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「部分放電を常時監視できるセンサーを開発!」

2008.01.15
関西電力電力技術研究所電力基盤技術研究室の柿花邦彦主席研究員



関西電力電力技術研究所電力基盤技術研究室
主席研究員 柿花邦彦

油入ブッシング
油入ブッシング
絶縁油の採取
絶縁油の採取
センサー本体の外観
センサー本体の外観

電力系統のさらなる安全確保をめざして──。関西電力とかんでんエンジニアリングは、変圧器内のコイルと変圧器外側の電線を接続する「油入ブッシング」内部の部分放電を、外部から簡単に検出するセンサーを開発した。そのねらいは? 開発のポイントは?──関西電力電力技術研究所電力基盤技術研究室の柿花邦彦主席研究員に訊いた。

――ブッシングとは? また部分放電とはどんな現象? ●○●
発電所でつくられた電気は、送電線を通じて各地の変電所に送られ、変圧器で電圧を下げてから需要地へ届けられる。ブッシングとは、変圧器内部のコイルと、変圧器外側の電線を接続している筒状の碍子(がいし)で、変圧器本体容器との絶縁と、電線を支持固定する役割を担っている。変圧器本体にもこのブッシングにも、内部には絶縁のための油が注入されているが、雷などで想定以上のショックが機器に付加されたり、なんらかの原因で油の中に水が混入したりすると絶縁性能が低下し、劣化の程度が小さいと局所的な放電は発生するものの、絶縁破壊には至らず局部的にごく小さな高周波電流が流れる。これが部分放電という現象だ。

――部分放電が起きるとどうなる? ●○●
変圧器の「油入ブッシング」内部で起きる部分放電は、時間経過とともに徐々に成長し、時として機器の損壊の原因となる。実は2001年、関西電力の275kVの超高圧変電所で、ブッシングの内部放電が原因で設備損壊事故が起きた。この事故をきっかけに、部分放電検出装置の開発に着手し、現在既に実業務に採用している精密診断装置の開発を行い、引き続き2005年から常設型として用いることのできるセンサーの開発に着手した。

――今回開発したセンサーの概要は? ●○●
「油入機器」の設備診断としては、定期的に絶縁油を採取し、放電時に生ずる油中溶存成分を分析する手法が一般的に広く採用されている。変圧器本体についてはこの方法で検査することができる。ところがブッシングの場合は、構造上、油を採取するには機器を完全停止しなければならない上、油の採取ができない密封構造のブッシングも多い。機器を止めずに、ブッシングの外側から部分放電を検出できないものかと研究を進めた結果、放電時には特有の周波数成分を含有する電磁波が発生することを発見。そのような電磁波の有無により、部分放電を検出できるセンサーを開発した。機器を停止せずに部分放電の大きさを検出することができ、機器の損壊を未然に防げるというものだ。

――電磁波でどうやって放電をチェックするのか? ●○●
電磁波とひとくくりにしたが、例えばテレビやアマチュア無線、あるいは警察の移動用無線が出す電波など、さまざまな種類がある。それらと区別するため、放電時に発生する電磁波の周波数分析を行った。気中放電の場合は60MHz帯域が中心だったのに対し、油中放電の場合は、60MHz帯域とともに150MHz帯域でも電磁波が確認された。さらに気中放電、油中放電に共通して、数MHz帯域で非常に大きな電磁波が検出された。こうした知見から、まず数MHz帯域の電磁波で放送波などのノイズと区別し、次に150MHz帯域の有無で気中放電と区別して、油中放電を検出する。これが今回開発したセンサーの原理だ。

――放電の大きさも管理するのか? ●○●
油中での部分放電は、発生原因によっても異なるが急激に大きくなることは稀で、長い年月の間に絶縁油の劣化が進み、徐々に大きな放電に至る。そのため今回のセンサーでは、放電の大きさを大〜小まで4段階で判定し、放電の大きさごとの発生回数をトレンドで管理できるようにした。また、様々な使い方が可能なように、4段階のレベル設定は、任意に設定できるようにしている。

――その他に工夫した点は? ●○●
常設型を指向したセンサーだけに、性能はもとよりコストも重要な課題。関西電力にも77kV以上だけで約3000台の変圧器があり、センサーの電源用にケーブルを引くだけで膨大なコストがかかる。そこで電源には、3年以上連続使用が可能なリチウムイオン電池を使用。センサーやアンテナの据付も簡単に行えるよう、マグネット固定方式にした。またデータ回収の際も、巡視員の作業効率を考え、高速無線伝送を採用。これにより、巡視員が携帯パソコンから指令を与えれば、1カ月分のデータを約1分で読み取ることができる。

――開発を進めるなかで、最も苦労した点は? ●○●
個々の変電所によって電波環境やノイズレベルが大きく異なるため、50カ所以上の地点で実際にノイズを計測した。例えばコンクリートに覆われた屋内や地下の変電所はノイズが非常に小さく、ほとんどゼロレベルのところもある。一方、屋外の変電所の場合は、さまざまなノイズが入ってくる。部分放電とは関係のないノイズによる誤判定を極力防ぐため、周囲のノイズレベルを計測する機能をセンサーに付加し、ノイズレベルを設定できるようにした。例えば、センサー設置箇所の環境に応じてノイズレベルを設定することにより、ノイズレベルが小さい地点では1000 pC(ピコクーロン=放電の大きさの単位)から、ノイズレベルが大きい地点でも4300 pC程度から部分放電が検出できる。ブッシングの部分放電の異常管理値は10000pC以上とされており、常設型の簡易センサーとしては十分な性能を付与できたと考えている。

――既に実証試験も行ったそうだが、結果は? ●○●
まず、所定の大きさの部分放電を発生できる模擬放電発生器を使い、屋外の超高圧変電所でフィールド試験を行った結果、模擬放電発生器で発生させた所定の大きさの部分放電を、センサーで正常に検出することができた。また、精密診断によって部分放電発生を確認している機器を対象に実証試験を行ったところ、精密診断結果と符合する放電レベルの部分放電を検出でき、センサーの有効性を確認している。

――今後の予定は? また次の技術開発に向けた抱負は? ●○●
現在は超高圧変電所の変圧器にセンサーを取り付け、最終評価のための長期信頼性試験を実施しており、この結果を待って実業務への適用を進める予定。電力会社はもちろん、変圧器を設置されている工場などでも、幅広く使用していただきたいと思う。また、油以外の絶縁材料を用いた機器への適用拡大も視野に入れ、引き続き技術開発を進めていきたい。 ■


プレスリリース>> http://www.kepco.co.jp/rd/topics/2007/0824.html



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