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「環境ホルモンを浄化する夢の花──『エコ浄花・ポーチュラカ』を開発!」

2006.06.15
関西電力研究開発室電力技術研究所環境技術研究センター チーフリサーチャー 宮坂均



研究開発室 電力技術研究所 環境技術研究センター
チーフリサーチャー 宮坂均



植物で汚染物質を浄化?──2006年5月、関西電力は「エコ浄花・ポーチュラカ」を、グループ企業「かんでんエルハート」を通じて販売開始した。研究の経緯や浄化のメカニズム、今後の課題は?──研究開発室 電力技術研究所 環境技術研究センターの宮坂均チーフリサーチャーに訊いた。

――ポーチュラカってどんな花? //////////
南米原産、スベリヒユ科のマツバボタンの仲間で、夏に赤や黄色の鮮やかな花を咲かせる。和名はハナスベリヒユ。葉が肉厚で乾燥に強いから、水やりが少なくて済み、育てやすい園芸品種として国内でも広く売られている。そのポーチュラカに、環境ホルモンを浄化する能力があることを、関西電力と大阪大学の研究で発見、なかでも特に浄化能力の高い個体を選んで、挿し芽で増やし栽培を重ね、量産化に成功したので、5月に販売を開始した。

――研究の経緯は? //////////
近年、有害物質による土壌汚染が増え、健康影響などへの懸念から、2003年には「土壌汚染対策法」が施行され、重金属など特定有害物質を取り扱っている工場などをスーパーマーケットや住宅などに用途変更する場合、土壌汚染の調査や浄化などの措置を取ることが義務づけられた。土壌浄化は、低濃度の汚染でも洗浄や熱処理などにかなりコストがかかるが、「植物」を使えば、低コスト・低メンテナンスで浄化ができる。だから関西電力は、1999年から植物を用いた土壌浄化の研究に取り組み、2003年、ポーチュラカの能力を発見した。

――どうやって浄化する? また浄化能力は? //////////
ポーチュラカの根から出る酵素が、有害物質を分解し無害なものに変えている。環境ホルモン、つまり「内分泌撹乱化学物質」は、生体内でホルモンと似た働きをすることで本来のホルモンの働きを阻害してしまい、これまでにフロリダのワニの生殖異常とか、魚のオスのメス化などの例が報告されている。現時点で哺乳類には害は認められないということだが、こうした環境ホルモンの浄化研究は各所で行われており、代表的な環境ホルモン「ビスフェノールA(BPA)」の場合、ホテイアオイやキャベツの浄化能力が高いという結果が得られてきた。しかしポーチュラカの能力はその10倍以上。水耕栽培による浄化実験では、10ppmのBPAが12時間で1ppm以下になり、24時間後にはほぼ100%分解された。

――そのポーチュラカを今回、市販する理由は? //////////
将来的には環境ホルモンを含む工場排水などの浄化処理への活用を検討していくが、まずは身近な植物が環境を浄化してくれることを広く知っていただき、自然の不思議や重要性を感じる機会を提供したい。そう考えて、環境教育の教材として、企業や学校、特に小中学校に積極的に提案していくつもりだ。植えているだけで環境に良いことをしている、という意識になれる花──そんなシンボリックなものとして、このポーチュラカを位置づけている。もともとポーチュラカの種としての浄化能力は高いが、個体によって差がある。その中で、普通のポーチュラカより2倍程度、浄化能力が高いものを選抜し、「エコ浄花」と名づけることで普通のものとの違いを表し、1ポット90円という価格でご提供させていただく。

――ポーチュラカが浄化するのは環境ホルモンだけ? //////////
現在確認しているのは、3種類の環境ホルモンと、DDT(かつて使われていた農薬)の分解能力もある。ただ、環境ホルモンもDDTも、実はそれほど浄化ニーズが顕在化しているわけではない。われわれが最終的にめざしているのは、ダイオキシンの浄化。その研究過程で、偶然、ポーチュラカの環境ホルモン浄化能力が見つかったというわけだ。

――最終目標は、植物によるダイオキシンの浄化? //////////
そう。ダイオキシンは環境ホルモン以上に有害で、ゴミ焼却炉などからの発生が問題になったことはあまりにも有名。しかも極めて取り扱いが難しく、定位置での浄化が基本。運び出すには、少なくとも運搬ルートにある全自治体の了解を得る必要があり、他の汚染物質とは比較にならないほど大変。そこで現場に浄化施設をつくって作業することになるが、いずれにしろ現状では極めて高コストなやり方しかない。それを植物でできれば理想的と考え、研究を進め、浄化能力の高い植物は既に発見した。それはポーチュラカとは別の植物だが、実験室レベルでの効果は得た。今後は実際の汚染土壌を使った実証実験に進みたいと考えているところだ。

――では今後の抱負は? //////////
「技術的に」注目される研究開発を行っていきたい。他社と同様のものを競い合うより、「世界初」とか「オンリーワン」の技術開発をめざしたい。環境分野というのは範囲が広く、まだ誰も手がけていないような分野が結構ある。そして関西電力の環境関係の研究は、かなり幅広い分野をカバーできる体制がある。私の手がけている植物を用いた土壌浄化研究も、植物を植えて汚染物質を吸収させる方法は、アメリカなどで実用化も進んでいるが、関西電力のように、より積極的に汚染物質を分解し無害化する研究を行っているところは少ない。ポーチュラカでは他社に先んじて面白い成果を出せたし、同じくバイオ技術系では汚染土壌から重金属を検出するバイオセンサーも開発した。植物プランクトンを使った抗酸化物質の研究や、CO2を取り込む酵素の能力を高め、植物の生長を早める研究も進めている。またCO2については、来る温暖化対策技術の将来を読み、燃焼排ガスからのCO2分離回収・有効利用技術から大気中のCO2生物固定技術まで、一気通貫で総合的にCO2対策研究に取り組み、実用レベルの実績を上げている。俗に、研究開発のうち実用化まで行き着くものは、基礎分野の研究も含めると、1000に3つとも言われているが、われわれは今後も胸を張って発表でき、世の中の役に立つ研究開発を続けていきたい。■



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