黒部川第四発電所は“クロヨン(黒四)”と呼ばれ、これまで多くの人々に親しまれています。この黒四は、昭和31年8月着工以来、7年、513億円の工費、延べ1,000万人の労働力を投入し、昭和38年6月に完成しました。黒四の完成は、電力供給に大きく貢献したばかりでなく、黒部川全体の流量を調整し、下流発電能力をも高めることができたのです。発電所は、国立公園内ということもあって全て地下式になっています。
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兵庫県の市川と円山川の分水界という地形を利用してつくられた純揚水式発電所です。上部ダムは高さ98.0m、下部ダムは64.5mのロックフィルダムです。上部ダム(黒川ダム)と下部ダム(多々良木ダム)を3,800mの水路と地下発電所で結び、有効落差約380mを得て発電しています。
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読書(よみかき)発電所は“電力王”とよばれた福澤桃介によって大正10年(1921年)に着工され、同12年(1923年)の冬に運用を開始しました。3本の鉄管を背負った鉄筋コンクリート造りの水路式発電所は、完成時は4万700kWという当時では水力発電の中で日本一の出力を誇っていました。この読書発電所は、当時の水路式発電所の金字塔ともいうべき発電所であり、平成6年12月27日(1994年)に近代化遺産として、運用中の発電所では初めて国の重要文化財に指定されました。
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蹴上(けあげ)発電所は、琵琶湖疏水で得られる水力の有効活用の目的で建設され、明治24年(1891年)6月に発電機2台で運転を開始しました。情緒あふれるレンガ造りの発電所から生まれる電気は京都の街へと送られ、明治28年(1895年)には、塩小路(現在の京都駅)~伏見駅へ走る日本初の市街電気鉄道(京都市電)の開通に大きく貢献しました。京都の近代化に大きく貢献した蹴上発電所は、開業から100年以上を経た今でも京都の街へ電気を送り続けています。
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宇治発電所は、琵琶湖の水を利用した発電所で、大正2年(1913年)7月に出力27,630kWで運転を開始しました。当時、関西地方で最も出力の大きい水力発電所は、蹴上発電所の4,800kW(現在4,500kW)であり、宇治発電所の出力がいかに飛躍的なものであったかが想像できます。
愛称:SMBC宇治グリーン発電所2023年11月1日から株式会社三井住友銀行がネーミングライツを取得しています。
読書(よみかき)ダムは、ダム下流の景観の保全など河川環境維持のため、常時、ダム湖から「河川維持流量」を放流しています。大桑野尻発電所は、この「河川維持流量」を利用して発電しています。
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これまで、水力発電所は大規模なものが主流でしたが、最近は、使われていない水資源も発電に有効利用しようという動きがあります。新黒薙(くろなぎ)第二発電所は、既設の黒薙第二発電所に繋がる水圧管を途中で分岐することにより、新たに作られた水力発電所です。
出し平(だしだいら)発電所では、ダム下流の景観の保全等、河川環境を維持するために放流している水を利用して発電しています。小規模な発電所ですが、黒部川水系の大切な水をできるだけ有効に使うための取組みの一環で、再生可能エネルギーの普及促進につながるものです。また、環境面だけではなく、このような取組みを積み重ねることで、エネルギーセキュリティ(電源の多様化)や供給力確保にも貢献するものだと考えています。