プレスリリース

2005年1月11日
関西電力株式会社

低温作動固体酸化物形燃料電池(SOFC)の耐久性能を確認
~平成18年度末の数十kW級システム実用化に目途~

 関西電力株式会社と三菱マテリアル株式会社は共同で、低温作動(※1) 固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)の「1kW級発電システム」による市販の都市ガスを燃料とした1,000時間以上の安定した連続定格運転(※2) に成功し、電池性能に劣化がないこと(電圧低下が運転期間中認められず、低下率としては0%/1,000時間(※3) )を確認しました。
  「運転1,000時間あたりの電圧低下率0%」は、国の開発目標値(0.25%/1,000時間(※4) )に匹敵する耐久性能であり、実用化に必要な耐久性能の達成に向けて見通しを得ることができました。今回、システムの基本構造体である「モジュール(※5) 」の構成部材を改良し、耐久性を向上させたことで、関西電力と三菱マテリアルによるSOFC開発は、目標とする「平成18年度末の数十kW級システムの実用化」に向けて大きく前進しました。

(※1)   作動温度800℃以下を指す。通常のSOFCは1000℃付近で作動する。
(※2)   平均AC発電端効率で45.3%。発電効率は低位発熱量(LHV)を使用。
(※3)   劣化を表わす指標として電圧低下率が使われている。
(※4)   独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の平成19年度までのSOFCシステム開発目標。NEDOの目標は、「10kW級システム」を3,000時間連続運転後、電圧低下率0.25%/1,000時間以下である。
(※5)   「発電システム」を構成する基本構造体で、電池セルを積み重ねた「スタック」等で構成される。

 

 さらに並行して開発を進めている「1kW級発電モジュール」においては、内部構造を改良することにより、熱自立状態(※6) で、従来の発電効率50%(※7) を大幅に上回る57.6%という世界最高レベルの発電効率を達成しました。
(※6) 外部加熱などを一切行わず、供給した燃料が持っている反応熱のみによって、発電に必要な燃料、空気、水を発電反応に必要な温度に加熱すると同時に、モジュールの温度維持を安定して得ている状態。

(※6)   外部加熱などを一切行わず、供給した燃料が持っている反応熱のみによって、発電に必要な燃料、空気、水を発電反応に必要な温度に加熱すると同時に、モジュールの温度維持を安定して得ている状態。
(※7)   平成16年1月13日お知らせ済。

 

 SOFCは、PAFC(リン酸形燃料電池)やPEFC(固体高分子形燃料電池)といった他の形式の燃料電池に比べ、発電効率が非常に高い上、電気と熱を同時に供給するシステムとして実用化すれば、他のいかなる分散型電源よりランニングコストが安い電源として、既存のシステムに置き換わる可能性のある燃料電池です。
  今回の試験結果により、関西電力と三菱マテリアルが考える実用化への3つの性能面の課題 ――発電出力の大容量化(数10kW)、発電効率、耐久性―― のうち、発電効率、耐久性の2つについて、実用化への目途が立ったと考えています。

 今後は、発電セルやモジュールの更なる高性能化や、さまざまな運転条件下(負荷変化、起動停止の繰り返し等)での性能検証と並行して、発電容量の拡大に取り組み、平成18年度末を目途に「数十kW級システム(中型店舗や小工場等向け)」の実用化・商品化を目指してまいります。

 

  以 上

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