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「二十五日の因縁 〜 天神祭に寄せて」

福井 栄一・上方文化評論家

 二十五日と聞いて、「給料日だ!」と胸をときめかせるのは、勤め人の悲しい性(さが)なのであって、毎月二十五日といえば、菅原道真公、すなわち天神さんのご縁日である。
 天神さんほど、二十五日に縁のある人も珍しい。
 菅原是善(これよし)の三男として誕生したのが、承和十二(八四五)年六月「二十五日」。
 政敵であった左大臣・藤原時平の讒言によって、都から遠く離れた太宰権帥に左遷されたのが、昌泰四(九〇一)年一月「二十五日」。
 そして、失意のうちに赴任地で亡くなったのが、延喜三(九〇三)年二月「二十五日」であった。
 全国各地の天満宮・天神社では、毎月二十五日にさまざまな祭事が執り行なわれる。年の最初のご縁日である一月二十五日を「初天神」、最後のご縁日である十二月二十五日を「終天神」と称する。ちなみに、大阪天満宮の天神祭の本宮は、七月「二十五」日である。
 平安の栄華を遠く離れた近世に於いても、「二十五」という数字を、天神さんと結びつける風潮は、いまだ健在であった。そのことは、大坂・新町廓の遊女の名称をみても明らかである。
 一口に遊女といっても一様ではなく、上から、太夫(たゆう)、天神(てんじん)、鹿恋(かこい)、端(はし)女郎の四階級があった。よく見て欲しい。第二位の遊女の呼称は、畏れ多くも「天神」。理由は簡単。揚代(あげだい)が、銀「二十五」匁(もんめ)だったからだ。
 このあたりの事情を知らないと、次なる川柳は、まったく意味不明であろう。曰く、
      牛になる つもり天神 坊主買い
 若い修行僧は、しばしば師から「女性を近づけてはならぬ」と諭され、「万一、女犯(にょぼん)の罪をおかすと、その報いとして、来世は牛に生まれ変わるぞよ」と脅された。
 けれども、なかにはどうしても色慾を抑えきれない坊さんもいる。
 そうした手合いは、散々迷った挙句、「えぇい、ままよ。たとえ来世で牛に転生しようとも・・・」と腹をくくって色街に乗り込み、天神女郎と一夜を共にする、というわけ。
 ちなみに、上記の句には、もうひとつの含意がある。
 それは、破戒僧の転生した姿とされる「牛」である。揚代の「二十五」という数字と同様、「牛」もまた、天神さんと縁が深いのである。
 思えば、天神さんの生年の承和十二(八四五)年は、干支でいえば、「乙丑」(きのとうし)であった。
 また、太宰府での逝去の折、遺骸を載せた牛車の牛が、ある場所にさしかかるとどうしても動こうとしないので、そこを太宰府天満宮の鎮座地と定めた、という所伝もある。
 一方で、破戒僧のなれの果てだと誹(そし)られたかと思うと、他方では、天神さんのお遣いとみなされて、崇められる・・・。
 上げたり下げたりがこうも激しいと、さしもの牛クンも、「モー、たくさんだ」と吐息をつくのではないか。否、昔の牛らしく、「憂し」(うし)とつぶやくか。
 「二十五」という数字をめぐり、人と牛の因果もめぐる。■



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