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「汚染土壌を浄化する『関電ジオレ』って?」

2006.07.01
関西電力研究開発室電力技術研究所環境技術研究センター チーフリサーチャー 宮坂均



関電ジオレ
取締役技術部長 柴垣雄一


近年各地で深刻化している土壌汚染問題。その解決に乗り出したのが、2003年に設立した関西電力グループの「関電ジオレ」だ。会社設立から約3年、画期的といわれるジオレの土壌浄化システムとは、そして今後の展望は?──関電ジオレの柴垣雄一取締役技術部長に訊いた。

――まず「関電ジオレ」設立の経緯から。  //////////
土壌汚染問題は近年急速に関心を集めるようになったが、関西電力では以前から重要な環境問題と位置づけ、発電所の建設や土地活用の際に汚染状況を調査・把握し、必要に応じて対策を講じてきた。だから土壌汚染に関するノウハウは既に持っており、その技術力や人材を生かせるというのが1つ。それに土壌汚染の浄化は環境改善にもなるし、土地取引が増えることで地域の発展にも貢献できるから、地域密着企業である関西電力グループにふさわしい事業でもある。そう考えて、神戸製鋼所さんや大手建設会社さんの協力を得て、2003年10月に、土壌浄化を行う関電ジオレを設立した。ちなみに「ジオレ」とは、地球や土地を表すGEO(ジオ)と、再びという意味のRE(レ)を組み合わせた造語で、「土壌の再生」、ひいては「地球の再生」に貢献することを目指して名づけたものだ。

――そもそも土壌汚染とは? また浄化ニーズはどのくらいある?  //////////
土壌汚染は、工場などから排出される廃液や廃棄物に含まれる有害物質が土壌に漏れ出して発生するもので、有害物質としては重金属、VOC(揮発性有機化合物)、油類などがある。土壌汚染は水質汚濁、大気汚染、悪臭、騒音、振動、地盤沈下と並ぶ「典型7公害」の1つだが、対策は一番遅れている。他の公害には水質汚濁防止法、大気汚染防止法などの規制法があるのに、土壌の場合、汚染防止に関する規制法がなかったため、通常の産業活動をしていても土壌を汚しているケースがある。かつては鉱山や農地の汚染が問題となり対策が講じられてきたが、昨今注目されているのが市街地の汚染。地下水利用がない場合は直接の健康被害に結びつくケースは少ないものの、03年に「土壌汚染対策法」が施行され、対策が必要となった。もともと自然の土にも、鉛やヒ素などの有害物質が環境基準値以上に含まれていることがある。これら「自然由来」のものは、いわゆる汚染土壌ではないが、宅地開発などでこうした土地を掘り返し、土を別の場所へ移せば、その瞬間から汚染土壌扱いになり、処理せざるを得なくなる。実際、需要は増え続けており、市場規模は年間800億円ともいわれている。

――浄化が必要になるのは具体的にはどのようなケース?  //////////
一番多いのは、土地取引を伴う開発を行う場合。例えば工場跡地にマンションを建てるようなケースだ。もともと海外では、土地取引の際、資産価値を評価するために土壌汚染の有無を調べるのは常識。この点日本は遅れていたが、外資系企業の参入もあり、最近は国内でも必須の評価項目となった。加えて土壌汚染対策法や条例によって、土地所有者が対策責任を負わされることがあるため、土地を購入する側が慎重になり、汚染がないことを購入の条件にするようになった。さらにコンプライアンスや説明責任への認識が高まったことも大きい。市街地再開発などで工場跡地などを商業地や公園などに転用するケースもあり、民間企業だけでなく行政からの依頼も増えてきた。

――そうしたニーズを受け、ジオレの事業内容は?  //////////
汚染土壌を受け入れて自社プラントで浄化する浄化事業を中心に、汚染土壌の調査から分析、対策計画の提案などを行うコンサルティング事業、浄化した土を地盤改良材や園芸用土として販売する事業も行っている。「浄化」「コンサルティング」「浄化土販売」を3本柱に、これらを一貫して行うことで、汚染土壌に関するトータルソリューションをお客さまに提供していくというものだ。

