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「アクセス系光ファイバー網における超大容量通信技術の開発!」

2007.12.15
関西電力研究開発室電力技術研究所ITサービス研究室の山下育男シニアリサーチャー



関西電力研究開発室電力技術研究所ITサービス研究室
シニアリサーチャー 山下育男

「常時毎秒1ギガビット」サービス時代へ──関西電力と沖電気工業は、アクセス系光ファイバー網における情報通信量を、従来の40倍と大幅に向上させる技術を開発した。その狙いは? 実用化の目処は?──関西電力研究開発室電力技術研究所ITサービス研究室の山下育男シニアリサーチャーに訊いた。

――今回開発した技術の概要は? ●○●
光ファイバーのネットワークには、通信局間をつなぐ「幹線系」、および通信局と事業所やビル、各家庭などをつなぐ「アクセス系」がある。このうち「アクセス系」は、現在、光ファイバー1本あたり毎秒1ギガビットの通信容量を持っているが、1本の光ファイバーに流れる情報を例えば32ユーザーで共有するため、実際には1ユーザーあたり毎秒100〜数100メガビットの情報しか流せない。関西電力は以前から、沖電気と共同で光ファイバー通信の大容量化に向けた研究開発を進めてきており、今回「ビット多重方式」という情報通信方式の採用により、従来の40倍にあたる毎秒40ギガビットでの屋内情報通信実験に成功した。

――「ビット多重方式」とは? ●○●
現状のアクセス系では、各家庭に設置されたメディアコンバーター(MC)という装置が、通信局から伝送されてくる情報のかたまり(パケット)ごとに添付されている「宛先」を一つひとつ読み取り、必要な情報だけを取り込む取捨選択作業を行っている。これを「パケット多重方式」というが、この方式だと取捨選択作業に大きな処理能力を要するため、毎秒1ギガビットを超えるような大容量の情報には対応できない。これに対して、今回開発した「ビット多重方式」は、通信局側が情報を1ビットずつに分割し、Aさんの情報は1番目、Bさんの情報は2番目……と、ユーザーごとに決められた順番で送り出す。このためユーザー側のMCは、特定の順番の情報を読み取るだけでいいから、取捨選択の負荷が格段に軽減でき、従来の40倍の情報を送っても対応できるようになった。毎秒40ギガビットというのは私たちの知る範囲では例はなく、おそらく世界最大ではないかと思う。

解説図

――毎秒40ギガになると、ユーザーにはどんなメリットがある? ●○●
今までのように1本の光ファイバーを複数のユーザーが共有しても、毎秒40ギガビットあれば、1ユーザーあたり毎秒1ギガビットの容量を常時確保できる。そうなれば、映像が途中で途切れたり、メールの文字が化けたりといったトラブルが少なくなるのはもちろん、より高度なブロードバンドサービスも利用できる。例えば、家族全員が別々のパソコンでハイビジョン映像を観たり、遠隔医療の受診サービスを同時に受けたりすることも可能になると思う。また、ビルや工場では、リアルタイム映像で設備を遠隔監視できるようになるなど、大容量のデータを活用する場面で、利便性が格段に向上するのではないかと思う。

――なぜ「毎秒40ギガビット」としたのか? ●○●
前述のとおり、現状1本の光ファイバーを32ユーザーで共有しても、毎秒40ギガあれば確実に「1ユーザー常時毎秒1ギガ」が確保できるのが理由のひとつ。もうひとつは、毎秒40ギガビットは幹線系で標準的に使われている容量なので、既存の部品やデバイスが利用できるというメリットもあった。この2つの理由から、今回は毎秒40ギガを目標に開発したが、単に技術面だけで言えば、もう少し容量を上げることも可能だ。

アクセス系光ファイバーの実験風景
アクセス系光ファイバーの実験風景

――ということは、将来毎秒100ギガビット時代が到来する? ●○●
いずれはそうなると思う。情報通信の分野では、1つの技術なりサービスが世の中に出たとき、研究は「その次の次」くらいのフェーズを走っているのが普通。今も毎秒100ギガをめざして実験しているところがあるかもしれない。ただ実際問題、各家庭で毎秒1ギガ以上を使うとなると、どんなニーズがあるのか、正直まだ読み切れない。2〜3人が別々にハイビジョン映像を観る場合も、毎秒1ギガあれば足りるだろう。とはいえ、大容量通信が可能になることで新しい使い方が出てくるのも事実だ。例えばYou Tubeのようなサービスも、ADSL時代には考えられなかった。10ギガ時代、100ギガ時代になれば、また新しい使い方が登場すると思う。

――関西電力は、いつ頃から光ファイバー通信の研究に取り組み始めた? ●○●
10年ほど前から、光ファイバーの大容量化を開発テーマに掲げ、外部から研究者を招いたり、社内公募を行ったりして、研究チームを発足させた。実は私も社内公募でメンバーに加わった一人だ。そしてまずは幹線系の大容量化に取り組み、2005年に毎秒1.28テラ(1,280ギガ)ビットの実証実験に成功。実用化の目処が立ったことから、今度はアクセス系の大容量化をめざそうと研究を始め、3年目の今年、技術確立に至った。

メディアコンバーター(MC)の主要部品
メディアコンバーター(MC)の主要部品

――沖電気と共同開発した経緯は? 両社の役割分担は? ●○●
関西電力と同様、沖電気も大容量化研究を進めており、必要な部品の製作もしていたので、以前から頻繁に情報交換していた。そこでアクセス系の研究を始めるにあたり、一緒にやりませんかと声をかけたのが共同研究のきっかけ。役割分担としては、沖電気が部品や装置の試作を担当し、関西電力は主にプランニングやフィールドテストを担当している。

――研究の進展度合いと実用化の目処は? ●○●
屋内での実証実験は成功したが、光ファイバーの場合、温度変化による伸び縮みへの対応が最大の課題。今回の「ビット多重方式」では、通信局までパケット方式で伝送されてきた情報を、1ビット単位の信号に切り分けるとともに、どのビットが1番目の情報か、MC側で認識できるよう、パルスという印を付けて送り出している。だからファイバーの伸び縮みによって、パルスの来るタイミングが早まったり、遅れたりしないよう調整が必要。このための屋外実験を08年早々から、六甲アイランドの実験設備で行う予定だ。さらに実用化に向けては、MCの小型化や省コスト化などの課題もあるので、2010年以降を目途にしている。

――最後に、今後の課題は? ●○●
超大容量通信技術の研究は、幹線系からアクセス系へと進み、どちらも一定の成果を見たが、今後ボトルネックになりそうなのが、両者をつなぐ部分。ここをいかに上手く動かすかが、次の研究ターゲットになると予想しており、今回開発した「ビット多重方式」なども活用して、さらに研究開発を進めていきたい。また今回の共同研究でも実感したことだが、関西電力にはメーカーのような最新鋭の実験設備はないものの、実際の伝送路などフィールドが使えること、現場を知っていることが最大の強み。私自身、研究所に入る前に、技術系社員として多くの現場を見た経験が今に活きている。今後もこうした強みを存分に活かし、新しい技術の開発に積極的に取り組んでいきたい。 ■


プレスリリース>> http://www.kepco.co.jp/pressre/2007/1126-2j.html



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