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香山リカ

2002.05.01
新しい『家族』のカタチとは?

香山リカ

かやま りか
精神科医;神戸芸術工科大学助教授
1960年札幌市生まれ。東京医科大学卒。臨床経験を生かして、各メディアで社会批評・文化批評を手がけ、現代人の“心の病”について考察を続けている。著書「若者の法則」「えんじぇる」「世界がどんなになろうとも役立つ心のキーワード」「本当はこわいフツウの人たち」「多重化するリアル」「I miss me―新しい自分を見つける42章」「『こころの時代』解体新書」「ココロに向かって耳をすまそう」「<じぶん>を愛するということ─私探しと自己愛─」ほか多数。


父親と母親、子どもはふたりか三人、そして犬か猫も一匹。

CMの世界では、今もなおそれが“平均的な日本の家族”の姿である。彼らが楽しそうに夕食の食卓を囲むテレビCMを、目にしない日はない、と言ってもよい。

でも、いったいそんな家庭は日本のどこにあるのだろう? そんなの、もはやただの幻想にしかすぎないのではないか? ついそう思ってしまうほど、家族の姿は今、大きく変わりつつある。

私がカウンセリングをしていた男子中学生の家では、彼が居間をひとりで使っていた。ちょっとした心の問題を抱える彼の希望を最優先するほかの家族たちは、2階の子ども部屋でひっそりと暮らしている。また、「もう何週間も家に帰っていない」という女子高校生に会ったこともある。「親は心配しないの?」と尋ねると、「何かあれば携帯にかかってくるからいいの」と明るく答えた。彼女は別に親に反抗して家出をしているのではなく、家族とは「何かあれば携帯で連絡を取り合うもの」だと考えていたのだ。

では、CMの“いつもいっしょの明るい家族”とはまったく異なるこれらの一家は、問題家族、病理家族だと言えるのだろうか? そう決めつけるのは、早すぎる。彼らは彼らなりに一生懸命、自分らしく生きようとしていた。そのプロセスの中で、家族の形態は従来のあり方からは大きく逸脱してしまったが、それを無理やり“いつもいっしょ”のスタイルに戻してもあまり意味はないのではないか。

極端な例をあげてしまったが、女性の社会進出や非婚、離婚の増加、個人主義の浸透などの結果、ごく身近にも従来とは異なるスタイルの家族が増えつつある。ごくたまにしか顔を合わさない家族、父親はいないが“母親”が二人いる家族、あるいはまったくバラバラに暮らす家族など。はっと気づいたら、「両親と子ども2人がいつもいっしょ」という家族の方が少数派、という時代もすぐそこに来ている気がする。

これまでの定義ではとても「家族」とは言えないような彼らを、いったい何と呼べばいいのか。──私は、やっぱりそれは「家族」と呼ぶしかないものなのだ、と思う。“いつもいっしょ”の幻想やノスタルジィに浸ることなく、まったく新しい住まい方、暮らし方をする新・家族の幸せを、どうやって探していけばよいのか。私たちは今、大きな曲がり角に立っているのかもしれない。■


関連資料

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