プレスリリース

2003年1月15日

火力発電所高圧モーター遠隔監視システムの開発について

 当社はこの度、三菱電機株式会社、TMAエレクトリック株式会社と共同で、PHS回線を用いて、1台のパソコンで数百台の高圧モーターの運転状態を遠隔監視できるシステムを開発しました。

 火力発電所では、給水ポンプや燃料ポンプ等に、3.3kV以上の高圧モーターを、1ユニットあたり20台程度使用していますが、これらのモーターは、運転中の熱・機械・電気的ストレスによる絶縁性能の低下や、軸受の磨耗等により故障する可能性があり、その場合、修復や交換に3ヶ月程度の日数と、相当の費用を要します。現在、火力発電所の運転に支障を来たさないよう、全ての高圧モーターについて、数年毎の定期検査等で予防保全活動を実施していますが、今回、リスクベースメンテナンス手法(安全性と発電品質を低下させることなく、機器の故障が起こった時の影響の大きさと、故障の起こり易さから算出したリスクを評価し、その大きさに応じて機器の保全計画を立案することで、保守費用を削減する手法。平成13年9月から本格導入済。)に基づき、全モーターについて一律の保全を行うのではなく、状態監視を行いながら、状態の悪いモーターについて適切な保全を行うことができる本システムを開発したもので、導入すれば、高圧モーターの検査費用が半分以下に抑えられます。システムの概要と特長は次の通りです。

【「高圧モーター遠隔監視システム」の概要と特長】
モーターに設置した3種のセンサーのデータ(「部分放電」(※)、「振動」、「温度」の3種)を、同じくモーターに設置した「現場ユニット」に集積し、PHS回線を使って監視サーバー(パソコン)に送信する、業界初のオンライン遠隔監視システムです。
1台の監視サーバーで数百台のモーターを遠隔監視し、警報を発信したモーターのみを精密診断することが可能となり、保全コストの大幅削減が期待できます。
導入時のモーターの改造が不要で、データ通信をPHSで行うため配線工事も不要となり、安価に導入できます。
(※)部分放電… 絶縁物が劣化すると、劣化部分で放電現象が起こるため、これを測定することで絶縁劣化状況を把握できる。

 本システムを平成13年10月から堺港発電所に設置してフィールド検証を行った結果、十分な監視機能を確認したことから、今後は運用方法の高精度化を研究すると共に、火力発電所への導入の可否を検討して参ります。 
 本システムは平成15年4月より、三菱電機株式会社が販売と診断サービスを開始します。製造ならびに診断サービスの企画はTMAエレクトリック株式会社が行います。

以 上

 

<参考資料>


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