プレスリリース
1999
1999年1月28日
関西電力が世界初の6.2kV-SiCダイオードを開発
現在、あらゆる分野で電力を制御するためにパワー半導体素子が使われていますが、シリコン(Si)材料の物理的な性能限界に直面し、大幅な素子特性の向上は困難になっております。特に今後需要が増大する電力事業分野においては電力の輸送や変換に伴う損失を低減することが必要であり、Siパワー半導体素子の限界を大幅に上回る電力用パワー半導体素子の実現が期待されています。このため、Si材料に比べて遥かに優れた物理的・電気的な性能を持つSiC材料が注目され、近年、日米欧で活発な開発競争が展開されていますが、SiCウェーハに結晶欠陥が多く、加工プロセスや半導体素子の設計技術が未熟なために、電力用途に適用する上で必要な6kV以上の高耐圧が実現できませんでした。
しかし今回関電-CREEグループでは、SiCウェーハの結晶欠陥の低減とエピタキシャル膜の高品質化、高信頼接合終端技術の開発によりSiCでは初めて6.2kVの最高耐圧の実現に成功したものです。
今回開発した2A(アンペア)級の素子は、6.2kVでの漏れ電流が1.5×10-5A/cm2と十分小さな値となっており、また従来の高耐圧ダイオードでは電流密度が100A/cm2でオン電圧が6.0Vと大きいものでしたが、今回のものは100A/cm2で4.1Vと小さく、この電流密度レベルでは初めて、電力用高耐圧Siダイオードのオン電圧を凌駕し低損失化できることを実証できました。また、6.0Vでは700A/cm2の電流密度で従来の7倍にでき、その点でも大幅に改善されています。ビルドアップ電圧以降の抵抗Ron・Sについても3.2mΩcm2と大変小さく、十分な伝導度変調が生じています。
関電-CREEグループは昨年度室温でSiの性能限界を超える1.4kVの超低損失スイッチングデバイスを世界に先駆けて開発しましたが、今後は、この高耐圧技術を適用して、電力用の高性能スイッチングパワー半導体素子の開発を進めていきたいと考えております。
以 上