現場取材|ゼロカーボンエネルギーのリーディングカンパニー
かんでん Update
2021.4.30

現場取材|ゼロカーボンエネルギーのリーディングカンパニー

40年以降運転を支える「チーム美浜」の底力

美浜発電所 土木建築課 中本勝人/構台設置工事担当

原子力事業本部を後にし、40年以降運転を目指す美浜発電所へ向かった。3号機は20年9月に、防潮堤設置、外部遮へい壁耐震補強、中央制御盤取替など多岐に亘る安全性向上対策工事が完了。なかでも構台(原子力格納容器または屋外へ大型機器等を移動するための作業台)設置工事の現場管理を担当したのが中本勝人だ。作業台といっても、コンクリート総量約14,000㎥、鉄骨総量約3,000tを要した大工事。「まず大変だったのが鉄骨の品質管理。オリンピック需要の影響で全量を国内で賄えず、半分以上の約1,800tを海外メーカーに発注。厳しい安全基準を満たすため、現地工場に出向き、繰り返し品質検査を行った」

中本にとって美浜発電所は入社後初の配属先。11年の東日本大震災後、原子力事業本部で工事計画認可申請業務に携わるうち、現場でも安全性向上対策工事に携わりたいと志願して19年ぶりに美浜発電所へ戻ってきた。

構台は高さ27m、高所作業も多いうえ、敷地が狭く、さまざまな工事が同時進行することでリスクも高い。「今何を優先すべきか」を常に考え、毎日多くの関係者とともに綿密な調整を行ったという。安全対策ではチームの皆に「一見、安全に見えるような状態であっても、過信はNG。さらに一歩上の安全を目指していこう」と伝え続けた。「皆プロなので気をつけるのは当然。しかし、一歩踏み込んだ先で、もしかすると何かあるかもしれないと、五感を研ぎ澄まして常に見えないリスクを考えるのが真のプロである」。安全を守るためには、一切手を抜かない。徹底して現場関係者全員の危険感受性を高め、安全文化を醸成した。

中本たちの思いが実を結び、構台工事は20年3月、無事故無災害で完了。完成した構台の下には、現場のスローガン“One for All All for One”の言葉と工事関係者の名前を記した銘板が貼られている。

今、中本は、約200カ所に及ぶ施設の巡視点検とメンテナンスのため日々現場に足を運ぶ。「つくって終わりでなく、これからが本番」と、地道にひたむきに作業を進める中本の姿があった。

上 (左)美浜町内全戸を訪問し双方向のコミュニケーションを展開 (右)構台設置工事の品質検査の様子
下 安全性向上対策工事が完了した美浜3号機の構台

主力電源化を目指す再生可能エネルギー

森 望・執行役常務/再生可能エネルギー事業本部長

「ゼロカーボンビジョン2050」のサプライサイドで重要な役割を担う再生可能エネルギー(以下再エネ)の状況はどうか。森 望・執行役常務/再生可能エネルギー事業本部長に話を聞いた。

関西電力では既存の水力発電も含め、国内外で約400万kWの再エネ電源を運用しており、今後新たに200万kW以上を開発、2030年代に合計600万kWの開発目標を掲げている。

「再エネとひと口に言っても、天候に左右される太陽光や風力もあれば、ベースを担える地熱、燃料確保が鍵のバイオマスと、ポテンシャルもリスクもそれぞれ違うので、事業性を踏まえながら、多様な電源開発にバランスよく取り組んでいく。さらに2050年に向け、導入拡大が見込める洋上風力を中心に開発を進め、ゼロカーボン化を実現したい」

一方で、再エネが増えれば需給調整が従来以上に重要になる。調整電源の役割を担う火力のゼロカーボン燃料(水素・アンモニア等)化やCCUS (CO2の回収・有効利用・貯留)技術の適用も含め、全電源のゼロカーボン化を目指していくという。

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