プレスリリース

2006年1月26日

低コスト・コンパクト化を実現した高性能な空調用ヒーティングタワーの共同開発および販売について
~水冷式チラーで暖房と冷房の両方が可能なヒーティングタワー~

 空研工業株式会社と中部電力株式会社、東京電力株式会社、関西電力株式会社の4社は、このたび、ビルや工場の空調用に、低コスト・コンパクト化を実現した高性能ヒーティングタワー(注1)(冷却能力454kW/加熱能力235kW)を共同開発いたしました。
 本開発機は空研工業株式会社が、本日から販売を開始し、年間500台以上の販売を目指します。販売価格は、500万円/台です。


 近年、ビルや工場などの大型空調分野においてはイニシャルコストの低減や高効率化の推進によるエネルギーコストの削減に加え、地球環境問題への関心の高まりから、CO2排出量を抑える環境に優しい省エネルギー製品が求められています。
 これまで、水冷式チラー(注2)と組み合わせたヒーティングタワー空調システムは、省エネ性に優れ、高効率運転が可能であるものの、イニシャルコストや霜取り装置の設置工事費用が高いという課題がありました。


 今回開発したヒーティングタワーは、これまで主に冷房専用であった安価で高効率な水冷式チラーを用いて、暖房と冷房の両方を可能とする空調用機器です。
 開発機では、内部の熱交換器の性能向上をさせて本体をコンパクト化することにより材料費を抑えるとともに、部品の標準化により大幅なイニシャルコストの低減を実現しました。さらに内蔵型の霜取り装置を新開発し、冬季の霜取り対策機器を大幅に簡易化し、設置工事費の低減が可能となりました。
 開発機の特長は、以下のとおりです。


1 低コスト・コンパクト化を実現!
   外気と効率よく熱の授受ができる高性能フィン(注3)を熱交換器に採用するとともに、内部を循環する液体に伝熱性能が高い低粘度不凍液(注4)を採用することで熱交換効率を向上させ、従来と同等の能力を、よりコンパクトサイズ(設置面積を空研工業製従来機比10%削減)で発揮できるようにしました。また、部材の標準化により製造コストを徹底的に圧縮しました。これらにより、イニシャルコストを約60%低減(空研工業製従来機比)しました。
 
2 業界最高水準の高効率運転!
   高効率な水冷式チラーとの組み合わせにより、冷房時のシステムCOP4.7、暖房時のシステムCOP3.1(注5)と、ビルや工場の空調システムとしては、業界最高水準となる高効率運転を実現しました。
 
3 簡易な霜取り!
   屋外に設置するヒーティングタワーは、冬季に熱交換器に付着する霜を取り除く必要があります。従来の霜取り方式では、あらかじめ加熱した不凍液を貯蔵する外部タンクと、複雑な配管工事が必要であったため、設置工事費用も高くなっていました。今回の開発機では、小型の霜取り装置(デフロストユニット)を内蔵しており、外部に霜取り装置を必要としません。また、外気温度を感知しながら霜取り方法を変更する外気除霜モードを装備することで、省エネルギーを実現した機器となっています。
 
 中部電力、東京電力および関西電力は、従来からお客さまの様々なニーズにお応えすべく、きめ細かなソリューションの提供、ならびに電化機器の開発に努めていますが、今回の新商品はイニシャルコストの削減やコンパクト化などを実現し、より多くのお客さまに満足いただけるものと考えています。今後も、このような商品開発を通じて、お客さまのニーズに的確にお応えしてまいります。


 なお、当製品につきましては、2月7日から開催される展示会「HVAC&R JAPAN 2006(主催:(社)日本冷凍空調工業会)」(注6)においてご紹介いたします。


(注1)ヒーティングタワー(添付資料参照)
  ヒーティングタワーは加熱塔兼冷却塔とも呼ばれ、主に地域冷暖房などの大規模空調を行うために屋外に設置する空調用機器です。暖房時はヒーティングタワー(加熱塔)として大気から熱を吸収し、冷房時はクーリングタワー(冷却塔)として大気へ熱を放出します。
 
(注2)水冷式チラー(添付資料参照)
  水冷式チラー(ヒートポンプ・チラー)はビルや工場空調用に使用する冷水や温水を生成する機器で、空冷式に比べ安価で高効率です。水冷式の場合はほとんどが冷房専用に使用されており、暖房にはあまり使用されておりませんでした。
 
(注3)高性能フィン(添付資料参照)
  空気と不凍液の間で効率よく熱交換させるために、空気側の伝熱面積を増大させる目的で、タワー内の熱交換チューブの外側(空気側)にフィン(薄い板)を接合してあります。
従来平板型のフィン形状であったものを、より熱交換効率に優れる波型のフィン形状に変更しました。
 
(注4)低粘度不凍液(添付資料参照)
  粘度が低く、温度が0℃以下でも凍らない液体。暖房時には外気温より低い温度の液体をタワー内に循環させて外気から熱を吸収する必要があり、液体の温度は0℃以下になることもあるので不凍液を使用します。粘度が低いほど伝熱性能が高く、熱を良く吸収します。本開発機では、粘度が従来の1/3以下(−9.5℃時)の低粘度不凍液を使用します。
 
(注5)システムCOP
  COP(Coefficient of Performance)は冷・暖房能力を消費電力で除した値で、この値が大きいほど省エネ性が高いことを示します。システムCOPは水冷式チラー、不凍液ポンプ、ヒーティングタワーの消費電力をもとに試算。(空研工業株式会社試算)
 <試算条件(JISB8613による下記外気温度、冷温水温度条件による)>
 
システムCOP4.7(冷房時)は外気乾球温度35℃、外気湿球温度24℃、冷水給水温度7℃、冷水戻り温度12℃
システムCOP3.1(暖房時)は外気乾球温度7℃、外気湿球温度6℃、温水給水温度45℃、温水戻り温度40℃(いずれも、水冷式チラーに株式会社神戸製鋼所製ハイエフミニ150(COP5.6)を使用した場合)
 
(注6) 「HVAC&R JAPAN 2006」(ヒーバックアンドアールジャパン)
  第34回冷凍・空調・暖房展
会期:2006年2月7日(火)〜10日(金) 10時〜17時(最終日は16時まで)
会場:東京国際展示場(東京ビッグサイト)西展示場(西1ホール・西2ホール)
主催:社団法人日本冷凍空調工業会(http://www.jraia.or.jp/)
入場料:無料(登録制)
 
 
【製品に関するお問い合わせ先】
  空研工業株式会社 名古屋支店(担当:横山紀義 TEL 052-953-3100)
空研冷機株式会社 技術部 HT開発担当(担当:井上雅裕 TEL 0949-32-1212)

以  上

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