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2002.01.01
『日本らしさ』とは何か

中西輝政

なかにし・てるまさ
京都大学総合人間学部教授(国際政治学)
1947年大阪府生まれ。京都大学法学部卒、同大学院法学研究科博士課程単位取 得、英ケンブリッジ大学歴史学部大学院修了。三重大学助教授、スタンフォード 大学客員研究員、静岡県立大学教授を経て、現職。著書「日本の敵」「いま本当 の危機が始まった」「大英帝国衰亡史」「国まさに滅びんとす」など。


21世紀最初の年、2001年は新世紀がどういう時代になるかを示唆した年だった。

どの国も、国の伝統・文化に眼を向けざるを得ない出来事が相次いだ。

例えば9月11日の米国同時テロは、人間の生活が何によって成立しているか── 経済生活を支える柱としての精神生活、文化という生き甲斐の拠り所を考えさせ ることとなった。それは日本にとっては改めて「国」を意識させるものとなり、 世界同時不況とも相俟って、小泉改革の先にある日本の姿に関心を抱かせること になった。本来国家は第1に安全、第2に豊かさ、第3に精神的充足感という3 本柱を得て初めて繁栄する。戦後日本は第2の柱だけを追求してきたが、むしろ 第1と第3の柱が重要と気づかせる出来事が相次いだわけだ。

では「日本らしさ」とは何か。その際、重要なことは、地理的条件や歴史という 「しっかりした動かないもの」に着目することだ。日本の場合、まず島国である こと、縄文と弥生という2つの文化を持つことに着目する必要がある。

縄文の昔、約1万年もの間、この国の人々は谷や盆地の狭い地域で、自然の恵み を分かち合いながら「和と共生の文化」を発達させた。ある種、無原則のこの文 化は、同時に停滞的でもあり、それが行き詰まった時に迎えたのが弥生時代だ。 稲作を基盤に大規模な集落を生み、国家統一を進めたこの「戦乱の文化」は、眠 り込んだ日本を目覚めさせ、新しい日本の背骨を形成し、活力を蘇らせた。「縄 文的なもの」と「弥生的なもの」がつながった時、日本らしさが誕生したのだ。 心の清廉さや集団の和を重んじる「手弱女」的な縄文文化、合理的で強い意思を 持つ「益荒男」的な弥生文化。日本にはこの2つが融合して在る。前の文明を一 掃してしまう大陸の「更地文明」とは異なる、島国ならではの「重層的な文明」 ──これこそ日本の特質と言えよう。

精神の日本史を振り返れば、「縄文的なもの」と「弥生的なもの」は、二律背反 の関係で日本を動かしてきた。縄文的安定が続くと眠り込みがちになる日本は、 弥生的インパクトで電撃的に蘇る。元寇然り、明治維新然り。そう見れば現代 は、戦後の縄文的繁栄を経て、弥生的なものが求められているわけだ。

そこで間違えてならないのは、それによって「日本らしさ」を失うわけではない ということ。グローバルスタンダードにしても、術の問題と心の問題、戦略と生 き方は峻別すべき。日本には道徳をルールでなく「美醜」で捉える独自の文化が ある。これは半面、日本人が歴史と伝統に触れなくなった時、一気にモラルを失 う危険も孕んでいる。日本人は今こそ伝統に目を向けるべきなのだ。 今、大切なのは、まず我々は変革の歴史的周期の中に身を置いているとの大局観 を持つこと。次に生き抜く強い意思を持ち、変えるべきもの、変えずに守るべき ものを見極めること。最後に、本当に守るべき「日本らしさ」に自信を持ち、決 して失わないこと。それが日本再生の条件だ。■


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