Insight時代を解くキーワード Presented by 関西電力
| HOME | このサイトについて | メルマガサンプル | 談話室 | 配信申込・解除 | お問い合わせ・ご意見 |
関西電力HPへ 関西電力HPへ
Main Column Break Close up エナジー News Clip 関西電力 講堂(イベント/セミナー)
 

Close up エナジー
 

「より安定した燃料調達に向けて──自前の石油内航船・石炭外航船を確保」

2006.11.01
関西電力燃料室石油・石炭調達グループの喜多 清チーフマネジャー



関西電力燃料室石油・石炭調達グループ
チーフマネジャー 喜多 清

電力安定供給の土台といえる燃料調達。関西電力では、長期的供給力維持をめざして、石油内航船3隻を新たに確保する方針を決定、また海外から舞鶴への輸送を担う石炭外航船も今秋、竣工。その狙いは、今後の抱負は?──関西電力燃料室石油・石炭調達グループの喜多 清チーフマネジャーに訊いた。

――そもそも内航船、外航船とは?  //////////
読んで字のごとく、内航船は内の航路、つまり日本の海を走る船で、外航船は外洋を航海する船。石油輸送を例にとれば、産油国から日本国内の石油基地まで運んでくる船が外航船、基地から発電所まで運ぶ船が内航船だ。当然、外航船の方が大きく、内航船は5000kl級が最大クラスだが、外航船は大きいものだと30万klクラス。また内航船には、船籍は日本国籍、船員も日本人に限るといった制約が設けられている。

――なぜ内航船と外航船を使い分ける?  //////////
ほとんどの石油火力発電所には、巨大な外航船を直付けできる港湾設備がないというのが理由のひとつ。また石油は液体なので、固形の石炭に比べ積み替えが容易ということもあり、一般にこの方法が採られている。関西電力では、産油国から外航船で運んできた石油を、広島の能美島にある石油基地にいったん受け入れ、そこからさらに内航船で各発電所へ運んでいる。石炭の場合は、直接外航船で運び込むケースが多く、関西電力の舞鶴石炭火力発電所も、外航船が直付けできる設備を備えている。

――関西電力が燃料を直接、現地で購入・輸送している?  //////////
石油の場合、「自社手配ルート」と「取引先手配ルート」がある。自社手配の場合、産油国から基地までの外航船、基地から発電所までの内航船とも、我々自身が船会社と契約し、ルート管理も行っている。取引先手配の場合は、大手石油会社などに購入も輸送も一任する。2つのルートを併用しているのは、セキュリティのため。すべて任せてしまうと、彼らの持つ石油の在庫や内航船が少ないと調達に支障をきたしてしまう。供給の安定性を確保するために、関西電力は1965年頃から自社手配ルートを開拓し、今では自社手配が6〜7割を占めている。

――その自社手配ルートで、専用石油内航船として3隻の新造船を確保する計画とのことだが、理由は?  //////////
関西電力は、現在5隻の内航船を、2008年度までの専用船契約、つまり関西電力が優先的に使用できる契約を結んでいる。しかしこれらの船はいずれも、就航後10年以上経つ古い船。といって、09年以降、別の船を確保しようにも、内航船の需要が減っている今、船会社は莫大なコストのかかる新船建造には消極的。このままではますます船が減り、他社との奪い合いになる可能性もあるため、将来を見越して、先手を打つことにした。たとえて言えば、昔は流しのタクシーがたくさんいて、手を挙げればすぐ来てくれたが、今はほとんど走っていないので、自分でハイヤーを抱えておかないといけない。ところがそのハイヤーも廃車寸前なので、新しい車を確保しようということ。で、その新車を使わないときは他の人にも貸し出す。そうすることによりオールジャパンの供給力も高まるわけで、燃料を安定調達するための輸送体制の維持強化が目的だ。

――なぜ内航船は減っている?  //////////
石油内航船のユーザーは電力会社と石油会社だが、とりわけ電力会社が二度のオイルショック以降、原子力発電で使うウランや石炭、LNGなど燃料の多様化を図り、石油への依存度を下げてきたことが大きい。また石油会社も物流合理化を進めた結果、94年には日本全国で44隻あった5000kl級の船は23隻に、3000kl級も32隻から10隻に減った。このため冬季など石油の需要期には、数少ない内航船をめぐって、複数のユーザー間で取り合いになる。こんなことのないよう、自前で持とうということだ。


