プレスリリース

2002年7月18日

低価格の「マルチ機能電力測定装置」の開発について



 当社はこの度、日新電機株式会社と共同で、送配電線系統で瞬時電圧低下(注)が発生した場合に、お客さま設備の電力消費量がどのように変化するかを自動的に推定するという世界初の機能を持つ、低価格な電力品質の記録・監視装置を開発しました。

 最近では、適正な電圧・周波数といった、電気の品質に対するお客さまのニーズが高まっており、特に瞬時電圧低下による被害は、工場のハイテク化などに伴って、増加傾向にあります。当社では従来から、瞬時電圧低下対策装置の設置などのご提案を行っていますが、装置の規模や方式をより正確に選定するためには、瞬低発生時に、お客さま設備の消費電力がどのように変化するかを把握することが重要です。従来は、これを容易に把握する方法がありませんでした。

 当社はかねてより、夏季に急激に増加するエアコン需要の、当社電力系統における消費電力・電圧特性を推定する手法について開発を進めていたことから、今回その手法を応用し、世界で初めての消費電力・電圧特性自動推定機能を持つ本装置を、日新電機と共同で開発しました。従来のような据付型でなく、持ち運び可能な小型装置とし、CPUの数を減らしたことなどにより、同機能の据付型装置を開発する場合と比較して5割程度の価格低減を実現しています。
 本装置は、お客さま設備に設置すれば、適切な瞬時電圧低下対策の検討に必要な消費電力・電圧特性データが得られる他、高調波を常時監視して、異常を未然に防止することができます。また、当社電気所などの変電設備に設置すれば、電力系統における消費電力・電圧特性を推定し、設備計画の適正化に活かすことができるため、今後導入を検討して参ります。
 本装置が有する機能は、次の通りです。

【「マルチ機能電力測定装置」が有する機能】
瞬時電圧低下発生時の消費電力・電圧特性を正確、かつ簡単に自動推定できる。
従来はそれぞれ単体の測定機器であった「電力オシロ」(瞬時値、即ち1/3840秒単位の消費電力・電圧特性を計測し、波形として記録する装置)と、「PQVF」(実効値、即ち1/60秒単位の消費電力・電圧特性を計測し、波形として記録する装置)の両方の機能を兼ね備え、データを同時に記録することができる。
子局(計測装置)で計測したこれらのデータを、通信回線(電話回線、PHS、LANなど)を通じて親局(データの計算、表示等を行うパソコン端末)に送信するため、子局設置場所(電気室など)に出向くことなくデータ収集、設定変更などが可能。
高調波の発生状況など、電気の品質異常も常時監視。

 当社は今後、顧客へのサービス提案用として本装置を数台導入し、一時的にお客さま設備に置いて迅速にデータを収集し、そのデータを元に、より正確な瞬低対策コンサルティングを実施して参ります。

 日新電機としては、当社をはじめ各電力会社の電力所を回って説明会を実施し、各電力所のニーズに応じて受注販売を行うとともに、直接お客さまへの営業活動も行う予定です。

以 上

(注) 瞬時電圧低下:
   送電線への落雷等により、停電は起こらないが、約0.1秒程度の極めて短い時間、電圧が低下する現象。

 

<参考資料>


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