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「関西電力がブータンで水力発電事業?」

2005.09.15
首藤誠チーフマネジャー



企画室国際ネットワークグループ
チーフマネジャー 首藤誠

日本の電力会社で初めて、世界で6番目に、国連によりCDM(クリーン開発メカニズム)プロジェクトとして登録されたe7(世界電力首脳有志の会議)「ブータン王国・小規模水力発電プロジェクト」。2005年8月18日、いよいよ発電所が運転を開始した。プロジェクトの狙いと今後は?──関西電力の国際事業展開について、企画室国際ネットワークグループの首藤誠チーフマネジャーに訊いた。

――まずプロジェクトの経緯から?  //////////
e7は1992年に発足し、「持続可能なエネルギー開発」をテーマに途上国支援プロジェクトを進めてきた。設備建設プロジェクトと、現地技術者などの教育指導プロジェクト、すなわちハードとソフトを車の両輪として推進。ブータン王国に関しては、1998年、e7の活動を知ったアジア開発銀行から、ブータン電力公社の設立支援の話が持ち込まれ、99年、関西電力がリーダーとなって教育指導プロジェクトを実施した。その後、e7は、京都議定書に基づくCDMプロジェクトの候補として、教育指導で縁のあるブータンと話を進めた。その結果、ブータンの未電化村に水力発電所を建設して、CDMデモンストレーションプロジェクトとすることでブータン政府と合意。2001年、プロジェクトに着手した。

――プロジェクトの概要は?  //////////
出力70kWの水力発電所を、首都ティンプーから東へ約150km離れたチェンデブジ村に建設した。主に農業で生計を立てている50世帯、人口約400人という谷間の小さな村だ。ダムを造らない流れ込み式の発電所で、幅5m程度のランチェラ川から取水して発電する。発電所はプレハブ風の小さな建物。電気は貯められないので、余った電気でお湯を沸かしてお風呂にしようというアイデアを出し、発電所の隣に公衆浴場も建設した。

――生活はすごく変わった?  //////////
これから地元住民の生活は大いに便利になると思う。まず照明。今までは灯油で、それこそ江戸時代のような灯火皿や缶に入れて、松の切れ端などを灯火芯として突っ込んだだけの照明だった。灯りが弱く暗い上に、煤が大量に出るので健康にも悪かったが、それが電気に代わった。そして炊飯器。照明もさることながら、炊事が電化されることに対する地元住民の期待も大きかった。それまでは薪のかまどでご飯を炊いていたのだが、薪を集めるのは大変な重労働だった。それからお風呂。もともと風呂桶にためた水に焼け石を放り込んでお湯を沸かしていたので、余った電気を利用した公衆浴場はとても喜ばれている。

――2005年8月18日に、竣工式が行われたそうだが?  //////////
ブータン政府から環境庁長官・エネルギー庁長官以下約20人、地方政府から約30人、地元住民も合わせて200人以上が、ブータンの正装である民族衣装を着けて集まり、華やかに行われた。セレモニーは高僧による読経で始まり、政府高官による祝辞が続いた後、村の小・中学生が民族舞踊を披露して、最後はブータン政府もe7メンバーもみんな一緒に楽しく、踊った。それだけ村の喜びが溢れているようだった。

――どんな苦労があった? //////////
竣工までに関西電力を中心としたe7メンバーが頻繁に現地を訪れたが、なにしろ奥地なので、行くだけで時間がかかる。飛行機は日本からは直行便がないので、バンコク経由で空港のあるパロに入り、そこからは車でチェンデブジ村へ。直線距離で200kmだが、道なりでは250kmあり、山道を7〜8時間も走ると体がガタガタになってしまう。ある時、大雨で崖崩れがあり、家1軒分くらいの巨大な石が道を塞ぎ、立ち往生したこともあった。建設工事は地元の建設会社との契約で進めたが、このやりとりも大変だった。携帯電話が繋がるのは都市部だけで、チェンデブジ村は通じない。有線電話が村に2台あるだけなので、通信もままならず、発電所がなかなか思うようなレベルに仕上がらない。ただ、この会社は、地元業者としてこのプロジェクトに大いに社会的責任を感じて動いてくれた。例えば、工事用の仮道路も、我々は1.5m程度で十分だと思っていたが、広い道路が欲しいという村の思いを汲んで4mほどの立派な道路をつくってくれるなど、自主的にやってくれてとても助かった。もちろん、追加費用なしである。

――関西電力がこのプロジェクトを行った目的は?  //////////
e7の目的である「持続可能なエネルギー開発」に寄与できることと、CDMプロジェクトとして行うことでCO2クレジットの獲得手続きなどのノウハウも習得できること、そしてクレジットが入手できることから、今回、関西電力がリーダーとなって推進している。

――今回獲得できるCO2クレジットは? //////////
年間500tを見込んでいる。量的には少ないが、CDMプロジェクトの中でも小規模案件は比較的手続きが簡素なため、その試験的プロジェクトとして取り組んだ。まだ前例がないので、手続きは慎重に行われ、書類を何度も出し直すなど、実際はとてもややこしかった。できれば国連に世界最初のCDMプロジェクトとして登録してもらいたいと思っていたが、ナンバー1は逃したものの、6位入賞を果たすことができた。

