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「自前の『LNGチェーン』へ、オーストラリアのLNGプロジェクトに参画」

2007.09.15
関西電力燃料室の片岡正憲燃料部長



関西電力燃料室
燃料部長 片岡正憲

資源開発から燃料輸送まで──関西電力は2007年8月、オーストラリアのLNG開発「プルートプロジェクト」の権益を取得。同時に専用のLNG輸送船保有も決め、安定調達への「LNGチェーン」すべてに関わることになった。プロジェクト参画の経緯と概要は? 今後の展望は?──関西電力燃料室の片岡正憲燃料部長に訊いた。

――まずプロジェクト参画の経緯から? ●○●
関西電力が火力発電用燃料として利用しているLNGは、これまでインドネシア産をメインソースと位置づけてきたが、将来にわたって安定調達を図るため、多くの候補プロジェクトを検討した結果、西オーストラリア州のプルートLNGプロジェクトが供給安定性、経済性、信頼性など、さまざまな点で優れていると判断。2年余りの交渉の末、2007年8月、オーストラリアの石油ガス開発会社・ウッドサイド社との間で、権益取得契約とLNG売買契約を結んだ。これにより関西電力は、2010年末から15年間にわたり、年間175万トン〜200万トンのLNGを確保した。

プルートLNGプロジェクト権益取得契約・LNG売買契約調印式の様子
プルートLNGプロジェクト権益取得契約・LNG売買契約調印式の様子
前列右から、森社長、ウッドサイド社のドン・ヴォルティ社長、
後列左は、ジョン・ハワード オーストラリア連邦政府首相

――プロジェクト概要と契約内容は? ●○●
これは、ウッドサイド社が西オーストラリア州北西部カラサで進めているLNG開発プロジェクト。プルートガス田は、カラサの沖合190kmの海底にあり、年間430万トンの生産を見込んでいる。今回の契約締結によって関西電力と東京ガスは、ウッドサイド社が100%保有していた権益のうち、それぞれ5%ずつを譲り受けることになった。つまり、ガス田鉱区を開発する権利の5%と、ガスの液化、貯蔵・出荷、販売を行う事業会社の株式5%を取得することになった。5%と言うと少なく思われるかもしれないが、日本円換算で約1兆2000億円のプロジェクト、5%でも約600億円の投資になる。また関西電力と東京ガスは、出資者であると同時に、2社で生産量の9割近くを購入する買主でもあり、単なる5%参加者とは言えないポジションを確保している。

――このプロジェクトを選んだ理由は? ●○●
最大の理由は、関西電力とウッドサイド社との間に長年にわたる信頼関係を築いていたこと。関西電力は既に1989年から西オーストラリア州のノースウエストシェルフLNGを長期契約で購入している。ウッドサイド社はこの売主6社のうちの1社であり、しかも実際に生産供給しているオペレーター会社が他ならぬウッドサイド社である。関西電力とは約18年ものビジネス関係がある気心の知れた間柄であるだけでなく、この間、非常に安定した生産・操業実績を残してきた。しかもウッドサイド社は西オーストラリア州の州都・パースに本拠を置く会社ゆえに、さまざまな面で地元企業としての強みを発揮できる。実際、2005年4月にガス田が発見されてから、わずか2年 4カ月で最終投資決定と契約締結に至っている。今後の建設工事も予定どおり進めば、供給開始までトータル5年8カ月。通常、8〜10年を要するとされる新規LNGプロジェクト開発としては異例のスピードだ。

――なぜそんなにスピーディに進んだ? ●○●
まず、海外案件で最初の疑問となる「相手の会社は信頼できる会社なのか?」という懸念がなかったこと。またLNG開発は巨大プロジェクトだけに通常、売主は複数社で構成されることが多いのだが、今回はウッドサイド社のみ。一方の買主側も、大口購入者は関西電力と東京ガスのみ、わずか3社が合意すればすべてが決まる。さらに中東産油国などと違い、オーストラリア政府の関与は環境規制など行政面の関与にとどまり、契約自体は民間会社間のみの判断で進む。プルートプロジェクトは世界各地のLNG開発の中では比較的小規模だが、Tokyoの東京ガス、Osakaの関西電力、Perthのウッドサイド社がパートナーゆえ、「TOPプロジェクト」だと自負している(笑)。

