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「関西電力の燃料電池開発は、いま?」

2004.05.01
野坂明信 研究開発室研究推進グループ チーフマネジャー



 研究開発室研究推進グループ 
 チーフマネジャー 野坂明信



環境にやさしいエネルギーとして、燃料電池が注目を集めている。家庭用のコージェネレーションシステムとして、自動車用動力源として、各社が開発にしのぎを削るなか、関西電力の動きはどうか──研究開発室研究推進グループの野坂明信チーフマネジャーに訊いた。

――そもそも「燃料電池」とは何か? どんな特徴があるのか? //////////
水に+と-の電極を入れて電気を流すと水素と酸素が発生する。この電気分解とちょうど逆の反応──つまり水素と酸素を電解質で反応させて電気と水をつくるのが燃料電池だ。燃料電池は他の発電方式に比べ発電効率が高いほか、発電の際に水しか発生しない、排熱が利用できるなど、環境特性に優れ、自動車用の動力源から家庭用のコージェネ、分散電源、さらに火力代替プラントとしても期待されている。近年多くの会社が開発を進めているのも、化石燃料からの脱却が求められるなか、燃料電池のクリーン性が注目されているからだ。経済産業省「燃料電池実用化戦略研究会」の発表でも、2010年までに燃料電池自動車5万台、定置用燃料電池210万kWが導入目標で、期待は大きい。

――たしかに燃料電池に寄せる期待は大きいが、問題点はないのか?//////////
燃料電池はいかに化石燃料に頼らず水素をつくるかが難しい。今は、都市ガスなどを改質して水素をつくっているから、その過程でCO2を排出している。もちろん排出量は燃料を直接燃やすより少ないが、化石燃料に頼っていることに違いはない。原子力による高温の熱を利用して水素をつくるなど、化石燃料を使わない方法の研究も進められているが、まだまだ実用化の段階ではない。

――それにしても210万kWといえば原子力発電所2基分。相当な量だが、開発はどこまで進んでる? //////////
燃料電池は電解質の種類によっていくつかのタイプがあり、開発状況も違う。PAFC(リン酸形)はすでに商品化され、世界で数百台、コジェネなどの熱電源として使われているが、とにかく高いうえ、4〜5年で発電セルをリプレースしないといけない点が普及のネック。PEFC(固体高分子形)は家庭用や自動車用として有望視され、現在は実用化検証の段階。しかしまだ耐久性の点で1年という壁があるうえ、こちらも低コスト化が課題。燃料電池自動車は今、政府の公用車など数十台納入されているが、値段が1台で億単位、リース代が月100万円以上と、毎月新車を買えるような値段だ。MCFC(溶融炭酸塩形)やSOFC(固体酸化物形)は、実用化はまだしばらく先だが、火力代替プラントとして期待が高い。特にSOFCは発電効率50〜65%と最も高く、耐久性にも優れている。将来的には燃料電池の主流になると思う。

――関西電力の取り組みは? //////////
SOFCの中でも比較的作動温度が低い「低温作動型」(650〜800℃)を中心に研究している。従来SOFCは900〜1000℃で作動する高温作動型が主流だったが、温度が高くなるほど発電効率は上がるものの、材料の制約が大きくなり、コストも高くなる。そこで当社は、低温でも効率よく作動する材料はないかと、1995年頃から研究を進めていたところ、非常にいいものができた。もともと当社は30年ほど前からPAFCの運転研究に携わるなど、さまざまなタイプの研究に取り組んできたが、SOFCは他のタイプに比べ可能性が高く、材料開発に成功したことから、これに主眼を置いてやっていこうとなった。

――具体的にはどんなものを開発したのか? 開発で苦心した点は? //////////
燃料電池は燃料極、電解質、空気極から成り立っており、当社が開発したのは燃料極。低温で効率よく作動させるには、どんな素材を、どう組み合わせたらいいか、研究者たちが膨大な文献を読み漁り、試行錯誤の末に生まれた苦心の作だ。この開発に目処が立ったため、電解質と空気極の開発に長けた三菱マテリアルと共同開発を始め、2001年に「発電セル」が完成。2003年には1kW級の発電システムを開発し、45%という世界最高レベルの発電効率を達成した。

――関西電力が開発している燃料電池は、どんな用途を想定しているのか? //////////
将来的には、火力発電所の代わりになるような大規模なものが考えられるが、当面は、中型店舗や小工場向けの分散電源として、2006年度末を目処に、数十kW級システムの実用化をめざしている。もちろんもっと小規模な家庭用も考えられるが、家庭用の給湯・冷暖房に関しては、今のところSOFCより、すでに商品化されているエコキュート(省エネ給湯器)と系統電力(電力会社の電気)を使う方が、経済的にもCO2排出量から見ても有利。一方、中型店舗や小工場向けには、エコキュートのような高効率機器がないから、そういったところで使っていただければ環境負荷低減につながるし、お客さまのメリットも大きい。当社としてもソリューションメニューのひとつになると考えている。

――研究にはどんな陣容であたっているのか? //////////
発電セルを開発した材料系研究を専門とする技術者とシステム化部分を担当する技術者など約10人が当社尼崎の研究所で開発にあたっている。メンバーはいずれも20代〜40代と若く、うち半数は社内公募で「ぜひ燃料電池をやりたい!」と手を挙げた人たち。それまでは全く畑違いの仕事をしていた者も多いが、最先端技術──しかも社会的関心の高い研究ができるとあって、みんなとても前向きだ。私自身も、もともとは原子力出身でMOX燃料(ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料)を担当していた。SOFCの燃料極は素材の組み合わせに苦心しているが、MOX燃料もウランとプルトニウムの混ぜ方が難しい。全く違う分野でも意外な共通点があったりする。ともあれSOFCが大きな成果を上げ始めたこの時期に関わることができたのは幸運だ。経営層にも注目され、事あるごとに叱咤激励されるのは辛いが(笑)、非常にやりがいを感じている。

――今後の技術開発の課題と抱負は? //////////
1kW級システムが完成したので、今は数kW級、10kW級と段階的に容量を増やしているところ。容量を大きくするには、例えば10kWなら1kWの発電セルを10個並べていくわけだが、ひと口に「並べる」といっても、これがなかなか難しく、少しでもバランスが崩れると発電効率が落ちてしまう。もちろんセル自体の効率向上も課題。まだ研究課題は山積みだが、みんなが好奇心とそれぞれの専門知識を持ち寄ってハードルを一つひとつクリアし、ぜひ2006年度の実用化を実現したい。■



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