――どのような手続きが必要なのか? //////////
CDMプロジェクトとしての承認を、まず日本政府とブータン政府から取り付け、指定運営機関にCDMとしての有効性審査をお願いする。そこでプロジェクトが適性かどうかが審査されて、大丈夫となれば、国連のCDM理事会に登録申請。理事会で最終審査を行い、間違いなければ、ようやくCDMプロジェクトとして登録される。CDM登録されたのが2005年5月。日本政府の承認が2003年なので、手続きだけで丸2年かかったが、これでようやく入口。これから実際の発電記録を取り、発電電力量に合わせてCO2クレジットが承認されるが、それも世界的に未知の部分なので、前例づくりを我々が行っていく。

――関西電力としてはブータンのプロジェクトには、今後どう関わる? //////////
実際の運転操作や保守管理は現地でやっていただく。直接的な管理監督はブータン政府が行うが、我々もダブルチェックを行う。2年間はe7が、本プロジェクトによるCO2排出削減量を算定するために、発電所の発電電力量のモニタリングを行い、また、電化後どう生活水準が上がったかなどの社会経済的効果や環境面での影響をチェックする。それ以降については再度協議する。

――地域コミュニティに運営を任せるにあたっての技術指導は? //////////
箱モノをつくるだけでは、持続可能なエネルギー開発とは言えない。我々が建てた発電所を地元住民が自分たちの発電所として長期間、維持・運転していく必要があるので、試運転中に一連の訓練指導を行った。発電所はトラブルや事故がない限り24時間365日100%で動かす設計にしていて、村に住む18歳と20歳の若い2人をオペレータとして雇った。彼らが毎日発電電力量などの記録を取り、取水口から排水口まで全設備を点検し、電気代の徴収も行う。

――日本の山村は過疎化が進んでいるが、ブータンではこれから発展? //////////
ブータンでもやはり若者は都会へ出ていくが、電化で村の生活が改善されれば、若者の定着率も上がるだろう。手工業なども始まるかもしれない。村外れのパゴダ(仏塔)の隣には、電化を当て込んで早速レストランができた。そのパゴダでは年1回国王が来られる大きな祭りがあるので、その際に、「これは関西電力がリーダーとなったe7の電気だ」、と地元住民からPRしてもらいたい(笑)。実はブータン国王は、「国民総幸福度」(Gross National Happiness: GNH)という指標を提唱していて、電気に関しては、国王の命令で、2020年までに全国を電化するという壮大な計画がある。しかし、送配電線が整備されていないので、国内の電化は遅れている。電化が進めば、地元住民は収入を得る手段を次々と考え、所得が増え、ひいては電気代収入も増えて、プロジェクトはようやく持続可能な形になっていく。

――今後の国際事業展開の抱負は? //////////
今もe7の教育指導プロジェクトとして、ミクロネシア、パラオ、マーシャル諸島、フィジー、パプアニューギニアなど太平洋の島国の電力会社に対し、太陽光発電や風力発電、小水力発電などの再生可能エネルギーに関する勉強会を関西電力主導でやっている。これらの国々は、地球温暖化で海面が1mも上昇すると水没するような国なので、彼らは温暖化には非常に危機感を持っている。また、発電設備は油を使うディーゼル発電がほとんどであり、昨今の原油高騰で苦しい経営状況。地球温暖化問題と油の高価格問題、その2点から再生可能エネルギーを採り入れたいという強いニーズがある。
一方、e7以外で関西電力が現在手がけている国際事業は4件。サンロケの水力、東欧の省エネ基金、タイのロジャナ火力発電所による工業団地向け電力供給プロジェクト、台湾の水力プロジェクトだ。今後も我々のノウハウ・固有技術が生かせ、収益性も見込め、国際的な事業ノウハウも吸収できる、投資にふさわしいプロジェクトを探し出してやっていく。■

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チェンデブジ村
チェンデブジ村
発電所
発電所
発電機
発電機
取水堰
取水堰
水圧鉄管
水圧鉄管
視察する関西電力社員
視察する関西電力社員
沈砂池
沈砂池
公衆浴場
公衆浴場
変圧器送電線
変圧器と送電線
式典へ向かう人々
竣工式の式典へ向かう人々
竣工式
竣工式
ブータンエネルギー庁長官挨拶
ブータンエネルギー庁長官挨拶
e7を代表して関西電力生駒支配人挨拶
e7を代表して
関西電力生駒支配人挨拶
子供たちの伝統舞踏
子供たちの伝統舞踏
華やかな民族衣装で踊る
華やかな民族衣装で踊る
発電所の開所セレモニー
発電所の開所セレモニー
子供たちとふれ合う関西電力社員
子供たちとふれ合う関西電力社員
現地の子供たち
現地の子供たち
 
 
 

プレスリリース
http://www.kepco.co.jp/pressre/2005/0825-1j.html



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