プレスリリース

2002年8月29日

火力発電所におけるボイラ管内の化学洗浄時の廃液処理方法開発について
~処理コストを従来の50%に低減~




 当社はこの度、火力発電所のボイラ管内を化学洗浄する際の廃液について、処理コストを従来の約50%に低減し、かつ汚泥発生量の低減と廃液処理日数の短縮ができる処理方法を開発しました。

 火力発電所では、ボイラ管内に堆積したスケールが、熱効率の低下や過熱による破損事故を起こさないよう、定期的に有機酸などを使用した化学洗浄を行い、スケールの除去を行っています。
(*スケール:配管自体の腐食により生成されるものや、給水と共に持ち込まれた不純物が付着、堆積したもの。)

 化学洗浄した廃液は、排水基準を満たすために、酸化分解剤、酸化補助剤等に化学洗浄メーカーで調合した薬品を使用し、化学洗浄メーカーにて仮設の注入配管を設置し処理を行っていることから、処理に多大なコストを必要としていました。さらに、酸化補助剤等の影響により、汚泥発生量が増加し、廃液処理日数も長期間を必要としてきました。

 今回、コスト削減をねらいとして、酸化補助剤等を使用せずに、酸化分解剤として安価な過酸化水素のみを使用することに着目するとともに、効果的に処理が行えるよう過酸化水素注入ノズルも開発しました。開発したノズルは、過酸化水素の飛散を防止し、効果的に拡散ができるもので、タンクローリーからの直接注入が可能になったため、薬品注入のための仮設配管を不要にしました。また、酸化補助剤等の薬品も不要にしたため、汚泥の発生も抑制することができました。

 平成11年に赤穂発電所で実験室レベルの研究を開始し、様々な処理方法の中から、処理効果、安全性、コスト面等を考慮し、本処理方法を選定し、排水基準を満たすことに成功しました。さらに、平成12年7月より赤穂発電所2号機にて実証試験を行った結果、処理コストを従来の約50%に低減することに成功し、かつ汚泥発生量を従来の約10%に低減、廃液処理日数も従来の47日から13日で処理が可能となり大幅に処理日数が短縮されることも確認しました。

 赤穂発電所では、今後、同処理方法の本格運用を行うこととし、さらに、各火力発電所への展開も検討していきます。なお、本処理方法については、当社のグループ会社である関電化工株式会社と協力し、他社への展開も目指してまいります。

以 上 

<参考資料>


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