Insight時代を解くキーワード Presented by 関西電力
| HOME | このサイトについて | メルマガサンプル | 談話室 | 配信申込・解除 | お問い合わせ・ご意見 |
関西電力HPへ
Main Column Break Close up エナジー News Clip 関西電力 講堂(イベント/セミナー)
 

Main Column
 

表 博耀・運動家;日本文化伝統産業近代化促進協議会会長

2005.12.01
「文化・再発見──和のブランドを世界に発信」

表 博耀・運動家;日本文化伝統産業近代化促進協議会会長

表 博耀  おもて ひろあき
運動家;日本文化伝統産業近代化促進協議会(J-ART)会長
1962年大阪市生まれ。美容師としてスタート、85年ドイツで単独ヘアショーを成功させる。海外での経験により「日本人であること」に目覚め、以後「ネオ・ジャパネスク」と題した独特の日本的世界観を表現するイベントを各国で展開。96年以降は外務省公認事業として、イタリア、フランス、ドイツ、イギリス、韓国、シンガポール、ベトナム、アメリカで開催。2000年ASEM・アジア欧州首脳会合(ソウル)文化総合プロデューサー。日本の伝統美を革新・融合させ現代に甦らせる気鋭のプロデューサーとして、古神道から伝統工芸、舞台までプロデュース領域は幅広く、宮中の勅令が出仕する勅祭衣紋者でもある。2005年5月経済産業省「ネオ・ジャパネスク(新日本様式)・ブランド推進懇談会」を委員としてリード、7月に報告書を提出し、10月「新日本様式協議会」発起人。


「Hiroaki Omote Garden」>>

豊かさの上に、我々はどんな社会を築くのか。 次は文化の時代になる。日本がめざすべきは「文化立国」──そう思って僕が提案してきたのは「ネオ・ジャパネスク」。それが日本の新しいルネサンスを拓く。

「文化」というと、今の日本人はカルチャーセンターのようなものを思いがち。遊びとか、きらびやかなもので普段の生活とは関係ないように思っている。しかしそれは違う。

文化とは、衣食住と気候風土。
普段の暮らしの中で、お茶漬けを食べたりしているのが文化。それが何代目の誰某が使った茶碗であるとか、昇華されると芸術になる。基本的には生活そのものが文化。そして気候風土が培った、国柄、国ぶり、アイデンティティ。日本は咀嚼文化だから、仏教が入ってこようが西洋のものが入ってこようが、融合させて独自のものをつくる。それが巧い。そういう遺伝子を持っている。

日本という国の文化に誇りを持ちたい。
食べ物なんて全部ハンバーガーでいいとなると、日本はアメリカの51番目の州になりかねない。別に敵対することではないが、日本の方が歴史観が深い。しかも多くの民族が集まっているから、よく見るとヘブライ系、ベトナム系、中国系などいろんな顔がある。この狭い国で融合するために、どれだけの苦労があったか。「和の国」というのは、聖徳太子が行った、この国のブランディング。太子はさらに「日出ずる国の天子、日没する国の天子にもの申す」と言って、日本民族に誇りを持たせた。

「ネオ・ジャパネスク」は文化立国をめざす現代日本のブランディング。英国は「クールブリタニカ」という国家ブランド戦略を展開しているが、我々はそれを民間運動で行い、世界に発信する。日本は経済大国と言われているが、胴元はアメリカなのだから勝てるはずがない。だから今、世界の中で日本が経済以外の分野で何をすべきかをはっきりさせる。世界で必要とされないなら、その国は潰れる。今、その瀬戸際に来ている。みんなこのままでいいのか。

こんな細やかなオタクみたいな国民は、他にいない。アニメや手工芸……。日本人は感性の民族。水が清らかで禊ぎの国で、ものすごく鋭い感性を持っている。そこで生まれた工芸品は素晴らしく繊細で雅なもの。何万色もの濃淡を識別できるのは日本人しかいない。中国の漆と日本の漆は細かさが全然違う。日本人は生粋の職人になるほど自分の仕事に手を抜けない。その民族性は世界にとっても価値がある。だから誇りを持って胸を張り、世界の人たちにその日本人の「イズム」を伝えるべきだ。

それが僕の「ネオ・ジャパネスク」。国の根本原理からなる固有の思想の具現化と普遍化。それは、古(いにしえ)であって新しい。温故知新でなく「温故創新」。新陳代謝しないと文化は死ぬ。古い伝統と思っていても、たかだか数代前のものもある。古典が間違っていることもある。常に検証が必要だし、常に息吹を吹き込まないと腐っていく。古であるということは斬新でもある。それが前衛。ところが前衛といえばアメリカだという認識がある。確かにアメリカは歴史がないから常に実験、常にチャレンジ。日本がそれを追いかけるが、追いついた頃にアメリカでは終わっていて、次に移っている。

