プレスリリース

2005年12月7日
関西電力株式会社

原子力安全・保安院の文書「関西電力株式会社美浜発電所3号機主復水配管修繕工事に係る不適切な取扱いについて」に関する調査報告書の提出について

 当社は、三菱重工業株式会社(以下、「三菱重工」という)による美浜発電所3号機配管部品の材料識別刻印の打ち替えに係る当社の不適切な取扱いについて、平成17年11月16日、原子力安全・保安院から厳重注意を受けるとともに、調査結果と再発防止対策の報告を求められました(平成17・11・16原院第1号「関西電力株式会社美浜発電所3号機主復水配管修繕工事に係る不適切な取扱いについて」)。  
  以降、事実関係の調査、原因の究明および再発防止対策の検討を行ってきましたが、本日、その結果をとりまとめ、原子力安全・保安院に報告しました。また、福井県および美浜町等に同報告書を提出しました。  
 報告書の概要は、次のとおりです。


1.不適切な取扱いの内容
 美浜発電所3号機の主復水配管取替えに伴う溶接事業者検査において、三菱重工高砂製作所駐在の当社検査員が配管の刻印打ち替えを発見した。その後、不適合品処理および是正処置を行う一連の対応の中で、次の不適切な取扱いが発生した。
「不適合品処理シート」の是正処置要否に○印を記入せずに処理を完了した。
三菱重工の刻印打ち替えを品質保証上の重大な問題として認識できず、三菱重工に対して会社として改善要求ができていなかった。
「不適合品処理シート」の是正処置要否を適正な手続きなしに訂正した。

2.原因と対策
(1) 直接的な原因と対策
   ルールの不備など不適切な取扱いに対する直接的な原因と、その対策については、以下のとおり。
[原 因]
a. 「不適合品処理シート」の発行などルールに基づく行為は行われていたものの不十分であり、品質保証の基本に立ち返った対応ができていなかった。
b. 「不適合品処理シート」の具体的な記入方法や訂正方法などが明確でなかった。
c. フォローアップ監査の要否について、適切な判断が行われていなかった。
[対 策]
a. 原子力事業本部長から各副事業本部長・発電所長に対し、注意喚起および厳正な品質管理活動を行うよう再徹底。
b. 「不適合品処理シート」の具体的な記入方法や訂正方法などについてのルール化と周知徹底。
c. フォローアップ監査の要否についての判断基準の明確化と周知徹底。

 なお、上記対策のほか、刻印打ち替え発見に至ったプロセスを踏まえ、溶接自主検査の要領書の改正も行う。


(2) 本質的な問題に対する原因究明と対策の方向性
   不適切な取扱いの本質的な問題については、以下のとおり、その背景にある原因の究明を行い、対策の検討を行った。

[本質的な問題と原因]
  a.『品質記録の厳格な管理に対する認識が薄い』
品質記録は遺漏なく作成し、作成後は変更してはならないといった原則が組織的に浸透できていなかった。
  b.『重大な問題に対し会社組織として対応ができていない』
三菱重工に対する当社の監査等の関与が十分でなかった。
本質的な問題点を見出すことに対する組織全般にわたる認識が低かった。
原子力事業本部の重要な活動について、原子力事業本部以外の目でチェックするしくみがなかった。

[対策の方向性]
  a.『品質記録の厳格な管理に対する認識が薄い』について
経営トップがメッセージを発信し、品質保証の重要性を組織全員に浸透させる。
誰もが理解できる教材を提供し、品質保証の原則を組織全員に浸透させる。
「目的指向のルール」の考え方を加味して社内文書体系を見直す。
  b.『重大な問題に対し会社組織として対応ができていない』について
三菱重工に対し厳重注意文書を発信するとともに、今回の問題を経営の問題としてとらえ、根本原因にさかのぼって対策を立案するよう強く要請した。
三菱重工の再発防止対策について業務プロセスに踏み込んで、品質保証の観点から、厳格な特別監査を行う。
「是正処置プログラム(CAP)」を組織的に行うとともに、発電所と原子力事業本部で情報を共有する。
原子力事業本部移転の効果把握と、発電所支援をより強固に推進できる組織、体制とする。
日常業務を通じたコミュニケーションにより、品質保証の重要性についての認識を深める。
原子力事業本部の不適合管理、是正処置を、発電所に常駐する品質・安全監査室員がモニタリングする。
 
3.美浜発電所3号機事故再発防止対策の強化、充実
 当社は、平成17年3月25日に「美浜発電所3号機事故再発防止に係る行動計画」を定め、これに基づき平成17年6月1日に「美浜発電所3号機事故再発防止対策の実施計画」(以下、「実施計画」という)をとりまとめ、現在、事故の再発防止に取り組んでいるところであり、今回の不適切な取扱いの発生を受け、実施計画の内容を一部強化、充実することとした。
 これにより、今回策定した対策については、今後、強化、充実した実施計画の中で、実効的な成果が得られるよう着実に取り組んでいく。

直接的な対策[2.(1)]と、本質的な問題に対する対策[2.(2)]のうち日常業務の中で実施する項を除く

以 上

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