――土壌浄化事業で、他社にないシステムを開発したと聞いたが?  //////////
土壌浄化の代表的な方法として、「洗浄」と「熱処理」という2つの方法があるが、洗浄の場合は除去できる物質が限られ、熱処理はコストが高いという問題があった。そこで我々が考えたのは、洗浄と熱処理を組み合わせた連続システム。汚染土壌には小石状の礫や砂、もっと細かい細粒土が混じっており、有害物質は細粒土に含まれている。多段階の洗浄により細粒土を確実に分離すれば、礫や砂は浄化が完了し、汚染土壌は30%程度に減る。その後、この減量化した細粒土だけを約1100℃の高温で熱処理し、無害化する仕組みだ。この方法なら多様な汚染物質や高濃度汚染にも対応できるうえ、最終処分場へ運ぶ飛灰はわずか3%以下となり、処理コストは大幅に低減できる。しかも土壌の97%以上が再利用できるわけで、循環型社会実現の有効な手段となる。2つのシステムの組み合わせというのは、誰でも思いつきそうだが(笑)、これまでどこもやっていなかったし、今でもジオレだけ。特許も出願している。

――すると、プラントの稼働も順調にいっている?  //////////
浄化プラントは、1日約330トン、年間約10万トンの処理能力を持つ、関西初の大規模プラント。会社設立後すぐプラント建設に着手し、約1年後に完成してからは、3交替24時間体制で稼働させている。もっとも当初はスムーズにはいかなかった。24時間、礫や砂を扱うから、思った以上に機械の摩耗が激しいし、なかでも苦労したのは、肝心の浄化技術。汚染土壌は複雑な複合汚染の場合もあり、ある物質は簡単に浄化できても、別の物質はなかなかできなかったりする。経験を重ねることでノウハウやデータが蓄積され、やっと多様な物質に対応できるようになった。また機械の効率も、当初はなかなか上がらなかったが、大幅な改修工事を行った結果、ようやく想定どおりの効率で運用できるようになってきた。

――他の2つの事業は?  //////////
コンサルティング事業に関しては、独自開発のGIS(地理情報システム)を用いた地歴調査システムによる調査をはじめ、汚染の調査から対策の立案まで、その道のプロが幅広くご相談に乗ることができる。土地所有者さんの中には、土壌汚染が見つかれば資産価値は下がるし風評被害もあるからと、調査さえ行わず、土地を「塩漬け」のまま放置しているケースがある。ジオレならコンサルティングにとどまらず、我々のプラントで浄化できるし、原位置対策の得意な建設会社さんも紹介できる。「お客さまのご都合やご予算に合わせて最適なソリューションを提供できます」と、積極的に働きかけている。また浄化土販売事業は、グラウンド用の土として使うと雑草が生えないと好評だし、ゴルフ場の芝生の目土などにもご利用いただいている。

――お客さまの声は?  //////////
汚染土壌を扱っている会社だからこそ、やはり一番大事なのは信頼されること。悪い噂が出たら終わり、1つとして失敗は許されない。そんな想いで、1つ1つの仕事を確実にこなしてきた。それがお客さまに評価され、「ジオレは信用できる」と言ってもらえるようになってきた。実際、見学に来られた方が「ここまでやるの?」と驚かれる。浄化した土を処理日ごと、粒径ごとに仕分けして確実に浄化されたかどうかを細かく分析・検証している。最近では事業者から相談を受けた行政の方が「ジオレがあるよ」と紹介してくれるようになり、クチコミでの引き合いも増えてきた。

――では最後に今後の課題と抱負は?  //////////
この評価を損なわないよう、いっそう信頼を高めていきたい。具体的な課題としては、まず土壌浄化施設として関西初の「施設認定」を受けること。今は土地所有者の自主調査に基づいて発生した汚染土壌を浄化しているが、土壌汚染対策法で指定区域となった土地は認定施設でないと浄化できない。言い換えれば認定をとることが信用にもつながるわけで、まずは認定取得をめざしている。また、これまでの蓄積をもとに浄化効率をさらに上げ、もっとコスト競争力を高めたい。ジオレのプラントは、関西の中心部に位置するという好立地条件に加え、専用の港湾施設を備えているため、関東など遠隔地から船舶による土壌輸送にも対応できる。この強みを生かし、全国に市場を拡げたいし、関係各社とのアライアンスを大切にし、しっかりした事業基盤を築くことも必要。こうした基盤を固めたうえで、将来的には土壌浄化以外の環境ビジネスにも目を向けたい。「ジオレ」という名前どおり、地球再生に貢献する企業として、新しい可能性に挑み続けたいと思っている。■

関電ジオレの浄化システム
関電ジオレの浄化システム
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関電ジオレの浄化施設全景
関電ジオレの浄化施設全景
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洗浄設備
洗浄設備
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熱処理設備(ロータリーキルン)
熱処理設備(ロータリーキルン)
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関電ジオレ>> http://www.kanden-geore.co.jp/



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