プレスリリース

2007年1月30日
関西電力株式会社

高浜発電所1号機の定期検査状況について(原子炉補助建屋(管理区域)での水漏れの原因と対策)

 高浜発電所1号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力82万6千キロワット、定格熱出力244万キロワット)は、第24回定期検査中の平成19年1月14日14時頃に、原子炉補助建屋の体積制御タンク※1室前で、充てん/高圧注入ポンプ※2入口連絡弁他修繕工事の耐圧漏えい試験終了後の復旧作業として流量計閉止フランジの取り外し作業を行っていたところ、水漏れが発生し、協力会社作業員4名にかかりました。作業員4名については、測定の結果、身体に放射能の影響はありませんでした。
 漏水量は約370で、漏えいした放射能量は約6.9×10Bqと推定しております。漏えいした水は、排水目皿から廃液ホールドアップタンクに回収されており、外部への漏えいはなく、環境への放射能の影響はありませんでした。


 ※1: 体積制御タンク
  運転中の1次冷却材系統の保有水量、水素濃度を調整するためのタンク。
 ※2: 充てん/高圧注入ポンプ
  通常運転中は、1次冷却材系統の水質や保有水量等を調整する系統で浄化した1次冷却水を、1次冷却材系統へ送り込むポンプ。

[平成19年1月15日 お知らせ済み]

 作業状況を確認したところ、当初の作業計画では、耐圧漏えい試験を実施した系統の水抜き完了後、1月15日に当該フランジを取り外す計画でしたが、水抜き操作の実施段階で、当該工事を担当する原子炉保修課が系統の水抜き操作など運転を担当する発電室の承認を得ずに、フランジの取り外し作業を実施していたことが判明しました。
 この結果、水抜き操作の過程で、系統内に残留していた圧力により系統内の水が取り外し作業中のフランジから漏えいしたものと推定されました。
 このため、今回の作業状況について関係者から聞き取り調査を実施するなど、詳細な原因調査を行いました。


1.調査結果
(1)作業に当たっての基本ルール
  作業の実施に当たっては、作業担当課は隔離明細書(系統管理に関する作業計画)を作成し、発電室に承認を得て操作を依頼しています。
  また、作業担当課は、作業が可能な系統状態になったことを発電室に確認した上で、作業に着手することになっています。
 
(2)今回の作業状況の調査
1作業計画段階
  原子炉保修課の作業責任者A(当該工事の主担当)は、定期検査開始前の平成 18年10月の段階で、系統の水抜き完了後、1月15日に当該フランジを取り外す計画で隔離明細書を作成し、発電室の承認を得ていました。
  その後、1月12日の段階で、15日の作業負担を軽減するため、14日午前に実施する弁の耐圧漏えい試験が予定どおり終了すれば、同日中に、当該フランジの取り外しを前倒しして実施する計画に変更することとし、その旨を14日の作業責任者Bに引き継ぎました。
  その際、計画変更について発電室の承認が必要なことが引き継がれず、発電室に対して計画変更の手続きが実施されませんでした。
  また、隔離明細書では原子炉保修課が当該フランジの取り付け・取り外し作業を行うため、系統を構成する機器でありながら、当該フランジなどの仮設機器については発電室の管理する機器になっておらず、確実に発電室の許可を得るルールになっていませんでした。
 
2作業着手段階
  14日午前、予定どおり弁の耐圧漏えい試験が終了したため、作業責任者Bは、発電室に水抜き作業の実施を依頼するとともに、同日午後より当該フランジの取り外し作業を実施することとしました。
  作業着手に当たり、作業可能な系統状態になったことを発電室に確認しなければなりませんが、作業責任者Bは、14日に前倒しして当該フランジの取り外し作業を実施することについて、既に発電室の承認が得られていると思い込み、十分な検討をしないまま、当該フランジ部については水抜き操作開始後すぐに取り外し作業が可能になると判断し、発電室に確認せずに協力会社に作業着手を指示していました。
  さらに、当該フランジ取り外しに当たり、本来、発電室にしか操作ができないベント弁について、現場の状況や隔離明細書を十分に確認しないまま、作業責任者Bは協力会社に操作の指示をしていました。

2.推定原因
   原子炉保修課において、事前に発電室の承認が得られていない状態で、水抜き操作中に当該フランジの取り外し作業が行われたため、弁の操作の過程で、系統内に残留していた圧力により系統内の水が取り外し作業中のフランジから漏えいしたものと推定されました。

3.対 策
  全原子力発電所員に対し、隔離操作を実施する上での基本動作の再徹底について周知しました。(平成19年1月16日実施済み)
  作業着手前に系統状態を発電室に確認することや、計画の変更について発電室の承認を得ること、弁等の操作を発電室以外は原則実施できないことなど、基本ルールの遵守や基本動作の徹底について、原子炉保修課をはじめとした作業担当課全員を対象に再教育を速やかに実施します。
  当該フランジなどの仮設機器について、発電室の管理対象になっていなかったため、隔離明細書の手続きの中で発電室の管理対象であることを明確にし、発電室の許可がなくては取り付け・取り外し作業ができないように社内ルールを変更します。
  発電室と原子炉保修課等の作業担当課との間や、課内での連絡・調整が確実に実施されるように、業務の手続きや連携のあり方を検討し、社内ルールに反映します。

以  上

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