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藤沢 久美・ソフィアバンク副代表;社会起業家フォーラム副代表

2007.11.15
「お金にもっと働いてもらおう――これからの個人資産運用」

藤沢 久美・ソフィアバンク副代表;社会起業家フォーラム副代表

藤沢 久美  ふじさわ くみ
シンクタンク・ソフィアバンク副代表;社会起業家フォーラム副代表
1967年大阪府生まれ、奈良育ち。大阪市立大学卒。96年国内初の投資信託評価会社IFIS設立。2000年ソフィアバンクの設立に参画、のち現職。2003年「社会起業家フォーラム」設立、副代表。NHK教育「21世紀ビジネス塾」キャスターなど多様なメディアで情報発信。著書「藤沢久美のマネーのマナー」「美人の財布 幸せをつかむマネー術」「日本経済30分速習ノート」「マンガで投資入門 今日から私も『株主』に!」「しっかり着実に増やすための投資信託情報の選び方・使い方」「なぜ、御用聞きビジネスが伸びているのか」「子どもに聞かせる『お金』の話」など。法政大学大学院客員教授、金融審議会委員、政府IT戦略会議専門評価調査会委員、政府男女共同参画連携会議委員なども務める。


http://www.kumifujisawa.jp/

貯蓄から投資へ――個人の資産運用を巡る環境は、明らかに変わってきた。少子高齢化の進む日本で、国の財政赤字を改善させながら、いかに個人の生活を守っていくか。従来どおり国が社会保障を一元的に担うのは困難であり、一人ひとりの国民が自分で守る準備をしないと難しい。また日本全体の経済活性化を考えても、日本の個人金融資産約1555兆円のうち過半数を預貯金として眠らせるのではなく、もっと社会の成長のために使う。その一つの方法が投資である。

そこで96年の金融ビッグバン以降、個人が自分で資産形成しやすい、投資をしやすい環境へと市場が整備されてきた。証券会社だけでなく銀行や保険会社、さらに郵便局でも投資信託などのリスク商品を販売できるよう規制が緩和された。ネット証券も広まり、触れる機会が増えた。投資というツールを使える環境が整うにつれ、個人の意識も変化し、投資への抵抗感も減ってきた。

牽引しているのはシニア世代だ。約1555兆円の7割以上を持つ50代〜70代の人々が、投資信託に向かった。といっても株式ではなく、外国の債券に投資をする投資信託。株ほど値動きが大きくなく、外貨預金の延長という感じだし、毎月分配金がもらえるタイプだと安心感がある。「投資は怖い」という意識が払拭され、シニア世代が一気に投資の市場に入ってきた。

しかし、若い人の動きは鈍い。それは第一に、お金がないから。給料が増えず将来不安があるなかで、若い人はリスクのあるものに手を出そうとしない。仕事が忙しく、お金のことを考える時間もない。実際、投資信託市場のボリュームゾーンは50代以上だし、証券会社の顧客の平均年齢は70歳近い。

将来、年金不安に陥る若い世代が、資産運用に取り組めていない。それが一番の問題だ。確定拠出年金など年金制度が充実し、投資や運用機会がある場合はよいが、実際はそのような制度がなく、投資ノウハウもないまま退職する方が多い。

さらに、ここへ来て難しい状況が出てきた。投資の裾野が広がる過程では、不慣れな客が損をしたというようなトラブルが多く、2007年9月30日、「金融商品取引法」という新しい法律が施行された。これは、金融商品を売る側に厳しい規制を求めるもの。先にリスクを説明し、客がとれるリスクの範囲を判断して、その範囲内の商品を提供しないといけない。客から求められていないことを勧誘してはならず、違反すると厳しい罰則がある。より適切な商品があっても、客から聞かれない以上、口にすると罰せられかねない状況では、販売会社は怖くて何も言えない。

これは個人にとっても不幸なことだ。店に相談に行っても十分教えてもらえず、学ぶ機会を奪われてしまう。例えば家電製品を買うときには、店で店員からいろいろ説明を受けて最適なものを選ぶが、それができない。

販売店から情報を得にくい状況下、個人はどう動けばよいか。中立的立場の私から言えるとすれば、リスクを抑えた長期的な資産形成のため、守るべきポイントは次の3つ。まず1つは、長期で運用するお金を用意する。いきなり大金は用意できないので、積み立てをする。生命保険は万一の病気や死亡に備えて毎月保険料を払うが、これからは、元気に老後を迎えたときのために積み立てが必要になる。それが資産運用だと考えてほしい。2つ目は、リスクを分散する。日本と海外、株と債券。少なくともこの4種に分けて運用していく。最後に金融商品を選ぶわけだが、個別に選ぶのは難しいので、世界の株と債券がパッケージ化されたものに、月1万円ずつでも投資する。以上のことを心がければよいと思う。

株や債券への投資は、いわば経済成長に投資するということ。低成長の日本も、高成長ながら不安含みの中国も、個々の国を見ていると投資リスクがありそうだが、「経済成長しなくてよい」という国はない。世界戦争などがない限り、世界全体で見れば年間4〜5%の成長が見込める。世界各国の株や債券をバランスよく持っていれば、株がダメなときは債券がフォローしてくれたり、日本が悪くても他の国が頑張ってくれたりと、トータルで大きく値下がりすることはない。もう1つ、為替でリスクをヘッジする方法もある。外貨預金など、資産の一部を外国に置くことも、自分のお金を守る意味では必要になってくる。

これまで日本人は、お金の問題に正面から取り組んでこなかった。お金を稼ぐことを善しとしない風潮があったし、高度経済成長時代には運用しなくてもお金は自然に増えていた。しかし今後、もし日本経済がさらに厳しい状況になったとき、一番被害を受けるのは、個人である。資産運用を考えてこなかった人たちが不幸になってしまう。そうならないためにも、一人ひとりが今から備えておくことが必要だ。それは資産を一気に投資しようということではない。まず少しでも勉強する機会をつくり、一万円でも投資信託を買ってみる、一株でも株を買ってみる。そうやって資産運用に使える道具を経験しておくことが大切だ。別に本格的にやらなくても、何事も経験しておけば、いざというとき役に立つ。

基本は、守ることであり、将来に備えること。資産運用と聞くと、一攫千金、儲け話と思う人も多いが、楽に儲けるなんてできない。儲けるのは、本来の自分のビジネスで。自分がしっかり働くことこそ最も高利回りの運用であり、そこで得たお金を守り、将来に活かす「保険」として備えるのが資産運用。

「お金にも働いていただく」――お金に世界へ出稼ぎに行ってもらい、自分は頑張って働く。こういう考え方をすべきであり、本来の仕事をなおざりにするのは、本末転倒だ。

ただ、個人でできることには限界がある。仕事で忙しい人が金融機関の窓口へ出向くのは億劫だし、自らの意識改革ばかり求めるのも無理があり、やはり社会全体の仕組みづくりが重要だ。経営者が、企業の社会的責任のひとつとして確定拠出年金など社員が投資に触れる機会を提供したり、地域の自治会などで、住民がお金を出し合ってファンドをつくるとか。企業や地域が資産運用の仕組みをどうつくり提供していくか――お金にもっと働いてもらうために、私も企業や地域などへの働きかけを続けたい。 ■


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