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「世界最高効率のガスエンジンって?」

2005.07.15
岩城



関西電力研究開発室技術調査グループ
チーフマネジャー 岩城吉信



関西電力は、2005年5月末、400kWクラスで世界最高レベルの発電効率42.1%を実現するガスエンジンを開発。2005年度下期には、このガスエンジンを組み込んだコージェネレーションシステムを、グループ会社「関電ガス・アンド・コージェネレーション(関電GASCO)」から販売する。一体どのような技術なのか、開発の苦労は?──関西電力研究開発室技術調査グループの岩城吉信チーフマネジャーに訊いた。

――ガスエンジン開発の背景は? //////////
2004年4月からガスの小売自由化範囲が50万立方メートルまで広がった。これは400kWクラスのガスエンジンを年間を通じて運転した場合の使用量に相当する。関西電力は従来このクラスで高効率なガスエンジンを持っておらず、今後事業展開していく中で、それはぜひ必要だということで、2003年から開発をスタートした。

――どのような特徴がある? //////////
発電効率が400kWクラスで世界最高の42.1%。それを実現するために2つ特徴があり、1つが「マイクロパイロット着火方式」。通常の電気火花を散らす点火プラグ着火方式と違い、微量の軽油を噴射し、その軽油が燃えた炎で主燃料であるガスに火をつける技術で、点火プラグ着火方式の約2000倍の着火エネルギーを得られる。既存技術ではあるが、400kWという小規模のガスエンジンで実現したのは初めてだ。もう1つの特徴は「早閉じミラーサイクル」。ガスエンジンの構造は、車のエンジンと一緒で、燃料からエネルギーを取り出す際に、ピストンが上下する。ピストンが上に行くときに燃料を圧縮し、そこで燃料に火を付けて燃料の燃焼(膨張)エネルギーによりピストンを押し下げる。機械の方から燃料に力を加える「圧縮行程」より、燃料が燃えて機械がエネルギーをもらう「膨張行程」を長くした方が効率が良くなる。少ない仕事でたくさんのエネルギーを取り出すのが、ミラーサイクルだ。この2つの技術で、世界最高の発電効率を実現した。

――開発の苦労は? //////////
パイロット着火方式というのは、まず軽油をちょっとだけ噴く。極微量の軽油を安定的に正確に噴射させるのが大変だった。また上手に火をつけるために、炎をつくる副室の形状をどうするかとか、炎を出す穴をどうするか──試行錯誤の繰り返し。ミラーサイクルも、圧縮行程をどの程度短くすれば最適になるかを見つけるのが、一からの試みだった。新しい技術の目玉はその2つだが、実験機をつくって試験をしていた頃は、課題が山積していた。最終的な試作試験機では、それらを全部クリアして初めて高効率エンジンとして完成した。そこは我々のノウハウの塊だ。

――エンジンメーカーとの共同開発と聞いたが、提携の経緯は? //////////
船舶などの駆動用原動機をつくっている新潟原動機株式会社との共同開発だ。ガスエンジンはガス事業者とメーカーが協力してつくりあげてきたものがほとんど。電力会社がガスエンジンを手がけるという発想は、どのメーカーも持ってなかった。我々はメーカーでなくエネルギー事業者なので、ラインアップの1つとしてガスエンジンを持っておきたかったが、揃わなかった。良いものがあれば買えばいいと思っていたが、ガス事業者としては後発なので、先発に押さえられていたり、ターゲットとしている400kW級もあるにはあるが、効率が低く、高効率のガスエンジンがほしいとなると自社開発しかなかった。そのパートナーを探しに行き、パイロット着火が有望、その技術を持っているのは新潟原動機だと聞き込んだ。先方は1000kW以上の中型ガスエンジンのパイロット着火技術を持っていて、より小さいエンジンで実現したいというニーズがあった。我々はガス自由化の関係で400kWをつくりたいということで、双方の利害が一致、共同開発に至った。

――それで世界最高効率を実現したと……。 //////////
そう。世の中に出ている400kWクラスのガスエンジンは発電効率が35〜38%。今回42.1%なので画期的だ。実は今年の4月、大阪ガスさんと三菱重工さんが、380kWの出力で41.5%の発電効率を達成したと発表された。出力は、ほぼ同規模。我々はダントツだと思っていたのに、ダントツじゃなかったことには少し衝撃を受けたが、一方で我々の開発の方向性は間違っていないと確信もした。発電効率は若干凌ぎそうだったので、自信を持って仕上げにかかったというわけだ。

――このガスエンジンをコージェネに組み込む? //////////
我々は総合エネルギー企業であり、ガスエンジンを単体で売ることはなく、コージェネシステムとして売りに出す。コージェネというのは名前のとおり、電気と熱を両方とも発生させる。熱をたくさん使うお客さまにとってはコージェネシステムが有効な場合がある。ただ、電気をフルで発生させると、出てくる熱を十分に使い切れないお客さまが結構多い。電気に合わせて運転して熱を捨てるか、もしくは熱に合わせて運転して発電を抑えるという運用にならざるを得ない。発電効率が高いということは電気をたくさん取り出せるということであり、熱と電気のバランスが良くなる。だから使い勝手が良くなり、適用範囲が広がる。とりわけ大規模病院やシティホテル、工場などのコージェネに向いているお客さまのなかでも、熱の利用量に比べて電気使用量の多いお客さまにとってはランニングコストの低減につながる。今回の場合、総合効率は70%以上、熱の使い方がうまくいけば80%くらいまでいけるわけで、ガス自由化の中で競争力があるシステムを実現できる。

――ガスエンジン開発の次なる課題は? //////////
さらに高効率のものを開発していきたい。燃料も今は都市ガスだが、将来的にはバイオガスや水素など、よりエネルギー密度が低い燃料にも適用できるものを開発したい。電気式の点火プラグ着火方式はエネルギー密度が低いと火をつけにくいが、マイクロパイロットは炎で火をつけるので、密度が低くても火がつきやすい。その意味でもバイオガスなどを燃料に使いたい。もちろんバイオガスを燃料として使うこと自体、意義がある。生ゴミなどを発酵させたメタンガスや、廃材などを熱で分解して発生させる可燃性ガスなど、バイオマスエネルギーを燃料として使えば、より環境に優しいシステムが組める。原理はわかっているので、発電効率などを気にしなければ今でもできる。いかに発電効率を高め、採算性のあるシステムとして商業ベースに乗せるか、だ。

――研究開発における今後の抱負を。「世界最高」、狙っている? //////////
もちろん。いかに競争力のあるものを開発するかが我々の役割だ。研究開発は生き物。世の中の動きは早いのでニーズもシーズも変わり、陳腐化することも多い。常に世の中に目を配りブラッシュアップしてローリングして、事業に役立つ研究開発を不断の努力で進めたい。どういうネタが役に立つか、どういうものを指向していくか、今あるものに安住せず、どんどん新しいものに挑戦していきたい。■


プレスリリース
 http://www.kepco.co.jp/pressre/2005/0530-1j.html

研究開発情報
 http://www.kepco.co.jp/rd/index.html
  



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