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「多導体電線活線点検ロボットを開発」

2007.02.01
関西電力技術研究所電力基盤技術研究室の田村清主任研究員



関西電力・電力技術研究所電力基盤技術研究室
主任研究員 田村 清

地上100m、山間部に点々と建つ送電鉄塔に昇り、送電線上を人間が歩きながら点検する──こんな作業を、人間に代わって無停電で行う点検ロボット(多導体電線活線点検ロボット)を、世界に先駆けて、関西電力と東京工業大学広瀬研究室らが共同で開発した。開発の背景やロボットの特徴は?──関西電力・電力技術研究所電力基盤技術研究室の田村清主任研究員に訊いた。

――開発に至った背景は?  //////////
架空送電線は、風雨、海塩、雪といった過酷な自然環境にさらされており、経年によって腐食したり損傷することがまれにある。このため定期的に点検を行っているが、特に山岳地帯や沿岸部に敷設されている「多導体電線」は、ヘリコプターなどから目視確認するか、場合によっては停電させ、直接人間が100mから150mの高さの鉄塔に昇り、電線を歩いて一つ一つ目視点検しなければならない。しかし、安全・安定供給の観点から、停電は避けたいし、停電させるにしても、需要が最も低いシーズンに集中的に実施することが多く、鉄塔検査を行える訓練された職人確保などの問題があった。自走式点検装置による方法もあるが、「単導体」の送電線に限られており、「多導体」では使えない。多導体の送電線を、停電させることなく、いつでも点検作業が行えるような平準化をめざし開発することになったわけだ。

――「多導体電線」とは? 「単導体」との違いは?  //////////
通常、交流送電線は、3相の電線で1つの送電ルートを形成しており、1相あたり1本の電線で送電しているものを「単導体電線」、複数の電線で送電しているものを「多導体電線」という。町中でよく見かける電線は、単導体。関西電力では、原子力や火力発電所などからの幹線など、大容量高圧電流を送るのに、2導体、4導体の送電線を用いている。2導体送電線は亘長約800km、4導体が約2000kmあり、これを5年に1度の頻度で点検している。

多導体電線活線点検ロボットの構造
多導体電線活線点検ロボットの構造

――今回開発したロボットの特徴は?  //////////
このような高圧送電線を、停電させることなく点検するのが、今回世界初となる「多導体電線活線点検ロボット」だ。単導体と異なり、多導体電線は、平行に走行している複数の線が接触してショートを起こさないよう、電線間の相互間隔を確保する「スペーサー」が取り付けられている。また送電鉄塔には、鉄塔に電流が流れるのを回避するための「がいし装置」という絶縁体がついており、自走式の滑車が走行する際の障害になっていた。それらの障害物をロボットがさまざまな移動様式で巧みに避けながら、点検走行できる、というのが今回のロボットの特徴で、50万ボルトまでの送電線の点検に対応できる。

――具体的にはどんな動きをする?  //////////
それぞれ4輪からなる前後2つの車輪ユニット「プーリー」を、送電線の上に載せ、本体がぶら下がる形で移動する。障害物を乗り越えたり、かわしたりしながら自律的な走行が可能。鉄塔から電線を吊すタイプの「懸垂装置」の鉄塔では、ロボットの重心を移動させながら巧くバランスを保って片輪走行することで、鉄塔を越えるから、連続点検が可能になる。一見単純に見えるかもしれないが、重心移動を活用したロボット走行は画期的なコンセプトであり、これを「アクロバット走行」と呼んでいる。

懸垂鉄塔
 懸垂鉄塔

――実際、点検はどのように行う?  //////////
ロボットは、無線操縦により、人間が地上から遠隔操作を行う形だ。ロボットに小型カメラやビデオを搭載し、送電線やスペーサーなど電線付属品の損傷や摩耗を点検する。

――共同開発の経緯や役割分担は?  //////////
社内でさまざまな専門機関を調査し、レスキューロボットや地雷探査用ロボットの第一人者であり、実用的なロボット開発を手がけていた東京工業大学の広瀬研究室にお願いすることになった。その広瀬茂男教授のベンチャー企業・ハイボットがロボット製作を、電線メーカーのジェイパワーシステムズが電線の劣化状況を判断するセンサの開発、関西電力は企画・実証・評価を担当している。

――今後の抱負は?  //////////
現時点では人間による遠隔操作が必要だが、将来的にはロボットが自己判断して障害物を越えたり、異常があれば直ちに人間に連絡するような働きができればと考えている。ロボットの走行動作については完成しており、当面はロボットに各種センサをどう載せていくか、また現在80kgあるロボットをどう軽量化していくかが課題だ。他の電力会社などでも同様の課題があると思うので、早く実用化して、より確実な電気の安全・安定供給に活かしていきたいと思う。 ■



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