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2002.02.01
経営学から見た『関西らしさ』とは何か

金井壽宏

かない としひろ
神戸大学大学院経営学研究科教授(経営管理学)
1954年神戸市生まれ。京都大学教育学部卒、神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程修了、マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了。神戸大学助教授を経て、教授。変革型リーダーシップ、キャリアダイナミクスなど研究。主な著書「経営組織」「企業者ネットワーキングの世界」「ニューウェーブ・マネジメント」「変革型ミドルの探究」「働くひとのためのキャリア・デザイン」など。


経営戦略論のマイケル・ポーター、ハーバード大学教授が2001年12月、ポーター賞授賞式のために来日した。ちょうど50年前にデミング賞が始まって、その使命がこの長い歴史の間に変質してきたとの認識がある。今求められているのは、ただ業務の効率がよいだけの企業でなく、よい戦略をもつ企業だ。そのような認識のもとで、ポーターの長年の親友である一橋大学の竹内弘高教授が日本でデビューさせた新しい賞だ。

その竹内先生が、これからの経営幹部の育成ということで、めったにないのだが、ポーター賞の授賞式に先立って、関西で11月に講演してくださった。ポーターと竹内の両教授の共著(Can Japan Compete?)におけるキーワードは、OEとSPだ。OEは、operational efficiencyの略で、業務上の効率を指す。日本が徹底的に追求してきたことだ。ここでは、「もっとよくする(make something better)」というまじめな世界が鍵となる。しかし、これだけだと、競争は同質化してしまう。それに対して、SPは、strategic positioningの略で、戦略的な位置付けをわが社にとってどのようにおこなうかという点での強みを指す。「ちがうことをする(make something different)」という、ちょっとおっちょこちょいの世界がここでの鍵だ。わたしたちには、けったいやなーと言われても、それを好むところが確かにある。

「日本企業は、このOEは、オ−イによくできているが、SPがだめなので、持続して利益を高くあげられている会社が少ない」と、江戸っ子なのに竹内先生はべたべたの洒落を言われた。そして、なんか違うことをするのは、もともと関西は得意だったのではないかという気持ちをほのめかせた。わたしは、これっていい励ましだと感じて、戦略のいい会社を関西から創ろうというエールがその場に聞こえたような気がした。

同じ一橋大学で、日本の経営学の「国宝」ともわれわれが冷やかす野中郁次郎教授が、また、関西がらみのおもしろいことを、(残念ながら東京での)夕食時にぽろっと発言されたことがある。突然、「金井さんねー、関西のほうが知識創造に適しているかもしれないよ」という言葉に始まった。「どうしてですか」とお聞きすると、「関西弁のなんともいえないとっぽい響きが、知識創造にもイノベーションにも新事業にもいいんだ」と主張される。たとえば、サントリーといえば、「やってみなはれ」精神ということで、この言葉ばかり強調されるが、いくらサントリーさんが新しいことに積極的だといっても、若手の提案することに、「いきなりやってみなはれ」というわけではないだろう。まず、「こうしたい」というと、「なんでやね?」と聞かれる。かくかくしかじかと説明すると、また「なんでやね?」と聞かれる。何度かのやりとりを経て「よっしゃ、ほな、やってみなはれ」ということになるんではないかというのが関西弁がいいという野中説。間違っていたら、これをお読みになったサントリーの方に修正してほしいが、野中御大のいわんとしたことは、もし、東京で、だれかが「こういう新事業をやりたいのです」と言うや、「なぜなのだ?」と2、3回も詰められたら、元のアイデアから新しい知識や励まし、エネルギーが生まれなくなってしまう。

「なぜだ?」と言われると堅いが、「なんでやね?」は響きが違う。「『なんでやねん?』というのと相まって、『やってみなはれ』につながる道がいいのだ」とも強調された。本気で言っているのかどうかはともかく、関西にいるわたしにとっては、いいことを教えてもらったと思えた。

他との違いを戦略発想して、「なんでやねん」と「やってみなはれ」で、行儀わるく、ひょうきんに、イノベーションを起こすひとが、関西から増えたらいい。小林製薬の小林一雅社長が、something differentという旗印をかかげ、創造・革新をするごんたが大事だと言っておられる。そういうところに、経営学や経営に見る関西らしさがあるのではなかろうか、ふと思う。■


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