プレスリリース

2002年5月29日

平成14年度研究計画について

当社は、この度、「中期経営方針」ならびに「平成14年度経営計画」に基づき、平成14年度研究計画を策定し、研究重点課題を以下の4項目に設定いたしました。

 関西経済の長期低迷を受けて電力需要が伸び悩む中、自家発電やコジェネシステム等とのエネルギー間競争は一層厳しくなっています。こうしたなかで、当社は現在、お客さまから信頼され厳しい競争を勝ち抜くために、コスト競争力の確保と財務体質強化に努めています。研究開発分野についても経費圧縮の流れの中で、「選択と集中」の徹底により研究開発の効率化に努めております。
 なかでも、省エネ・経済性に優れるCO2ヒートポンプ給湯器の高機能化や瞬時電圧低下(瞬低)対策用途、非常用電源への活用も期待されるレドックスフロー電池の多機能化などお客さまのニーズにあった魅力ある商品の開発を第一優先課題と位置づけております。
 一方、ナノテクノロジー技術を活用し、将来の総合エネルギーサービス事業のメニューの一つとして考えられる低温作動型固体酸化物形燃料電池(SOFC)の開発に取り組むとともに、化学吸収法によるCO2回収技術や共生微生物技術を活用した屋上緑化といった環境保全のための技術開発にも積極的に取り組んでまいります。

《研究重点課題》
1.魅力ある商品・サービスの創造

2.コスト低減、生産性向上の徹底

3.環境負荷低減など公益的課題の解決

4.将来の当社事業に繋がる技術基盤の強化


<『中期経営方針』重点行動方針>

  ◎「商品・サービスの強化」  ◎「販売力の強化」
  ◎
「コスト競争力の強化」   ◎「グループ総合力の強化」
  ◎
「原子力を基軸とした公益的課題への着実な対応」

<『平成14年度経営計画』重点実施項目>

  ◎お客さま価値の創造」
  
◎「経営基盤の構築」
  ◎
「人づくり・しくみづくり」

《研究計画の概要》

◎研究重点課題の概要

 1.魅力ある商品・サービスの創造    

   お客さまニーズの多様化・高度化に的確に対応するため、魅力ある電気利用機器の開発、電気と競合する技術の評価といった需要拡大のための研究やIT技術を活用した新しいサービスの提供をめざした研究を戦略的に推進してまいります。
 ソリューション営業の新たなツールとして、瞬低・非常用電源対応機能を付加したレドックスフロー電池の開発を進めています。さらに次世代の半導体材料であるSiC素子を用いたインバータの開発に着手し、このSiCを用いたインバータとレドックスフロー電池を組み合わせることにより、小型高性能の瞬低対策装置や非常用電源、負荷平準化装置の開発をめざします。
 また、IH調理器、床暖房、ヒートポンプ給湯器など電気を使った豊かな社会を提案するため、快適性という視点から電気利用機器を評価し、機器の改善ならびに新商品の開発に繋げてまいります。

  (例) ・ 瞬低補償用レドックスフロー電池の開発研究
・ SiCを用いたレドックスフロー電池用インバータの開発研究
・ 電気利用機器の快適性評価に関する研究
・ CO2ヒートポンプ給湯・暖房システムの開発研究
・ 氷蓄熱空調システムの高効率化、低騒音化研究
・ 高速電力線搬送技術の実用化研究


 2.コスト低減、生産性向上の徹底   

   低廉な価格と強固な財務基盤を実現するため、設備投資抑制を図るための既設設備の最大活用技術や劣化診断・寿命延伸技術、保守合理化技術に関わる研究開発に取り組んでまいります。
 なかでも、レドックスフロー電池の過負荷出力特性や瞬時応答性を活用し、負荷周波数制御等の需給制御への活用を図ります。これにより、火力プラントの燃料費低減が期待できます。
 これらの技術はコスト競争力強化の根幹に関わるものであり、従来通り着実に技術開発を進めて行くものです。


  (例) ・ レドックスフロー電池の系統安定化対応機能実証研究
・ ガスタービン熱疲労亀裂進展の予測手法に関する研究
・ イントラネットを用いた給電制御所システムの開発
・ LAN収納可能リング光端局の適用評価研究
・ コンクリート塩害補修システムの開発


 3.環境負荷低減など公益的課題の解決     

    地球環境保全対策、エネルギーセキュリティの確保といった公益的課題に対して着実に対応するため、炭酸ガスの回収・固定技術、植林技術、屋上緑化技術や省エネルギーのための技術開発に取り組んでまいります。また、原子力プラントの高経年化対策、原子燃料サイクル確立のための技術開発など安全性・信頼性の確保はもとより長期的なコスト低減にも取り組んでまいります。
  なかでも、化学吸収法によるCO2回収は実用段階の技術開発を達成しています。この脱炭応用技術はマレーシアの化学プラントに導入されており、さらなる高効率・低コスト化とともに、工業プロセス利用や石油増産等の適用拡大を図ります。さらに、屋上緑化、リサイクル技術を含め、環境ビジネスにつなげていきます。

  (例) ・ 高性能化学吸収剤の開発
・ マングローブ植林技術の研究
・ 屋上緑化技術の開発研究
・ エネルギー需要最適マネジメントシステムの実用化研究
・ ウラン濃縮新型遠心機の開発研究


 4.将来の当社事業に繋がる技術基盤の強化   

 
   総合エネルギー事業を視野に入れ、固体酸化物形燃料電池(SOFC)や水素製造・輸送・貯蔵に関する技術開発、高速光通信技術の高度化など将来の事業展開をめざした研究を推進するとともに、自主技術力向上のための技術基盤強化に取り組んでまいります。
 なかでも、ナノテクノロジー技術を活用した低温作動型SOFCの開発や大容量スーパーキャパシタの開発に積極的に取り組んでおります。特に低温作動型SOFCについては、高出力密度を実現するセルの開発に成功しており、今後2、3年をめどにさらなるセルの改良と数キロワット級の試作機開発に取り組み、低コストで世界最高効率のSOFCを早期に実用化してまいります。

  (例) 低温作動型SOFCの開発研究
・ 大容量スーパーキャパシタの開発研究
・ LNG冷熱利用による水素製造要素技術の開発
・ 光パルス波長多重伝送技術の研究
・ ウェーブレット解析手法の電力品質監視への適用研究


◎研究の規模

1.件数
(単位:件)

 

合計

(重点課題)
新規

継続

平成14年度

705

 (634)

355

350

平成13年度

891

 (705)

399

492



2.研究費
(単位:億円)
 

総額

前年度
計画比

平成14年度

252

▲8.7%

平成13年度

276

▲5.5%

  ※研究費には研究人件費、研究設備費等を含む


【研究重点課題の費用内訳】


                                              以 上

<参考資料>


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