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「関西電力グループレポート 2017」のCSRに関するページを読んで

関西電力グループのCSR活動の特徴


関西大学 社会安全学部・大学院社会安全研究科 副学部長・教授、博士(法学) 日本経営倫理学会 理事 日本経営倫理士協会 理事 経営倫理実践研究センター 上席研究員 高野 一彦 氏の写真
関西大学 社会安全学部・
大学院社会安全研究科
教授・博士(法学)
日本経営倫理学会常任理事
日本経営倫理士協会理事
経営倫理実践研究センター
上席研究員
髙野 一彦

 関西電力グループレポート2017では、冒頭の特集において、関電ガスの契約数が本年6月末時点で約18万件になったこと、海外事業においては8か国、11の発電プロジェクトを行っていることなどが紹介されており、昨年策定された中期経営計画が進捗し、総合エネルギー企業として順調に発展している様子が窺える。
 関西電力グループのCSR経営の特徴の一つは、風通しの良い社風の醸成に努力していることではないかと思う。たとえば岩根社長をはじめとする経営層の方々は、各地域統括機関での対話活動を積極的に実施し、第一線で働く従業員のみなさんとさまざまな観点から議論を行った。多くの企業でこの取組みを紹介しているが、実践はなかなか難しい。この取組みを継続されていることに敬意を表したい。
 また、2015年3月に大阪市から女性活躍リーディングカンパニーの認証を受け、2015年度市長表彰・優秀賞を受賞したことに続き、2016年度は、女性活躍推進法に基づく「えるぼし(最高位、3段階目)」を受賞するなど明るい話題も記載されている。従前よりダイバーシティを積極的に推進してきたが、その努力が結実したのではないだろうか。
 近年、GRIや国連などの国際文書が相次いで公表され、CSRに関する状況が変化している。関西電力グループレポートは、これらの国際的な動向に真摯に対応している。昨年度版のグループレポートは、「GRIガイドライン 第4版」に対応し、従前の網羅的な記載から、重要な分野(マテリアリティ)を特定して詳しく記載する方法に転換するとともに、フルカラーにして読みやすさを追求した。本年度版は、図表や写真をふんだんに使って、さらに「理解しやすい」レポートに仕上がっており、また「持続可能な開発目標(SDGs)」への対応表を掲載している。今後も、これらの取組みをさらに発展されることを期待したい。

今後のCSR経営への期待


 筆者は、昨年度の第三者意見の中で、グローバル・コンプライアンス体制、情報セキュリティ体制の確立について、さらなる努力をしてほしい旨の「要望」をさせて頂いた。本年度版グループレポートでは、海外事業展開を見据えた贈賄防止などの取組み、サイバーセキュリティへの取組みなどを紹介しており、真摯な対応を窺い知ることができる。
 近年、欧米諸国において、企業にリスク管理・危機管理体制の構築を求める法が成立している。たとえば英国の贈賄法(UKBA)やEU一般データ保護規則(GDPR)などであり、高額な制裁金や罰金を規定している。海外事業展開や国際取引の拡大が予想される中、今後も継続してグローバルな体制構築のために努力されることを期待したい。
 また、本年度版グループレポートでは、新規事業展開に伴う新たなリスクへの対応に積極的に取組んでいることがわかる。たとえば「コンプライアンス相談窓口」は、子会社や取引先も利用できるようになっており、通報件数も昨年74件と機能している様子が窺える。特に新規事業は未知の世界であることを考えると、ネガティブ情報が即座に経営トップに伝わることが重要である。今後も地道な努力を継続されることを期待したい。
 1984年、関西電力は「デミング賞」を受賞している。わが国の電力会社では唯一の受賞である。関西電力の高品質で安定的な電力供給は、関西の経済発展を支えてきた。今後は総合エネルギー事業者として、日本経済の発展を支えることが期待されている。社会の期待に応えること、それは「企業の社会的責任」に他ならない。高品質で安定的なエネルギー供給を行うための効果的なグループ・ガバナンス体制の構築をさらにすすめられることを期待している。

ご意見に対して

関西電力株式会社 常務執行役員(経営企画室担当) 稲田 浩二氏の写真
関西電力株式会社
常務執行役員
(経営企画室担当)
稲田 浩二

 関西電力グループレポート2017の発行にあたり、貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございます。
 今回、髙野先生から、「風通しの良い社風の醸成に努力している」との評価をいただきました。今後も、安全最優先と社会的責任の全うを経営の基軸とした経営理念を実践することに加え、風通しの良い多様性を活かした職場づくりに努めていきたいと考えております。
 また「国際的な動向に真摯に対応している」との評価もいただき大変ありがたく存じます。昨年特定したマテリアリティに加え、価値創造プロセスの明記や「持続可能な開発目標(SDGs)」への対応の掲載などを進めておりますが、引き続き、事業環境やステークホルダーのみなさまからの期待・要請の変化に応じた改善を図っていきたいと考えております。さらに、事業活動を推進していくうえでも、一層これらの取組みの充実を図ってまいります。
 髙野先生のご指摘のとおり、企業に求められるリスク管理や危機管理体制への要請は高まっています。当社グループが、国際事業やグループ事業を積極的に展開していくにあたっては、持続的な発展の基盤として、コンプライアンスやリスク管理に関する国際動向なども踏まえ、より実効性のあるグループ・ガバナンス体制の構築を図ってまいりたいと考えております。

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