プレスリリース

2002年11月12日

火力発電所排煙中のCO2から新燃料ジメチルエーテルの合成に成功




 当社はこのたび、三菱重工業株式会社と共同で、火力発電所の排煙に含まれるCOを、ジメチルエーテル(DME) (注1)に変換する技術を開発し、南港発電所に設置したテストプラントで、その合成に成功しました。COを原料に、実用機を模擬したプラントで合成に成功したのは、国内で初めてのことです。これにより、当社のCO有効利用技術の選択肢が一つ増えたことになります。

 DMEは人体に無害なことから、現在は化粧品などのスプレー缶に封入する噴射剤として利用されていますが、近年、LPGや軽油の代替となりうるクリーンな新燃料として注目されています。そこで当社と三菱重工業は、CO有効利用の有望な選択肢の一つとして、本研究を進めてまいりました。

 
今回開発したDME合成方法の特徴は、次の通りです。
  火力発電所の排煙に含まれるCOが原料です。(一般的に用いられている原料は、主に天然ガス。)
  COと水素を反応させ、直接DMEを合成します(直接法)。これは、合成プロセスを簡素化し、将来的に、製造設備のコンパクト化を図るためのものです。(一般的な方法は、天然ガスから、まずメタノール(注2)を合成し、次にメタノールから水分を取り除いてDMEを合成(間接法)する。)

 当社は、CO炭層固定化技術開発プロジェクトに参画するなど、COの処分に関する研究開発に積極的に取り組んでおりますが、本技術も有効なCO利用技術であると考えております。当社と三菱重工業は今後、DMEの需要動向を見極めながら、さらなる合成効率向上や、製造コスト削減を目指して研究を進めるとともに、事業性についても検討して参ります。

以 上

(注1) ジメチルエーテル(Dimethyl Ether)…分子式CHOCHで示されるエーテルの一種。性質は、LPGの主成分であるプロパン、ブタンに類似しており、無色透明、可燃性、無臭の気体。
(注2) メタノール…別名メチルアルコール。分子式CHOHで示されるアルコールの一種。無色透明、流動性、揮発性、可燃性、刺激臭、毒性のある液体。

<参考資料>


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