだ場合に低下することから、当該ドレン系統の配管および弁について外観点検を行った結果、漏れや吸込みがないことを確認しました。また、復水器周辺の配管や機器にも異常は認められませんでした。
(2)運転操作に関する調査
  • ・復水器の真空度が低下した時間帯に、復水器の真空度に影響を与える可能性がある運転操作は、高圧給水加熱器ドレン切替操作以外には行っていませんでした。
  • ・この操作では、ドレンをそれまでのタンクを通じての放水口への排出から、復水器側へ切り替える準備として、一旦、ドレンを脱気器への回収に切り替えた状態としたうえで、タンクへの排出弁を閉止し、復水器への回収弁を開く操作を実施しており、B系のドレン切替操作の際に、復水器の真空度が低下しました。
  • ・現場で弁を操作していた当社運転員2名(運転員A,B)に聞き取り調査を行った結果、運転員AがA系のドレン切替操作を完了させた後、B系の切替操作に移った際、運転員BのOJT(On-the-Job Training)として、運転員Aは排出弁を途中まで閉止した後、運転員Bに操作を交代しました。その後、運転員Aは、運転員Bが当該弁の閉止を完了したことを確認せずに、回収弁の開操作を開始したことがわかりました。
2.推定原因
 高圧給水加熱器ドレンを系統外への排出から復水器への回収に切り替える際、弁の操作にあたった運転員が、排出弁の閉止を確認せずに復水器への回収弁を開いたことにより、系統外から復水器に空気が吸い込まれ、復水器真空度が低下し、電気出力が低下したものと推定しました。
3.対 策
  • ・今回の事例を含めて、確認を怠ったことによるトラブル事例を用いて、運転員全員に対して「1操作・1確認」の重要性を再認識させるための研修を実施します。
  • ・また、今回の事象がOJTの際に発生したことから、OJTの基本である操作者の操作に対する指導員の確認を徹底させるとともに、上位者が、あらかじめ指導員に対して操作のポイントやリスクを問いかけて確認し、現場で確実に指導できるようにします。

 今後、運転員への事例研修を行った後、高圧給水加熱器のドレンを復水器に回収するよう切り替えた後、電気出力を上昇させ、11月中旬に経済産業省の最終検査を受けて本格運転を再開する予定です。

以 上

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