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「原子燃料の長期安定確保へ――カザフスタン共和国での取り組み」

2008.02.01
関西電力原子燃料サイクル室 原燃契約戦略グループの木村和生チーフマネジャー



関西電力原子燃料サイクル室 原燃契約戦略グループ
チーフマネジャー 木村和生

中央アジアの平原からウラン燃料を調達──。2007年12月26日、関西電力はカザフスタン共和国において濃縮ウラン再転換を実施するため、関係各社との意向確認書に調印した。その意義は? これまでの経緯と、今後の展望は?──関西電力原子燃料サイクル室 原燃契約戦略グループの木村和生チーフマネジャーに訊いた。

――そもそも、なぜカザフスタンに注目したのか? ●○●
カザフスタンは、世界第2位のウラン資源埋蔵量を誇る国だ。原子力発電の燃料であるウランは、政情不安定な中東に依存せざるを得ない石油と異なり、オーストラリアなど先進国が主な供給元。長く資源の有無がわからなかったのが旧ソ連諸国だが、1991年のソ連崩壊後、カザフスタンで豊富なウラン資源の埋蔵が確認され、注目され始めた。関西電力は、日本企業としては他社に先駆け、4年ほど前からカザフスタンでのウラン調達を考え、具体的な調査などを実施。2006年1月には、住友商事とともにカザフスタンの国有原子力会社カザトムプロム社が推進している新規ウラン鉱山開発プロジェクトに参画した。これは南カザフスタン州のウエスト・ムインクドュック・ウラン鉱山を新たに開発、20年余りかけて約18,000 tのウランを生産しようというもので、関西電力はここで生産されるウラン精鉱の優先引取権を得た。今回は第2段階として、濃縮ウランの再転換工程をカザフスタンのウルバ冶金工場で実施するため、カザトムプロム社、住友商事と原子燃料工業との協力の意向確認書に調印した。

地図:カザフスタン

――カザフスタンとはどんな国? ●○●
北はロシア、東に中国、南にキルギス、ウズベキスタンなどと国境を接し、西はカスピ海に面した、中央アジアの国だ。もとは遊牧民の国で、シルクロードの最北ルート・天山北路の通過国。カザトムプロム社のあるアルマティは、当時のオアシス都市で、今もカザフ最大の都市だ。国としてはソ連崩壊の1991年に独立し、旧ソ連のなかでは一人当たり国民所得ナンバー1の豊かな国。ソ連崩壊後、石油や天然ガスなど豊富な資源を有することがわかり、資源大国として急速に豊かになった。といってもアルマティや、10年前に遷都した新首都アスタナ以外は、土漠が広がっているような土地。まだまだのんびりしており、首都で交通渋滞が見られるようになったのもごく最近。大統領支持率90%以上で、治安の良さも魅力の一つだ。

――ここ1〜2年、日本の政府要人のカザフスタン訪問が相次いでいるようだが? ●○●
2006年8月に国の「原子力立国計画」が取りまとめられたが、この策定中にウラン資源への注目が高まり、日本政府としても、カザフスタンでのプロジェクトを積極的に支援したいということになった。同時期に小泉首相(当時)が日本の首相としては初めてカザフスタンを訪問。2007年4月には、甘利経済産業大臣をはじめ、電力会社やメーカーなど原子力関連事業者総勢150人の官民合同ミッションがカザフスタンを訪れ、両国政府が原子力分野で幅広い協力を行う旨の共同声明を発表した。この頃には、ウラン資源だけでなく、発電機器メーカーなどのプロジェクトも出始め、ここ2年ほどでウラン資源を通じてカザフスタンと日本との関係は急速に深まってきた。

――そういうなかで今回さらにカザフとの協力関係を拡大すると? ●○●
官民あげてカザフスタンとの関係強化を図るなか、先鞭をつけた関西電力としてもさらなる協力について検討を進めてきた。カザフスタン北東部にあるウルバ冶金工場は、旧ソ連時代から実績を持つ世界最大規模の燃料加工工場。調査の結果、この設備は十分活用できることがわかった。今回の意向確認書は、この工場で燃料集合体の製造に必要な再転換工程を実施するためのものだ。

――再転換工程とは? ●○●
原子力発電所で使用する燃料集合体は、まずウラン鉱石を精錬してイエローケーキという粉にし、それを気体状(濃縮六フッ化ウラン)に転換・濃縮、さらに固体状の二酸化ウランへと再転換したあと、成型加工し製造される。この気体から固体への工程が「再転換」だ。燃料製造に関する一連の工程のうち、採掘など原料に近い部分に比べ、発電所に近い工程ほど、より高度な技術や品質管理、人のモラルが必要になる。

――この意向確認書はどのような意義を持つ? ●○●
関西電力は、原子燃料工業など成型加工メーカーを通じて国内外で再転換を行っているが、カザフスタンにおいても再転換を実施することで、エネルギーセキュリティの面でより安定した燃料確保が可能になると考えている。また、転換や濃縮などすべての工程を、1つの国や組織で一貫して行っているのは、フランス、ロシアであるが、今回のカザフスタンもそのような体制の構築を目指しており、これらの総合的な力を持つ国との関係を構築していくことも、燃料の長期安定確保戦略として重要だと考えている。

――ここまでの取り組みで苦労した点は? ●○●
私自身、ここ2年で10回ほど現地へ出向いたが、最初は旧ソ連の未知の国。どのように交渉を進めようと気をもんだりもしたが、百聞は一見に如かず。行ってみると、カザフ人は日本人とよく似た顔立ちで親近感を覚えた。ただ、交渉では旧ソ連ということもあり、いわば官僚国家。手続きが非常にきっちりしており、提出書類も多く、非常に時間がかかった。また、時間の感覚も、日本と同じというわけにはいかず、期日までに書類が届かないこともしばしば。だけど決めた約束はしっかりと守るので、時間的に焦らなければ、着実に前には進む。

――今後の予定と抱負は? ●○●
再転換工程の技術的な最終確認を行い、最終契約となる予定。とにかくこの契約をしっかりと締結させたい。そのためには、日本とカザフスタンの「原子力協定」の締結が重要であり、その意味でも両国政府の支援が不可欠である。また、技術面では成型加工メーカーの協力が必要、さらに、カザフスタンは内陸国なので輸送が特に重要と考えられるため、商社の協力が必須と考えている。カザフスタンは今後、原子燃料調達の分野で大きな存在感を持つと予想される国。政情も安定し、人々も信頼でき、ビジネス上の懸念も少ないと考える。文化的なスピードの違いなどはあるが、今後さらに信頼関係を深めていきたいと考えている。関西電力は、日本企業がカザフスタンでビジネスをするうえで先駆者的な役割を果たしてきた。この件をきっかけに「原子力協定」の締結が実現すれば、メーカー等が発電機器の取引をすることも可能になる。今後も引き続き、カザフスタンと日本の仲介役として役割を果たしたいと考えている。 ■


プレスリリース>> http://www.kepco.co.jp/pressre/2007/1226-2j.html



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