プレスリリース

2009年2月2日
関西電力株式会社

「軟岩・硬岩併用型ボーリングビット」の開発について

 当社は、この度、軟岩・硬岩ともに乱れが少なく、高精度なサンプリングが可能なボーリング用ビット※1を開発しました。
 山間の斜面などで岩盤調査を行う際には、ボーリングによるサンプリングを行いますが、今回開発した技術により、軟岩・硬岩ともに乱れなくサンプリングでき、岩盤物性を精度よく評価できるようになります。

  • ※1 ボーリングマシン先端部の歯

 ボーリングによるサンプリングでは、ビットの冷却、および、削孔により発生するスライム※2排出のため、ビット部から水(削孔水)を流しながら作業を進めます。
 ビットの冷却効率を考えて、削孔水は下向き(歯先方向)に流出させますが、粘土化した軟岩では、削孔水がビット内のサンプル試料の中に入り込むことによる「試料の乱れ」が発生することがあり、物性※3を精度よく評価できませんでした。

  • ※2 岩盤削孔時に発生する粉末状の削りカス
  • ※3 
    • 例:・サンプルに圧力を加えることによる圧密特性評価、せん断特性評価
    • ・サンプルに水侵・乾燥を繰り返し与えることによる形状保持性評価などこれらは試料に乱れがあると精度よい評価ができない。

 今回、軟岩と硬岩で削孔に必要な水量が異なることに着目し、試行錯誤の末、ビット先端形状に工夫を加え、水量によって削孔水の流出方向が変化するビットを開発しました。
  このビットを用いると、軟岩サンプリング時には、削孔水量を減らすことにより削孔水が外向きに流出し、「試料の乱れ」がほとんど発生しません。
 一方、硬岩サンプリング時は、軟岩より削孔水量を増やすため、従来のビットと同様に削孔水が下向きに流出し、ビットを効率的に冷却できます。

 開発したボーリングビットの主な特徴は、以下のとおりです。

  1. 同一のビットで、軟岩、硬岩ともに乱れのないサンプリング可。
  2. これまで使用していたボーリングマシンのビット部取り替えで対応可。
  3. ビット使用時に、特別な装置や技術は必要なく、価格も従来と同等。

 開発したビットは、軟岩・硬岩が分布する岩盤で採取試料の品質を確認済であり、今後は、当社の水力発電所におけるダム基盤、導水路トンネル、斜面や変電所における斜面などの地質調査等で活用してまいります。また、岩盤構造物の設計合理化、安全性向上につながる技術として、社外へのサービス提供も進めてまいります。

以 上

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