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「新しい家庭用ロボットシステムって?」

2006.09.15
関西電力・電力技術研究所プロジェクト研究室の田中高穂主任研究員



関西電力・電力技術研究所プロジェクト研究室
主任研究員 田中高穂

夢のロボットがより身近に──2006年8月、関西電力は産業技術総合研究所デジタルヒューマン研究センターと共同で、家庭用のロボットシステムを開発した。開発目的やロボットの特徴、今後の課題は?──関西電力・電力技術研究所プロジェクト研究室の田中高穂主任研究員に訊いた。

――なぜ関西電力がロボットなのか、開発の目的は?  //////////
関西電力は、電気事業をはじめとした総合エネルギー事業を中心に、情報通信や生活アメニティなど、暮らしの基盤となる領域で、お客さま満足No. 1企業をめざしており、今後、介護やホ−ムセキュリティなどの分野で本格的にロボットを利用するため、家庭内を自由に移動できるロボットシステムを開発するに至った。

――ロボットの特徴は? 既存のロボットとどう違う?  //////////
今回、開発したロボットは、別室からでもユ−ザ−の声に反応し、部屋間を移動して来るというもの。近年、ロボットは、二足歩行など動作面では高度化が進んでいるが、ユーザーの声や姿を認識できる範囲は、たかだか数m、私の実感としては1m程度が限界。離れた部屋にいた場合、ドアを開けて近くまで行って呼ばないと来ない。しかし家庭内で本格的に利用するには、ユーザーがどの部屋にいても呼びかけに反応して来てくれないと、実用的とは言い難い。この課題に取り組んだのが、今回のロボットシステムというわけだ。

――なぜ既存ロボットではそれができなかった?  //////////
これまでは基本的に、全ての機能をロボット本体に搭載しようという発想ばかりで、ロボットの外側にセンサーやコンピュータを出すという発想がなかった。ロボットに全部詰め込もうとすると、処理するコンピュータが大きくなりすぎ、大変になってくる。今回、開発したロボットシステムでは、ユーザーの声を感知するセンサーユニットをロボット内だけでなく各部屋の天井など、ロボットの外部に取り付けることで、どこで呼んでも感知できるようにした。そしてセンサーに声が到達したときの音圧差と周波数特性からユーザーの位置を特定し、ロボット本体と無線で連動した外部パソコンが、あらかじめインプットされている家庭内見取図をもとにロボットからユーザーまでの最適な移動経路を計算することで、スムーズな移動を実現した。また、センサーやコンピュータを外部化したことで、ロボット本体の小型化・軽量化が可能になり、今後、より複雑な計算処理を行うため大きなコンピュータが必要になった場合も柔軟に対応できる。

――ということは、どのようなロボットにも使えると?  //////////
そう、このシステムに利用できるロボットに制約はなく、さまざまな形状のロボットに使える。将来的には全機能をロボットに搭載するのがいいだろうが、今は負荷が大きすぎるので、この方が現実的である。ちなみに、このシステムは現在、特許出願中だ。

――産業技術総合研究所デジタルヒューマン研究センターと共同開発することになった経緯は? また開発の役割分担は?  //////////
もともと産業技術総合研究所(産総研)デジタルヒューマン研究所センターは、多様な面から人に関する研究を行っており、ロボット研究でも先行していた。今回は、関西電力がこのシステムを企画・発案し、産総研に話を持ちかけたところ、ロボットの外にセンサーや計算機能を置く発想に非常にメリットがあると賛同を得られ、共同研究を行うことになった。技術開発・試作機開発は産総研の持つ要素技術をベースに共同で開発し、実証実験は関西電力の研究設備で行った。

――今後の課題は?  //////////
今回の実証実験で、実用化の目途は立った。但し、商品化のためにはコスト削減や音源定位・音声認識性能の向上が課題。ユーザーの位置や声の認識範囲は、ユニットセンサーを増設すれば、基本的に制約はないが、あまりあちこちにつけると、逆にコストが嵩む。六甲アイランドにある試験場では、3つの部屋で16個の天井センサーをつけているが、今年度中には8畳一間を1個のセンサーで運用できるように改善したい。そしてセンサーユニットを削減してもロボットがきちんと認識できるよう精度を上げていきたい。音声認識は、今回のシステムでは大きな声から順に反応するようになっているが、テレビの音声の方が大きい場合どうするかとか、2人が同時に呼ぶとどうするか、また壁への反射音の方が大きくなるとどうするか、など技術的な検討課題はまだ多い。

――実用化の時期は?  //////////
センサー価格は現在1ユニット20万円くらいだが、量産化を前提に2〜3万円に引き下げ、センサーを使ったネットワークシステムを2009年度中を目途に商品化を検討したい。

――関西電力ではこれまでロボット研究の実績は?  //////////
特定の電力設備の点検用など各部門で個別に開発はしていたが、家庭用のロボット開発は今回が初めてだ。

――ロボット開発は近年急速に盛り上がっているようだが、日本や世界での状況は?  //////////
産業用ロボットなら、原子力発電所でも使われているマニピュレータ(腕ロボット)をはじめ、随分以前から多様な分野で活躍しているが、家庭用となると子供やお年寄りにも安全に使えるものでないといけないから、まだまだこれからで、今は安全面の規格などが検討されている段階だ。また、日本では二足歩行などヒューマノイド(ヒト型ロボット)の研究が盛んだが、諸外国では、あまり開発されていない。これは二足歩行の開発が技術的に難しく大きな開発費を要するのに対し、その具体的な用途が明確にできていないからである。確かに難しい技術だが、家庭に入るとなると馴染みやすい愛される形状にしていくことも大事だと思う。

――今後の抱負は?  //////////
将来的には、テレビやパソコンのように、生活必需品として一家に一台ロボットがあるようになればよいと思う。まずは人間とある程度インタラクションでき、家族の一員として癒しを与えるペットのような存在に。そしてロボットの信頼性を上げていくことで、情報通信技術や介護システム、ホームセキュリティシステムなどと連動させ、お客さまの生活をより便利に豊かにできればと考えている。■




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