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「電力線通信は、いま?」

2004.06.01
土井義宏・お客さま本部 ネットワーク技術部長



 お客さま本部 
 ネットワーク技術部長 土井義宏



電気のコンセントさえあれば、インターネットもホームネットワークも思いのまま! 新たな通信システムとして注目が集まる「電力線通信」。諸外国では既に実用化が進むなか、日本の現状と関西電力の取り組みは?──お客さま本部の土井義宏・ネットワーク技術部長に訊いた。

――そもそも「電力線通信」とは何か? //////////
電力線通信(PLC:Power Line Communication)はその名のとおり、屋内に張り巡らされた電気の配線を使って行う通信方式のことだ。現在使われている電力線──ご家庭内のコンセントにつながっている配線や電柱からの引き込み線は、電気を50/60Hzの波にしてお届けしているが、これにもっと周波数の高い通信用の信号を重ね、電気と一緒にお届けするのがPLC。電気と通信信号を重ね合わせた状態でコンセントのところまで送り、二つの信号を分ける装置(モデム)をコンセントにつなげば、電気も使えるし通信もできるという仕組みだ。

――そのメリットは? //////////
なんといっても「コンセントさえあれば使える」のがメリット。既存の配線が利用できるから、新たに通信用の配線工事をしなくていいし、コンセントのある場所ならどこでも使えるから、ホームネットワークの構築も容易だ。コンセントに差し込むだけなので、コンピュータの苦手な方にも使いやすいと思う。

――具体的にはどのような需要が見込めるのか? //////////
例えば既設のマンションやオフィスビルで通信環境を整備する場合。従来は新たに配線するには共用部の工事が必要だったが、PLCなら電気室と各戸にモデムを設置するだけで、建物全体でインターネットを使えるようになる。あるいは家中でFTTHを利用したいという場合、後から家中に光ファイバーなどの配線を張り巡らせるのは大変だが、PLCを使えば、コンセントさえあればどの部屋でもインターネットやブロードバンドサービスを楽しめる。

――つまり、ニーズが見込める? //////////
そのとおり。特に既設マンションなどの場合、簡単な工事で費用を大幅に低減できるからニーズも高いはず。FTTHの場合も付加サービスとして有望。このほか電力会社としては、マンションの受電設備の管理や遠隔検針に利用すれば、業務の効率化やサービス向上にもつながる。
こうした諸々のニーズが見込めるとの判断から、関西電力は他電力会社に先駆けて2001年8月、イスラエルのPLC開発企業ITRANと松下電工の3社で「ラインコム」という新会社を設立。実は私自身、こちらの企画管理部長も併任している。ITRANはPLCで独自の技術を持ち、松下電工は配線技術やホームネットワーク技術に長けている。関西電力には電力線というインフラと通信事業のノウハウがある。この3社のシナジー効果が発揮できれば、ビジネスとして十分やっていけると期待している。

――しかし、このPLCの実用化には規制緩和が必要で、それについては反対意見もあると聞くが? //////////
電波法による規制があるので、実用化に向けては規制緩和が必要だ。PLCで使う周波数は2MHz〜30 MHz──いわゆる「短波」と呼ばれる帯域だが、この帯域は短波放送やアマチュア無線などにも使われている。だからPLCによって、これらの用途の妨げになるのでは、という心配をお持ちの方もおられるが、技術開発を進めた結果、PLCからの妨害は非常に弱くなっており、問題は出ないはずだ。もちろん、実験を通してきちんと確認していく。

――諸外国ではすでにPLCが実用化されているらしいが? //////////
欧米はもとより、アジアでも利用が認められつつある。ヨーロッパではドイツ、スペインで商用化されているし、アメリカでは屋外利用こそ実証試験中だが、屋内用の装置は既に販売されている。このほかイギリス、フランス、中国、シンガポール、韓国など世界数十カ国が実証中で、軒並み導入に積極的。韓国でも2004年10月には規制緩和の予定と聞いている。
これに対して日本は、2003年3月に関西電力やメーカーなどがPLC-J(高速電力線通信推進協議会)という団体をつくり、規制緩和を働きかけている段階。日本は国土が狭いうえ、架空線が多いから、電線地中化が進んだ欧米諸国に比べれば影響が出る可能性は高いかもしれない。加えてアマチュア無線の利用者もスペインなどと比べると二桁多いといわれる。こうした固有の事情があるため、国としても慎重にならざるを得ないのだと思う。

――現在の状況は? //////////
PLC-Jなどで働きかけた結果、2004年1月、日本でもようやく電波干渉低減技術を検証する実験が認められたので、ラインコムでも早速実証試験を行っている。今のところ結果は良好──つまり短波への影響はないことが確認されており、今後さらにフィールドを広げ、確認を続ける計画だ。これがうまくいけば、最短で2005年春頃には実用化に漕ぎ着けられそうだ。
一方でラインコムは、同じく関西電力グループのきんでんの子会社、プレミネットらと組んで、北京での実証試験に参加している。中国は2008年の北京オリンピックに向けブロードバンドの普及に力を入れているが、固定電話が普及する前に携帯電話が普及したので、ADSLを進めようにも電話線の普及率が低い。しかし電力線があればできるPLCなら試す価値はある、というわけで、2003年3月から実証実験をスタート。実験には各国が参画していたが、なかでも私どものシステムが高く評価された。

――最後に、今後の抱負は? //////////
電気の配線さえあればブロードバンドにアクセスできるPLCは、日本国内のデジタルデバイドを解消するだけでなく、アジアや南米など発展途上国での活用も十分考えられる。これからのブロードバンド時代に必要な技術だと確信しているので、まずは現在行っている実験を成功させ、実用化に弾みをつけたいと思っている。■



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