位置図
位置図

――LNG市場は今、どういう状況? ●○●
中国、インドなどの台頭を受け、LNGに限らず、あらゆるエネルギー資源は今、需要に供給が追いつかない状態。今や石油もLNGも売り手市場で、当分は厳しい時代が続くと思われる。そうした中、買い手側の我々が「優良プロジェクトを選ぶ眼」を磨くことが重要であり、さらには「売主から選ばれる」ということもまた大切。まずはコミュニケーションを深めてみようという気持ちになってもらわないことには何も始まらない。結局、ビジネスは会社対会社、そして人対人の良好な関係が基本だということを、今回改めて実感した。

――優良プロジェクトを見つけてくるのも仕事? ●○●
最近のような売り手市場の場合、オフィスでじっと待っているだけでは、なかなか優良案件には出会えない。魅力的なプロジェクトを掴むには人的ネットワーク、そして自らが汗をかいて、いち早く見いだしてくることが必要だ。

――プルートガス田の埋蔵量は? ●○●
既に発見済みの天然ガスはLNG換算で約1億トン。15年間の供給に足る埋蔵量が確認されており、さらに延長できる可能性もある。また周囲には未発掘のガス田も多いので、将来の拡張も期待できる。今回建設する生産設備をいわば「ハブ設備」と位置づけ、周囲の中小ガス田を開発する会社に供することも可能。そうした付帯的なビジネスポテンシャルも有している。

プルートLNGプロジェクト概観図
プルートLNGプロジェクト概観図

――今回は、LNG船も保有するそうだが? ●○●
LNGを輸送するための専用船を、関西電力としては初めて自社船として保有することとした。現在建造中で、2008年5月には完成予定だ。LNGの海上輸送はほとんどを売主側に任せていたが、自前の輸送船を持つことでトータルコスト低減とともに、電力需要に合わせたタイムリーな調達にも寄与できる。ガス田開発からLNG生産、輸送、そして発電所に届くまでは、こうした一連の「LNGチェーン」で繋がっており、どこか一カ所でも欠ければ発電はできない。これまで関西電力はLNGを購入するユーザーとしての立場にとどまっていたが、ガス田の権益を取得し、LNG生産事業にも参画し、さらに輸送船を保有することで、「LNGチェーン」のすべてに直接関与することになる。プロジェクトに参画することによって生産・輸送サイドの状況を常時把握できることは、燃料確保の安定性に寄与する非常に大きな要素。今回のプロジェクト参画の意義は、単なる収益性だけに着目した海外投資ではなく、あくまで電力供給の安定性をめざして「LNGチェーン」全体へ関与することである。

――8月に契約締結。現在の状況は? ●○●
出資参画のため、「関電オーストラリア社」という関西電力の100%子会社をオーストラリア法人として8月1日にパースに設立。既に2名がパースに赴き、現地事務所開設の準備を進めている。カラサの建設サイトは既に準備工事中であり、10月にはいよいよ本格的な建設工事が始まる。当初からこのプロジェクトに携わってきたひとりとして、契約が締結されホッとひと息、と言いたいところだが、登山に例えれば、まだまだ3合目。第1船が入港するまで油断はできない、と気を引き締めている。

――最後に、今後の抱負は? ●○●
予定どおり、2010年末に供給開始することが最大の課題。3社のパートナーシップの下、プロジェクトをオンスケジュールで進めていきたい。また、今やLNGビジネスの世界的中心地となったパースに関西電力の拠点を築くことができたので、この現地子会社を積極的に活用して、プルートプロジェクトのみならず広く有益な情報収集に努めたい。そうした中から優良案件があれば前向きに検討していきたい。 ■


プレスリリース>> http://www.kepco.co.jp/pressre/2007/0824-1j.html



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