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「世界初の重金属検出バイオセンサーって?」

2004.11.15
野村眞・環境技術研究センター所長



 関西電力研究開発室・電力技術研究所・環境技術研究センター 
 所長 野村眞



関西電力は、世界で初めて汚染土壌などから重金属を検出できるバイオセンサーの開発に成功した。一体どんな技術なのか、どういう分野に活用できるのか。関西電力研究開発室・電力技術研究所・環境技術研究センターの野村眞所長に訊いた。

――そもそも、なぜ土壌からの重金属検出に取り組んだのか? //////////
一つは2003年2月に土壌汚染対策法が施行されたことだ。土壌の汚染調査が義務づけられたことにより、急速にニーズが高まってきた。もう一つ、関西電力はもともと発電所を建設する際、環境アセスメントを行っていたことと、グループ会社の環境総合テクノスが有害物質分析の技術的ノウハウ、シーズを持っていた。つまりニーズとシーズ両方があって、この研究に取り組んだということだ。

――従来の分析方法と今回開発されたバイオセンサーはどう違う? //////////
土壌の重金属分析には、これまで非常に大型の装置が必要で、現場での測定はできない。分析精度は高いが、検出までに1週間程度と時間がかかる。分析装置は1台約1000万円と高く、分析費用も1検体5000円と高額。測定現場としては、簡単に測れて、すぐ答えが出る方がいい。汚染されているかどうか、黒か白かグレーか、まずはそれさえわかればいい。今回開発したバイオセンサーは、リトマス試験紙型。重金属の有無を発色により肉眼で判定できる。分析時間も、重金属を溶出させる前処理に6〜8時間、測定は10〜20分程度。携帯可能な大きさで、現場で手軽に扱え、コストも従来より低減できる。まず、バイオセンサーで簡易分析を行い、必要な場合、改めて大型装置で精密に測定すればよい。

――バイオセンサーのしくみは? //////////
バイオセンサーとは生物機能を利用した測定方法であり、今回のキーテクノロジーは重金属を識別する抗体を作製したことだ。人間の場合は、外からウイルスや毒素などの抗原が入ってくると、身体の中で排除しようとする力、抗体が働く。これが抗原抗体反応といわれる免疫作用だ。抗原の大きさは、ウイルス、ダイオキシン、重金属の順に小さくなり、重金属分子は一番小さいため、人間の体内に入っても普通は抗原として認識されない。それを識別できるようにしたのが今回のポイント。抗体をつくるために重金属分子を接着用分子を介して蛋白質と結合させ抗原とし、それをマウスに注射して、抗体をつくった。重金属検出バイオセンサーは、その抗体に発色物質を塗ることで、測定試料に目的の重金属が含まれていると、抗原抗体反応が起き、発色の度合いで測定できるというしくみだ。

――開発はスムーズに進んだのか? //////////
いやいや、かなり苦労した。抗体には2つの条件がある。選択的にある金属だけを認識することと、微量でも反応する感度の良さ。例えばカドミウムだと環境基準は10ppb、つまり10×10のマイナス9乗という非常に薄い濃度のものを検出できないと、抗体としては役に立たない。抗原をマウスに注射すると、免疫臓器といわれる脾臓に500〜1000個の抗体細胞ができるが、出来の良い抗体、悪い抗体がある。そして、1万以上の抗体を1個1個調べた結果、やっと2つ良いのが見つかった。

――電力中央研究所等との共同研究と聞いているが? //////////
電力中央研究所とは、抗体づくりを一緒に行った。リトマス試験紙型のシステムに仕上げるのは、エンバイオテック・ラボラトリーズというベンチャー企業に依頼し、三者の共同研究というかたちで組み上げた。

――どんな重金属を検出できるのか? //////////
今回、リトマス試験紙型のバイオセンサーとして完成させたのはカドミウムだ。当初は土壌汚染対策法対象の複数の重金属を調べていたが、途中からカドミウムに絞った。JAなどで具体的なニーズがあるとわかったからだ。コメのカドミウム含有量は0.4ppm以下という流通基準があり、あるJAでは、年間8000検体を測定している。従来の方法では2〜3カ月もかかり、新米の出荷に間に合わせるため、簡易測定へのニーズは強い。で、第一弾としてはコメのカドミウム検出。実証試験後、2005年度初頭の販売開始をめざしている。抗体としては既に水銀、亜鉛の抗体も開発しており、今後、鉛、ヒ素、クロムなど他の重金属抗体の開発にも取り組んでいく。土壌にはコメと違っていろいろな重金属が含まれているので、前処理なども難しい。それでも、あと1〜2年で開発できると見込んでいる。

――重金属検出の市場可能性は? //////////
土壌汚染の疑わしい現場は全国で約31万カ所、浄化費用は約13兆円、うち調査だけで約2兆円との試算がある。これは土壌だけで、コメをはじめとした「食の安全」分野はまだ未知数。魚に含まれる水銀など生物濃縮の把握や、飲料水の重金属含有量、あるいは血液検査など医療分野での用途も考えられる。

――今後の抱負、展望は? //////////
注目の「食の安全」をはじめ医療や環境などの分野で貢献できるというのは、夢のある話だ。環境総合テクノスがこれを使って分析を受託したり、同じく関電グループの土壌浄化会社・関電ジオレが浄化効果の確認に使うなど、ビジネスに生かし収益をあげることを期待している。本業の電気を売る以外にも、関西電力はこんなこともできるということを発信していきたい。■

プレスリリース>> http://www.kepco.co.jp/pressre/2004/1110-2j.html



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