プレスリリース

2001年12月6日

両社が保有する共生微生物を活用した
屋上緑化システムの共同研究の開始について

 関西電力株式会社(社長:藤洋作)と大阪ガス株式会社(社長:野村明雄)は、両社が保有する共生微生物技術(関西電力:外生菌根菌、大阪ガス:VA菌根菌)の相乗効果を活用した屋上緑化システムを共同研究することで合意し、本日共同研究契約を締結いたしました。

 近年、ビルの省エネルギー性の向上やヒートアイランド現象の緩和、CO2の吸収促進などの観点から屋上緑化が注目されています。屋上緑化ではビルへの荷重制限のため土壌基盤の薄層化が求められていますが、薄層化された土壌基盤では、植物の根が十分に張ることができません。そのため、乾燥や高温などのストレスに対する耐性が弱くなるため「植物の定着率が悪い」、「メンテナンスに手間がかかる」などの課題があります。

 両社が保有する共生微生物は、土壌中の養分や水分を活発に吸収し、植物に与えることで、養分や水分の少ない土壌でも植物を健全に保ちます。外生菌根菌は森林樹木に、VA菌根菌は草本類や花木、果樹に効果があります。屋上緑化にこれら共生微生物を活用することで、幅広い植物種について薄層化された土壌基盤においても乾燥や高温などのストレスに対する耐性が高まり、次のような効果が期待できます。

植物の定着率の向上やメンテナンスコストの軽減
屋上緑化に適用できる植物の多様化

 今後は、本研究の成果により屋上緑化の適用市場が拡大することで、屋上緑化の普及を促進し、ビルの省エネルギーやヒートアイランド現象の緩和など都市環境改善への貢献を目指します。研究期間は、本年度より4年間を予定しており、屋上緑化システムの開発とともに、これら都市環境改善への実証試験、定量的評価も実施いたします。また、平成14年1月目途に設立する新会社「オージーかんでん共同企画株式会社」で事業化の可能性を検討する予定です。

以 上  

   <ご参考>

 

 ○外生菌根菌
 植物と菌類が共生した状態"菌根"のうち、菌糸が植物の根をおおって、その表面または表面に近い組織に繁殖し菌被を作るものを外菌根と呼び、外菌根を発生する菌類を外生菌根菌(とくにキノコ類が多い)と呼びます。
外生菌根菌は、ブナ科・マツ科等の森林樹木に共生します。

 ○VA菌根菌
 植物と菌類が共生した状態"菌根"のうち、菌糸が根の中に入って、のう状体(Vesicle)と樹枝状体(Arbuscule)を作る菌類の総称です。
VA菌根菌は、主に草本類(草花やシバなど)、花木(サクラ、バラなど)、果樹(ミカン、ブドウなど)に共生します。

 ○ヒートアイランド現象
 都市部の気温が郊外に比べ高くなる現象をヒートアイランド現象と呼びます。都市とその周辺地域で等温線を描くと都市部を中心に同心円が描かれ、その形が海に浮かぶ島に似ることからヒートアイランド(熱の島)現象と呼ばれます。

<参考資料>


プレスリリース