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越前若狭探訪

越前若狭探訪

神々(こうごう)しい白山を望む 越知山(おちさん)と泰澄(たいちょう)〈越前町〉

福井県地図

越知山の山頂から望む白山連峰と福井市街
▲越前町と福井市にまたがる越知山の山頂(標高約613m)から望む白山連峰と福井市街(4月末撮影)

 『泰澄(たいちょう)和尚(かしょう)伝記』によると、白山は奈良時代の717年、越前の泰澄(682~767年)によって開かれ、今年、開山1300年を迎えた。
 泰澄は、越前国麻生津(あそうづ)(福井市)に生まれ、少年時代から越知山(おちさん)に通って修行。36歳の時、白山に登り、苦行ののち十一面観音などの神仏を感得。日本古来の神と外来の仏を一体とする〝神仏習合〞の開祖となり、以後、白山信仰として全国に広まった。それは、現代の日本人が家に神棚と仏壇をまつるといった宗教観にもつながっている。
 越知山は、『日本百霊峰巡礼』に選ばれている。山頂近くに越知神社御本社の社(やしろ)、神宝庫(しんぽうこ) 、殿池(とのいけ)などのほか、山頂には奥之院がある。
 その周辺一帯にブナ林が広がり、室堂(むろどう)前には御神木であるトチの巨木がそびえる。訪れた参拝客に宮司は、大樹に身を寄せて額(ひたい)を幹に当ててみるよう勧めている。ふっと肩の力が抜け、自然と一体となるような不思議な感覚が味わえる。
 電波塔近くの展望台(626m)と奥之院からは、快晴の日に白山連峰の全容を望むことができる。泰澄は、その神々(こうごう)しい姿に強く心ひかれ、のちに白山へと向かう。
 越知山へは、越前町小川の登山口から「行者道コース」を歩くと片道約2時間半。花立(はなだて)峠や武周(ぶしゅう)ヶ池からの別ルートもあり、山歩きのコースとして人気がある。なお、福井市尼ヶ谷町からは林道が殿池まで通じており、脚力に自信のない人も越知神社参拝が可能だ。
 越知山の山頂から東へ直線距離で約5kmの所にある大谷寺(おおたんじ)(大長院(だいちょういん))と背後の山(古代の山林寺院跡)は、泰澄が少年の頃から修行し、晩年に白山から戻って86歳で亡くなった地とされる。15世紀には11院32坊を構えたという別当寺(神仏をまつる霊山を管理運営した寺)であり、北陸屈指の古刹(こさつ)。明治維新政府が神仏習合を否定し、神道を仏教から独立させた〝神仏分離〞によって越知神社と分離された。
 越知山の自然・文化・歴史の掘り起こしと継承に取り組む「越知山泰澄塾」が、登山道の整備やウオークイベントの開催、調査研究誌の発行など、熱心な活動を続けている。

地図

泰澄廟と伝えられる高さ4.4mの九重塔
▲泰澄廟と伝えられる高さ4.4mの九重塔
(越前町・大谷寺境内、国指定重要文化財)

大谷寺
▲大谷寺

 

ブナ林に囲まれた越知山山頂近くの参道と神宝庫(しんぽうこ)
▲ブナ林に囲まれた越知山山頂近くの参道と
神宝庫(しんぽうこ)

御神木 トチの巨木(4月)
▲御神木 トチの巨木(4月)

越知神社御本社(拝殿)
▲越知神社御本社(拝殿)

【取材協力】越前町織田文化歴史館
【参考文献】『越知山 泰澄の道』(越知山泰澄塾・平成21年発行)、『福井県史 通史編1』(福井県・平成5年発行)、『泰澄・白山開山一千三百年 時空をかける泰澄』(福井県・平成29年発行)

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