――一方、石炭は専航船が10月末に竣工したそうだが?  //////////
関西電力にとって30年ぶりの石炭火力、舞鶴発電所が運転開始したのは2004年。当初は輸送船も短期契約で対応してきたが、この2年間で燃料調達の経験を積み、2010年には2号機も運開予定、加えて中国やインドの経済成長で石炭輸送船の需要が逼迫してきたことなどから、より長期的な調達の安定性と経済性を考えると専航船が必要になっていた。


――専航船を確保することのメリットは?  //////////
まず、長期にわたって、経済的かつ安定的に船を確保することができる。もちろん新しい船なので安全性向上にも繋がる。ただ、これまでは特定の船舶は指定せず、期日だけを指定すれば船会社が船団の中からスケジュールの合う船を回してくれたので、日程的なズレはほとんどなかった。でも今後は我々自身が、この「水薙丸(みずなぎまる)」を常にウォッチしながら、最適なスケジュールで動かす必要がある。そのあたりのコツを掴むまでは、しばらく苦労しそうだ。


――こちらは「水薙丸」という固有名がついている?  //////////
そう。実は舞鶴発電所のある京都府の鳥が、オオミズナギトリ。この鳥は発電所の沖合にある冠島で繁殖するため、島自体が天然記念物に指定されている。しかもこのオオミズナギトリは渡り鳥で、オーストラリアにも飛んでいく。同国から石炭を調達している関西電力にとって、これほど縁のある鳥がいるからには、名前をもらわないわけにはいかない(笑)。船体には、関西電力の森社長自ら揮毫した「水薙丸」の文字が書かれており、我々もオオミズナギトリに負けないよう、安全に留意しながら、オーストラリアと日本を往復したい。


――燃料輸送の苦労は?  //////////
一番気を遣っているのは安全管理。ナホトカ号の事故のように油が漏れてしまうと沿岸地域の環境を汚染するので、安全の確保を最優先課題として取組んでいる。そのため船舶会社とともに「関西電力海上輸送安全協力会」という組織を持ち、年に何回か集まり安全に関する勉強や注意喚起などを行うほか、実際に船に乗り込んで安全巡視も行っている。また、担当者の研修も兼ねて広島から発電所まで内航船に一緒に乗船し、漁船の通行の多い瀬戸内海での安全航行も確認している。


――最後に、今後の抱負は?  //////////
石油、石炭、LNGといった燃料は一次エネルギーだから、燃料調達の仕事はほとんど表に出ることはないけれど、実は電力安定供給の第一歩。電気は発電所から送電線を伝って消費地へ届けられるが、電気のもとを辿れば、「見えない送電線」が海外の油田やガス田などに繋がっている。その見えない送電線──燃料輸送のチェーンを、決して途切れさせないようにするのが我々の使命。燃料自体の確保も、例えば石油にはいろいろな種類があるが、我々としては環境に対応しなければならないので、硫黄分が少ないインドネシア産の原油を中心に、リスク分散のために調達先の多様化も図っている。また資源小国日本としては諸外国の資源に頼らざるを得ないが、輸送手段がないとどうしようもない。外航船の確保は長期的な石炭調達の安定性・経済性を考えたものだし、内航船は、いわば発電所へのラストワンマイル。これが切れかかっていると繋ぎ直さないといけないというわけで、石油内航船も確保した。安定供給に向けて、今後も短期的・長期的施策を柔軟に組み合わせ、チェーンをより強固なものにしていきたいと思っている。■


関西電力燃料情報>> http://www.kepco.co.jp/fuel/index.html



Columnカテゴリ検索
政治・外交
経済・経営
社会・生活
文化・文明
科学・技術
電力・エネルギー
関西
サイト内全文検索
バックナンバー
Insight時代を解くキーワード
Copyright (C) 2002-2008 KEPCO THE KANSAI ELECTRIC POWER CO., INC.