プレスリリース

2003年11月5日

コンクリート内部の鉄筋腐食状況を効率的に調査~新型非破壊調査器「PAMS」の開発について~


 当社はこの度、近畿コンクリート工業株式会社と共同で、コンクリート構造物における内部鉄筋の腐食状況を、電流を使って非破壊で調べる新型調査器「PAMS」(Phase angle of Alternate current Measuring System)を開発しました。  
 

 電力設備には、発電所の建屋や取水口、放水口といった鉄筋コンクリート造りの構造物が数多くありますが、従来は定期的な目視点検(1回/年)を行い、コンクリート表面のひび割れ等を発見した場合に、補修対策を実施しています。ひび割れの主な原因は内部鉄筋の腐食ですが、コンクリート表面にひび割れが出るまで腐食が進むと構造物の強度低下を招くため、修復する必要があります。そのためには内部鉄筋部分までコンクリートを剥がしとり、錆を落とした上で内部鉄筋に直接防腐塗料を塗るなどの対策を施す必要があるため、修復に相当の時間とコストがかかります。

 
 また、従来の非破壊検査法(交流インピーダンス法)は、鉄筋に電流を流し、電気抵抗を測定することで腐食速度を推測する方法ですが、腐食の程度が評価できないことから、結局、腐食箇所のコンクリートを剥がして修復するなどの必要があり、検査から修復完了までのトータルコストが高くつくことから普及しておらず、当社でも用いていませんでした。


 今回開発したPAMSは、交流インピーダンス法をベースとして、「静電容量」
(※)を算出することで、腐食程度の大小を推測できるように改良したものです。これにより、表面に影響が出る前に内部鉄筋の腐食程度が推定でき、コンクリートを剥がす必要のない軽易な対策で済むため、大幅なコスト削減を図ることができます。
(※)静電容量… 鉄筋腐食時には鉄筋から鉄イオンが飛び出す。飛び出した後、鉄筋に付着した鉄イオンの容量を静電容量という。

 また、PAMSは、本体が小型軽量(重量約3.5kgで、大きさはアタッシュケース大)で、測定したデータを現場で確認できるという、従来の検査器にはなかった特徴を持っています。  


 当社は今後、PAMSを社内の鉄筋コンクリート構造物の調査・点検に使っていくほか、高速道路の橋脚や海岸沿いの堤防など、電力設備以外でも大きなニーズが期待されるため、近畿コンクリート工業が11月から、コンクリート劣化調査サービスとして営業活動を展開する予定です。

以 上

<参考資料>


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