プレスリリース

2001年9月1日

テラビット級光通信に向けた伝送実験を実施

1.テラビット伝送とは

 将来の光通信では、1本の光ファイバで現在の約1000倍の1テラビット(電話回線約1500万回線相当)の伝送を行うことが必要と考えられています。光通信においては、これに向けての研究開発が、ホットなテーマの1つとなっています。

2.実現に向けて

 光通信は、デジタル信号を光の点滅に変換して伝送するものですが、テラビット級の伝送では、複数のチャンネルのデジタル信号を、それぞれ異なる色(波長)の光信号として、1本の光ファイバで一括して伝送する光波長多重伝送を行い、さらに1つの色の光信号(1波)あたりの伝送速度を40Gbit/s(電話回線約60万回線相当)以上とする超高速伝送を行うことで、伝送情報量を飛躍的に大きくすることになります。

3.その問題点と対策(研究課題)

 超高速光伝送では、分散や非線形効果といわれる、光信号波形がファイバ中を伝搬する間に歪んでしまう現象が深刻になってきます。現在の主力のSMFと呼ばれる型の光ファイバでは、特に分散の影響の抑制が大きな技術課題です。

 これに対して、分散の影響をキャンセルする技術(分散補償)や、非線形現象をコントロールしていく技術の開発が現在進められており、それを実験的に確認することが重要となります。

4.今回の実験は

 今回、総合技術研究所情報通信研究室においては、テラビット級光通信に向けての伝送実験の一環として、SMFを伝送路として1波80Gbit/sで、300kmの伝送実験に成功しました。これは、一般に敷設されている光ケーブルと同種の光ファイバにより、現在実用化されている光通信の8倍の伝送速度での通信を確認することができたことになります。

5.これから

 今後、さらに伝送距離を伸ばした場合の評価を行っていくとともに、屋外の実際の光ケーブルを用いた伝送実験を行っていく予定です。

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