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「CO2炭層固定化技術開発の研究成果について」

2008.02.15
関西電力研究開発室研究推進グループの野村眞チーフマネジャー



関西電力研究開発室研究推進グループ
チーフマネジャー 野村眞

技術開発でCO2削減へ──。温暖化が世界的課題となるなか、関西電力グループはCO2削減のための技術開発に積極的に取り組んでおり、このたび、北海道夕張市で実験を進めてきた「CO2炭層固定化技術開発プロジェクト」の成果を取りまとめた。技術開発のポイントは? プロジェクトの成果は?──関西電力研究開発室研究推進グループの野村眞チーフマネジャーに訊いた。

――関西電力グループはCO2削減にどう取り組んでいる? ●○●
関西電力グループではかねてからCO2削減を電気事業者の責務と考え、グループを挙げて対策に取り組んでいる。その活動は「減らす」「集める」「閉じ込める」の3つに大別でき、メインの施策は、発電時のCO2排出量を「減らす」対策──すなわち発電時にCO2を出さない原子力発電や新エネルギーの普及推進、水力発電所のリフレッシュ、火力発電所の高効率化などだ。加えて、発電時に発生したCO2を「集める」分離・回収技術を20年近く前から研究しており、集めたCO2を地中などに「閉じ込める」固定化技術についても、グループ企業の環境総合テクノス(KANSO)を中心に開発を進めてきた。

「化学吸収法」のシステムフロー
「化学吸収法」のシステムフロー

――CO2を「集める」分離・回収技術の特徴は? ●○●
火力発電所の排ガス等からCO2を分離・回収する方法としては、化学反応を利用する「化学吸収法」、活性炭のような物質に吸着させる「物理吸着法」、特殊な膜を用いる「膜分離法」などがあるが、関西電力では「化学吸収法」による技術開発に取り組んでいる。その原理は、まず排ガスを「吸収塔」に引き入れ、CO2だけを吸収する「吸収液」に接触させた後、吸収液を「再生塔」で蒸気加熱してCO2を分離させる。このサイクルを繰り返すことで、排ガス中のCO2を分離・回収する仕組みだ。1990年から三菱重工と共同で技術開発に取り組んでおり、大阪の南港発電所にパイロットプラントを設置して実証試験を続けている。このプラントでは、実際の火力発電所の排ガスから1日2トンのCO2を回収しており、回収率は90%、回収したCO2の純度も99.9%という成果を上げている。

――研究着手から17年、現在の状況は? ●○●
「化学吸収法」は、既に実用化レベルに達している。1999年にマレーシアの国営肥料会社へ、1日160トンのCO2を回収し、尿素を生産するためのプラントを納入。これを皮切りに、国内外の肥料会社や石油化学会社などでも採用されている。現在は研究内容も、コスト低減や性能の向上に比重を移しており、最大の課題はいかに効率の良い吸収液を開発できるかである。これまで数百種類の吸収液を試作し、研究室やパイロットプラントで検証を繰り返した結果、KS-1、KS-2、KS-3という3種の吸収液を開発しており、いずれも世界最高レベルの吸収液だと自負している。これらのKS液は、従来の液に比べ、CO2回収効率を20%以上向上させている。現在もさらに改良を進め、より低コストで性能の良い吸収液を開発するため努力を続けている。

CO2炭層固定化技術のイメージ
CO2炭層固定化技術のイメージ

――CO2を「閉じ込める」固定化技術というのは? ●○●
分離・回収したCO2を、海底や地中に閉じ込め、もれないように固定化する技術で、今回、成果を取りまとめた「CO2炭層固定化技術開発プロジェクト」もそのひとつだ。これは、CO2を地中の「石炭層」に注入・固定化して閉じ込めるとともに、石炭層に吸着しているメタンを回収するもの。地中隔離にはこのほか、地下水を含んだ地層にCO2を閉じ込める「帯水層貯留」という方法もあり、これはRITE(財団法人地球環境産業技術研究機構)が研究を進めている。

――「CO2炭層固定化技術開発プロジェクト」の概要は? ●○●
石炭層には大量のメタンが含まれているが、CO2はメタンより石炭にくっつきやすいので、CO2を注入することでメタンが分離される。今回のプロジェクトはこの性質に着目したものだ。石炭層にCO2 を注入し固定化する一方、分離されたメタンを回収すれば燃料として有効利用できることから、いわば一石二鳥の技術。2002年度から経済産業省の技術開発プロジェクトとして研究を開始。グループ会社の環境総合テクノスが実施主体となり、関西電力のバックアップを得て、大学などとも連携して、夕張市の石狩炭田で実証実験に取り組んできた。その結果、一定の成果が得られたため2007年10月にプロジェクトを終了し、このたび、成果を取りまとめたところだ。

――どのような成果が得られた? ●○●
研究成果は大きく分けて3つある。第1は、CO2の注入性能を上げる技術の開発。石炭層にCO2を注入していくと石炭組織が膨張し、次第に入りにくくなる。そこで窒素が石炭層の膨張を緩和する作用をもつことに着目、CO2と一緒に窒素を注入することで、CO2の注入量を最大で約2倍に高めることができた。第2はメタンの回収効率の向上。石炭層にCO2を注入することにより、CO2と置き換わったメタンの回収量は、通常の約9倍も増加することが分かった。そして第3は、注入したCO2の地表への漏洩の有無を確認するモニタリング技術の開発。土壌中のCO2濃度は微生物の呼吸によって変動するため、石炭層から漏れ出たCO2のみを測定することは困難だった。そこで、微生物の呼吸によって増加したCO2と同量のO2が減少することに着目。O2濃度も連続測定することで、微生物によるCO2の増加量を特定し、石炭層からの漏洩量を算出する手法を開発した。なお、CO2の注入性能を上げる技術と注入したCO2の地表への漏洩の有無を確認するモニタリング技術は世界初のものであり、現在特許を申請中だ。

――炭層固定化技術が実用化すれば、どれくらいのCO2が固定できる? ●○●
あくまで試算だが、仮に日本全国の石炭層にCO2を固定した場合、地下1000メートルの深さまでなら約10億トン、3000メートルまでの深さならば約100億トンのCO2が固定できると推定される。また、CO2注入によって回収できるメタンの量も、深度3000メートルまでの石炭層全てにCO2を固定した場合には、約15億トンに上ると推定されており、資源小国の日本にとって有望な技術。ただ現実的には、まだまだ経済性に問題があることも事実だ。

――では今回の研究成果は、今後どう活かしていく? ●○●
本プロジェクトは、今年度で終了することになるが、関西電力グループとしては引き続き研究開発を行っていく。特にモニタリング技術については、炭層固定以外の固定化技術にも応用できるので、さらに精度を上げるための研究を続けていく。一方、新たなプロジェクトがあれば、積極的に手を挙げて参画していきたい。関西電力グループはこれまでも、地球環境問題に積極的に取り組んできた。今後も、今まで培ってきたCO2分離・回収技術や固定化技術を組み合わせ、「CO2排出ゼロサイクル」の確立に向けて取り組んでいきたい。 ■


プレスリリース>> http://www.kepco.co.jp/pressre/2008/0128-3j.html



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