時代に応える 火力のいま
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2023.3.31

時代に応える 火力のいま

関西エリアの電力安定供給を支えるとともに「2050年カーボンニュートラル」の実現にも挑戦する関西電力。その一翼を担い、世界最高水準の発電効率を誇る姫路第二発電所(天然ガス・総出力291万9000キロワット)をフリーアナウンサーの久野静香さんが訪れました。

安定供給も、ゼロカーボンも

国は20年10月、50年までにカーボンニュートラルを目指すと宣言。21年4月には30年度に温室効果ガスを13年度比46%削減すると表明しました。これを踏まえ、関電は「ゼロカーボンビジョン2050」(21年2月)や、その実現に向けた具体策と目標を定めた「ゼロカーボンロードマップ」(22年3月)を打ち出しました。

ロードマップには安全最優先を大前提とした原子力の最大限活用や再生可能エネルギーの開発推進に加え、火力発電の「ゼロカーボン化」への道筋を明記。22年8月には政策支援の獲得を前提にカーボンニュートラルの「切り札」とされる水素のサプライチェーン(つくる、ためる・はこぶ、つかう)の構築に向け、姫路エリアでの水素受け入れ拠点整備の検討も表明しています。

さらに30年頃までに天然ガスと水素を混焼する計画を進めていることや、火力発電などで排出された二酸化炭素(CO)を回収し、利用または地中に埋めるCCUS(二酸化炭素回収・利用・貯留)技術の導入を検討するなど、ゼロカーボン化への挑戦が始まっています。ただ、その道のりは平たんではないため、電力の安定供給を継続するためには既存の火力発電所を活用しながら進めていく必要があります。

そのような中、世界最高水準の発電効率60%を誇る姫路第二発電所を訪れた久野さんは、まず黒岩克成所長から火力発電の役割や発電所の概要について説明を受けました。

黒岩 克成 所長

黒岩 克成 所長

電力の安定供給には需要と供給を常に一致させる必要があり、火力発電は天候の影響を受けやすい太陽光発電などをカバーし柔軟に出力を調整する重要な役割を担っています。

また、姫路第二はガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたガスタービンコンバインドサイクル(GTCC)方式を採用していて発電効率が高いこと、このポテンシャルを最大限発揮できるよう定期検査期間の短縮や、トラブルの未然防止策などを解説しました。

それに対し、久野さんは「火力発電は安定供給に必要な電源なのですね。そのために様々な工夫や努力をされていることがよく分かりました。GTCCという発電方法は初めて知りましたが、ガスタービンの排熱を再度利用するので発電効率が高く、CO削減にも貢献しているのですね」と納得していました。

運営スマート 迫力の設備

久野さんが最初に足を運んだ現場は中央制御室。室内には10人の運転員が各持ち場で発電設備6ユニットと、併設するLNG基地の運転状態を監視していました。

発電設備やLNG基地の運転状態を監視する中央制御室を視察

発電設備やLNG基地の運転状態を監視する中央制御室を視察

久野さんは「制御室にはもっと大勢の人が働いていると思っていました」と驚いた様子。黒岩所長は「大半の操作が自動化されていることもあって少人数で運転できています。発電所には運転員以外にも様々な部署で約190人が働いており、協力会社の方々と共に皆の力で発電所は運営されています」と説明しました。

次に久野さんはタービン建屋に移動。発電設備6ユニットは全てが同一メーカーの同型機器であるため、万が一誤って異なるユニットを操作しないようユニットカラーを決めています。それを受けて久野さんは「確かに色で区別するのは分かりやすくていいですね」と話していました。

80メートルもの高さの煙突に久野さん(左)も圧倒された様子

80メートルもの高さの煙突に
久野さん(左)も圧倒された様子

その後、排熱回収ボイラー(HRSG)を同設備の屋上から見学。HRSGはガスタービンの排熱から蒸気タービンを駆動させるための蒸気を作る設備であると説明しました。

さらに高さ約80メートルの煙突を見上げながら、HRSGに設置された排煙脱硝装置により、煙突出口の窒素酸化物排出濃度が従来設備に比べて大幅に低減されていると解説しました。久野さんは「COだけでなく、環境に配慮した様々な取り組みを推進するなど、時代の要請に応じた発電をされているのですね」とうなずいていました。

最後に訪れたのは発電設備に隣接するLNG基地エリア。容量8万キロリットルのタンクや巨大なLNGタンカーを受け入れるための桟橋、船からLNGを受け入れるためのローディングアームやLNGを気体に戻す気化器を見学しました。

「重要なインフラ」 
進化を続ける

視察を終えた久野さんは「普段当たり前のように電気を使っていますが、電力を安定的につくり続けるため、発電所員の皆さんをはじめ大勢の方々が関わっていることを知りました」と言及。「火力発電所はCOを出すイメージが強く、カーボンニュートラルという流れの中で厳しい立場に置かれていると思っていました。発電所を見学して電力の安定供給に加えて地球温暖化防止のため、火力発電所も先進的な取り組みを通じて進化し続けていることがよく分かりました」と振り返りました。

その上で久野さんは「電気は人々の生活や経済を支える重要なインフラです。これまで漠然と節電は大事だと思っていましたが、これを機に私自身も電気をもっと大切に使おうと思います。発電所で働く皆さん、引き続き安定供給のために頑張ってください。よろしくお願いします」とエールを送りました。

久野さんの言葉を受け、黒岩所長は「現場の地道な取り組みや苦労を知って頂けてよかった。これからも供給力としての役割や出力を柔軟に調整する役割を全うしながら安定供給にも貢献し、将来の火力のゼロカーボン化に向けて進化を続けたいと思います」と意気込みを述べました。

久野 静香
久野 静香 くの しずか
1989年3月27日生まれ。元日本テレビのアナウンサーで、現在はフリーアナウンサーとして活動。
2022年7月から関西在住となり、地元の情報・バラエティーを中心に活躍する。
自身の公式ユーチューブチャンネルも立ち上げ、趣味のバイクやテレビゲーム動画が人気を集めている。

(3月13日付 電気新聞より転載)

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