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「環境負荷低減へ、最新鋭コンバインドサイクル発電とは?」

2006.07.15
環境室 泉 正博部長



環境室
部長 泉 正博


東海道新幹線が開通し東京オリンピックが開催された1964年、堺・泉北臨海工業地帯の一角で運転を開始した堺港発電所。この火力発電所が、より環境に優しい最新鋭コンバインドサイクル発電方式へと生まれ変わろうとしている。設備更新にあたっての環境影響評価手続きを終え、今秋着工をめざして動き始めた堺港発電所の更新計画の狙いと経緯、今後の課題は?──環境室の泉 正博部長に訊いた。

――電力供給におけるCO2排出の現状と対策は?  //////////
CO2排出は火力発電所からの排出が主になるが、関西電力は以前から、エネルギーセキュリティの確保、環境負荷の低減、経済性の追求という3つの観点に基づき、原子力、火力、水力をバランスよく組み合わせた「電源のベストミックス」を進めてきた。その結果、販売電力量あたりのCO2排出量(CO2排出原単位)は、04年度の実績で0.356kg-CO2/kWhと、電気事業者全体のCO2排出原単位0.421 kg- CO2/kWhと比べても低いレベルを維持しているが、よりいっそうの低減に向け、原子力の安全・安定運転をベースに、火力発電の熱効率向上などに取り組んでいる。

――堺港発電所の設備更新計画もその一環?  //////////
1964年に運転開始した堺港発電所は、現在稼働中の火力発電所では2番目に古い発電所で、堺市という都市部に位置する電源として重要な役割を担ってきた。燃料については当初は重油や原油を燃やしていたが、徐々にCO2の排出量が少ないLNGのウェイトを高め、昨年からはLNGのみを燃料としている。ただ、40年もたてばさすがに今の技術にはかなわない。例えば、堺港発電所の熱効率は37%。当時としては最新鋭だったが、最近は50%を超える発電設備が実用化されている。だからCO2の排出削減はもちろん、電力自由化に対応した低廉な電力供給を実現するうえでも改善の余地は大きいと考え、コンバインドサイクル発電への設備更新を実施することにした。

――コンバインドサイクル発電とは?  //////////
一般的な火力発電所では、ボイラーで燃料を燃やして蒸気をつくり、蒸気タービンを回して発電する。これに対してコンバインドサイクル発電は、まず燃料を1300〜1500℃の高温で燃焼させ、ガスタービンを回して発電し、さらにガスタービンから排出される高温ガスを回収して蒸気を発生させ、蒸気タービンを回して電気をつくる。文字どおり、ガスと蒸気の複合サイクル発電というわけだ。

――コンバインド化のメリットは?  //////////
なんといっても熱効率の向上だ。従来37%だった熱効率が、更新後は52%と、世界トップクラスの高効率になる。熱効率の向上は、そのままCO2排出量の削減につながるので、環境負荷低減効果は非常に大きい。それに運用時には、熱効率の良い発電所から優先的に稼働させるから、堺港発電所の設備が更新されれば、その分効率のあまり良くない発電所の稼働率を下げることができ、関西電力全体のCO2排出量も数%低減できる見通しだ。

――更新計画の進行状況は?  //////////
環境影響評価(環境アセスメント)の最初の手続きとして、アセスメントのプランをまとめた「環境影響評価方法書」を国に届出たのが2004年1月。その後、定められた手続きに従って現況調査やそれに基づく影響評価などを行い、国から確定通知が出たのが今年6月。現在は10月の工事着工に向けて、具体的な工事計画を検討している。

――環境影響評価とは?  //////////
環境影響評価法によって定められた手続きで、発電所に限らず、港湾や空港、高速道路など、環境への影響が懸念される大規模な事業を行う際、あらかじめその影響を予測・評価することが義務づけられている。発電所の場合は15万kW以上の設備を新設・あるいは更新する場合に適用される。具体的には、まず「環境影響評価方法書」を作成。これに対する国の勧告や地域住民の意見を踏まえて、現況調査と評価・予測を行い、「環境影響評価準備書」にまとめて提出する。そしてまた審査を受け、修正を加えた「環境影響評価書」を提出。さらに審査を受け、問題ないとなれば経済産業大臣から「確定通知」が下りる。これではじめて着工できるという流れだ。

――例えばどのような調査を行う?  //////////
大気環境や水質環境、周辺の動植物に悪影響を与えないかなどを調べる。まず現況調査を行い、現地の気温、風向風速、周辺水域の水質、海中の生物の種類や分布など、膨大なデータを1年かけて集め、発電所が稼働した場合に環境にどのような影響を与えるかをシミュレーションする。例えばこれくらいの風向きのときには排気ガスはこの地域まで到達するとか、水温変化がどのくらいの範囲まで及ぶかなどがわかる。

――環境アセスメント実施に際しての苦労は?  //////////
発電所の新設ではなく、既設発電所をLNGを燃料とした効率の良いものに変えるわけだから、当然、環境負荷は下がる。だから予測・評価の結果が現状より悪くなるはずはない。もちろん、単に法律で定められた基準をクリアすればいいというだけでなく、現状の技術で実行可能な範囲で環境影響を低減させることも大事。とはいうものの際限なくコストをかけるわけにもいかない。環境影響の低減とコストの抑制、この2つのバランスポイントをどこに置くかが難しかったが、今回は環境負荷の低減と低廉な電力供給といった2つの目的を同時に達成できる計画に仕上がった。

――その環境アセスメントに2年半かかった?  //////////
そう。だが、通常に比べて9カ月程度短縮できた。現況調査の終わったものから予測・評価を行うなど、前倒しできる部分はどんどん進め、準備書提出までの期間をぐっと短縮した。なぜなら環境アセスが早く終われば終わるほど着工時期が早くなり、運転開始も早くなる。そうすればCO2排出量の削減も早く目処が立ち、京都議定書の目標達成にも貢献できる。そう考えて、できる限りの努力をした。

――今後のスケジュールは?  //////////
今年10月の着工を予定しているが、全5機のうち1号機の運転開始は2009年4月の予定。通常の工事より少し時間がかかるのは、既設の発電所を運用しながら、新しい設備に切り替えていくためである。堺港発電所は都市部に位置する重要な電源だから、供給力を維持しながら、慎重に工事を進めていく計画だ。

――最後に今後の課題は?  //////////
堺港発電所の更新計画は、環境負荷の低減と低廉な電力供給という、これまでは相反すると考えられていた──いわば天秤の関係にあった2つの課題を同時達成できた。その意味で非常に意義深い事例となったが、問題は「第二の堺港」をどうつくっていくか。将来の需要動向や電力自由化の動き、さらには近年急速に需要が高まり、調達リスクが増しているLNGをどう確保するかなど、考慮すべき問題も多い。原子力の安全・安定運転も含め、こうした点を総合的に判断しつつ進めていきたい。そのためにはどうすればいいか、何がベストか、今後も知恵を絞っていきたい。■




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