一体どこを見て走っているのか。むしろ我々は長老民族として、世界に何かを伝えることができる。自国の文化的アイデンティティをベースに、独自の文化を創造し、世界に提供することが、世界への協力になる。もう一度立脚点をしっかり持って国をつくるときに来ている。骨のある、魂の入った国をつくる。

で、これから何をするか。世界というのは各国のアイデンティティから成り立った融合体でないといけない。そのために日本は世界の調整役になればいい。日本はどこかの国が大砲を撃つ中で、怪我をした人に包帯を巻いて回るような国だ。多様な文化を融合させてきた国として、日本がやるべき仕事を徹底的にやればアジアの文化共栄圏ができる。

それをするために、一人ひとりがまず、自分の立脚点を自覚することから始める。グローバル化の中でいきなり世界を語っても、どこの誰かを明らかにしないと世界は受け入れてくれない。自分が何者かがわかると自信が持てる。アイデンティティをしっかり持ち、誇りを持った職人たち、産業人たち。そこにはモラルがある。そういう人々がしっかり囲んでいる国は強い。世界から見ても魅力がある。これが文化立国だ。

我々は日本人だ。そう自覚して、興味を持てば古典を学べばいい。古典は面白い。衣食住の中でも衣は人間だけの創造物。文化性を持って想像・創造することはサルにはできない。創造が原点。人間の創造が独自の文化を生んできた。

古来のしきたり、「有職故実」というのは、公家の有職、武家の故実。いずれも深い歴史があり、それが世界を魅了する。19世紀末のパリ万博でジャポニズムブームが起き、ルイ・ヴィトンが影響を受けたのが「文様」。日本の文様は呪文、祈りを込めたもので、単なるデザインではない。安倍晴明の桔梗紋は魔除けの護符になるとか、公家の装束などにつけた有職文様、武家の紋もそう。

食で言えば、日本は昔、四つ足食いはタブーだった。新春の七草粥は、冬に獣肉を食べてしまったことに対する解毒の意味。行事にはワケがある。もっと身近なところでは、風邪には日本では卵酒。ヨーロッパではホットワインにハーブを入れて飲む。各国にいい文化があり、それを国民が大事にしている。日本にも数多くあるのに、なぜ大事にしないのか。

国は文化より経済を大事にしてきたが、経済とは経世済民、世を立て直し民を助けること。単なる金儲けのビジネスではない。経営者が搾取だけを考え、労働者が賃上げばかり考えていたのでは、うまくいかない。命がけで尽くしてくれる社員がいて、経営者もこれを守る。会社とは社(やしろ)で会う。日本語は英語に直してはいけない。そもそも有職とは、職が有ると書く。それぞれ職方の家業を一子相伝で継いでいった。そういうしきたりがなくなり、空洞化してしまい、何が連綿と繋がっているのかわからない人が増えている。根本がなくなると衰退する。だからもう一度、原点に還って問い質す。そうすれば秩序ができ、本質が見える。

大事なことは、自分で考え、実践すること。日本は自然信仰で、宗教という「教」がつくものは外から入ってきた。もともと日本にあったのは「道」。なぜ「道」かというと、自然がここにある、自分で歩けと。導き、伝えることはするが、自分で考えて自分で歩けというのが、日本。教えるというのは洗脳でもあるわけで、新しいものを生むのとは違う。むしろ人間の潜在能力を引き出すべきであり、日本の伝統工芸も、そうやって磨かれてきた。

とりわけ関西は文化の宝庫。東京は遡っても江戸時代までしかないが、関西は深い。関西を活性化させるのは文化しかない。日本、そして関西こそ、世界の文化の総本山。一生に一度は日本を、関西を訪れてみたいと思う人が増え、みんながこの国を守ってくれるようになれば、文化で国を立てられる。

石も投げないのに波紋が起きないと待っていてもダメ。僕は言うだけでなく、もう20年、実践行動を続けている。ネオ・ジャパネスクの運動は関西発。もっと関西の企業、関西人の力が欲しい。今、関西の活力が減退しているのは、気が死んでいるからだ。関西電力は「気」を売っている会社だと思う。電気、元気──人間の心にエネルギーを届けて欲しい。

そうやってみんなの心に火がついて、目覚めたら、今度は自分が伝道師になって次を目覚めさせる。伝道師を増やすのが、運動家としての僕の役目。運動の到達点として、ネオ・ジャパネスク万博を関西で開催したい。新しい日本をつくり、次の世代につなぐまで、僕は走り続けたい。■


関連資料

「Neo Japanesque・表 博耀の世界」 関連図書 「文化」を読み解く11冊


Columnカテゴリ検索
政治・外交
経済・経営
社会・生活
文化・文明
科学・技術
電力・エネルギー
関西
サイト内全文検索
最近のMain Column


Insight時代を解くキーワード
Copyright (C) 2002-2008 KEPCO THE KANSAI ELECTRIC POWER CO., INC.